含みのある主人公の行動を誘発する「君」の行動。

それが上記の歌詞で描かれています。

期待を煽りつつも主人公に対して冷たい態度をとる「君」。

この、波のように寄せては返す「君」の行動は、主人公の迷いを生んでいるのです。

この「君」の行動に対しての主人公の思いが、ここから続くサビで語られています。

君がどう思っていても僕は手を差し伸べ続ける

主人公の強い決意

とるにたらない 存在ならば
もう寄りそったりしないで
僕は君に手を差しのべたままだから
このシナリオの結末ならば
続きは君が書けばいい
そうね 僕を生かせるのも殺せるのも君次第

出典: RED ZONE/作詞:yasu 作曲:yasu

「君」の思いがどのようなものであったとしても、自分は引かない。

引く気がないという強い決意です。

しかも、この恋が終わるとしてもその幕引きをするのは自分ではないと言っているのです。

全てを「君」に委ね、全てを受け入れてでも「君」に寄り添おうとする主人公。

「君」が自分に好意がないなら、さっさと幕を下ろして欲しいと願いつつも受け入れています。

他力本願といえばそうなのかもしれませんが、「君」の行動はそこまで主人公を追い込んでいるのです。

しかし、主人公は悲観せず望みを持っていることが伺えます。

それがこの後、2コーラス目で語られます。

わからない君の真意

謎に満ちた「君」の行動

理不尽じゃない かけひきならば
無駄使いとは思わない
それが僕の総てでもかまいはしない
なぜそんなにも 瞳をそむけるの?
もう僕じゃなくてもいいの?
何か君は人の限界を試しているみたい

出典: RED ZONE/作詞:yasu 作曲:yasu

「君」の真意は謎に包まれています。

愛の言葉を囁いたかと思えば急に冷たくあしらってくる、読めない「君」の思い。

上記、2コーラス目のサビの部分で語られているのはそんな「君」の行動です。

これだけ見れば、どう考えても「君」に気がないように思うのですが…

注目すべきは、上記歌詞の1〜2行目にかけての言葉。

駆け引きを受け入れている主人公の思いです。

ではなぜ受け入れているのか。

それは、「君」が駆け引きをするということは、自分への気持ちがまだあると思っているからです。

気の無い相手に駆け引きなんてするわけがないという発想からでしょう。

「君」が駆け引きをすることで、主人公から何かを引き出そうとしている。

そう理解している主人公は、この恋の幕を自ら下ろすという決断をしないという結論に至ったのです。

駆け引きが本当に主人公から何かを引き出そうとしているかは推測の域を出ません。

だからこそ、本当に「君」の気持ちが冷めているなら「君」が幕を下ろしてくれと言っているのです。

駆け引きの結果は…

このふたりの関係性

理不尽じゃない かけひきならば
無駄使いとは思わない
それが僕の総てでもかまいはしない
このシナリオの結末ならば
続きは君が書けばいい
そうね 僕を生かせるのも殺せるのも君次第

出典: RED ZONE/作詞:yasu 作曲:yasu

繰り返される駆け引き。

微妙な距離感を保ち続けるふたりの関係はどのような結末を迎えるのでしょうか。

ここまでの流れでお分かりかと思いますが、主人公は「君」からの駆け引きを受け入れています

「君」が主人公にどのような感情を抱いていようが、駆け引きを続けようが、別れないことが答えである

そういう思いから、主人公が自ら離れることもなく、かといって踏み込むこともなく、いい距離感を保ちます。

それは主人公にとって無駄なことではなく、愛する「君」という存在を受け入れるということになるのです。

主人公にとって「君」が全てだから、これからも「君」との駆け引きを続けようとしています。

結果的に別れることになったとしても、主人公としてはそれまでの時間が幸せなものならいいのでしょう。

主人公は過去でも未来でもなく、今という瞬間を生きているのですから。

今後どのような結末を迎えるのかは描かれていないので推測になりますが、付かず離れず継続すると思います。

このふたりはそのような関係性なのだと思います。

他者にはわからない絶妙は信頼関係

それがあるからこそ、駆け引きすらも受け入れることができるのです。

 

「恋の駆け引き」がもたらす、男女の微妙な距離感と深い愛情の物語。

いかがだったでしょうか。

これでこの歌詞の解釈を終わります。

まとめ

この曲の作詞作曲を手がけたボーカルのyasuさんが得意とする複雑な恋愛模様を描いた物語

心理描写も秀逸で、一見共感できなさそうですが、読み解くと理解できる部分もあるでしょう。

デビューシングルにしてこのように深い人間ドラマを描くことができるJanne Da Arc

バンドとしての実力や表現力の高さを証明しています。

Janne Da Arcはこのように、恋愛を絡めた精神描写が秀逸なバンドです。

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