真似てみても相性が良くないことも

飲み干せないままの
微温いコーヒーを
持て余したままで

出典: あいまいでいいよ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

コーヒーを飲み干せないというフレーズに関して、いくつかの見解を挙げてみます。

①慣れないコーヒーを飲んだけど口に合わない

②恋人にコーヒーを飲む姿を見せるのが恥ずかしい

③会話が楽しくて飲み干せずにいる

このようにいくつかの可能性が推測されます。

「持て余す」と表現されているから、合わないことが表現されているのでしょう。

つまり、そこから考察すれば、①が適切といえます。

自分達には合わず、飲み干せず、彷徨ううちにコーヒーの温度は下がる。

行く当てもなく、所在なく、心もとない彼らの様が描かれています。

それがこのコーヒーで表現されているのです。

伝えたいのはコーヒーじゃなくて

キスの真似をする

出典: あいまいでいいよ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

先ほどのコーヒーは、2人の心模様を含めた未来を表現しているといえます。

所在なく、彷徨うのは、彼らの心のことでしょう。

行く当てがどこか分からず、不安で落ち着かない状態にある。

大人と子供とのはざまで、不安定な心のままです。

しっくりこないコーヒーのように、2人の関係性もしっくりきていない。

そんな中で「キスをした」のではなく「真似」をした彼ら。

なんだか曖昧な関係のまま、世の中のカップルの真似をしてみたのでしょう。

無理に急いで答えを知る必要はない

本当のことは
後回しで忘れちゃおうよ

出典: あいまいでいいよ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

なにが「あいまいでいいよ」なのか。

それは歌詞をすべて組み合わせてみると見えてきます。

パズルのようにフレーズを組み合わせると、この楽曲の全体像が明らかになるのです。

不安定ではっきりしない今を、急いで明確にする必要はないのです。

例えばコーヒーのように今は合わなくてもいい。

恋人同士の正解が分からず、答えを出すのに億劫さを感じていてもいい。

今、無理に急いで答えを出さなくても「あいまいでいい」ということです。

正しい答えを探すのは後回しにしても、なんなら、忘れちゃってもいい。

今、急いで答えを出さなくても、未来なんてどうなるか分からない。

どれが正解かなんてわからないのです。

本当のことを必死に探すことで疲弊してしまうこともあります。

それなら、今のまま、あるがままでいいということなのです。

悩み多き多くの人に贈るメッセージ

生きる難しさを感じているなら

「あいまいでいいよ」の歌詞では、恋人たちの悩みや環境が描かれています。

でも、それ以外の多くの悩める人にも送られているフレーズでもあるといえます。

それは「本当のこと」に縛られている人へ向けられているのではないでしょうか。

自分をどうやって社会とつなげて良いのか分からない人にも言えることです。

真実がいつも正しいとは限らない、真実がいつも全てを導くわけじゃありません。

答えは、あいまいでもいいということです。

生きる難しさを感じているなら、今は心の中のはっきりしないことを曖昧でもいい。

それが表現されています。

苦しみを抱える人に寄り添う

作詞作曲担当の塩塚モエカは、生きづらさを感じる人に寄り添う大切さを語ります。

そして自身の作成コンセプトについて、そこをテーマにしているとも語ります。

多くの人が、本当のことや自分がすべきこと、その様々な葛藤を抱えています。

葛藤を超えるには、信じられる答えが必要です。

しかしその答えは、真実とは限りません。

正しいか分からない、不確かなものを信じることは誰でも難しいことです。

自分の中の、それぞれの葛藤に苦しみを抱える人にこの歌詞は向けられています。

だからこそ、この楽曲では、急いで葛藤を超えなくてもいいと表現されています。

あいまいでいいんだ、本当のことは時に忘れてしまってもいいんだ。

羊文学の思いが込められているのです。

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