3人で再スタートを切ったBUMP OF CHICKENが見せる「リアル」

2020年9月、ベースを担当していた直井由文さんが活動休止を発表しました。
バンドとしての活動も危ぶまれる中、ボーカル・藤原基央さんは続投を発表。
ファンの間でも安堵の声が広がることとなりました。
「Flare」のMVを見ると、3人になったBUMP OF CHICKENのレコーディング風景が映ります。
まるで今の現状を表しているかのように、静かにしっとりと歌われる曲調。
夢や希望を描いた曲とは逆に、ただしっかりと現実を見つめている様子が伝わります。
1人だと強く感じる日々
重たい体を起こして、また1日が始まる
もう一度起き上がるには やっぱり
どうしたって少しは無理しなきゃいけないな
一人じゃないと呟いてみても
感じる痛みは一人のもの
出典: Flare/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ベッドから体を起こしたとき、まず最初に感じるのは深い深い孤独感。
明るくハッピーな気持ちはどこへやら、体もズーンと重たく感じてしまいます。
この気持ちを誰かと分け合えたら、と望んでも、胸が締め付けられるのは自分だけ。
たった1人で、この気持ちと向き合っていかなければいけません。
この世界は他人に優しいように見えて、実は誰もが孤独を感じています。
どうしようもないこの気持ちを抱えながら、また、朝がやってきます。
同じような毎日を繰り返し続ける
自分にしか出来ない事ってなんだろう
終わったって気付かれないような こんな日々を
明日に繋ぐ事だけはせめて
繰り返すだけでも繰り返すよ
出典: Flare/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
同じような毎日を繰り返し生きるだけの主人公。
誰かに必要とされ、かけがえのない存在になりたくても、それはきっと難しいこと。
なかなか生きる意味が見つからないまま、ただ漫然と生き続けています。
こんな毎日を断ち切るだけの勇気も、理由も持ち合わせてはいません。
仕方なくまた1日を終え、また同じ朝を迎えるのです。
誰もが1度は思い描く「自分だけの魅力」。
それを見つけ出すためには、深く深く自分を見つめる必要があるのです。
語りかけるように紡がれる歌詞
何が許せないの 何を許されたいの
いつか終わる小さな灯火
出典: Flare/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
主人公の言葉で、誰かに語りかけるように歌われるこの部分の歌詞。
「許す」というワードから、犯してしまった罪を許してほしい……。
それとも、何も変えることのできない自分に対する罰を科している……。
どちらにせよ、暗く重い気分で語りかけているのが感じられます。
「何とかしたい」という気持ちが起こした小さな灯火は、ふいに消えてしまいそうに儚くて……。
そんなちっぽけな光を頼りに、また明日も頑張るのです。
世界は今日も回り続ける
今 世界のどこかで 青に変わった信号
跳ねて音立てたコイン 溜め息 廻る車輪
誰も知らない 命の騒めき 目を閉じて ひと粒
どこにいたんだよ ここにいるんだよ
ちゃんと ずっと
出典: Flare/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
これまで自分は、身の周りの出来事しか見えていませんでした。
目を開いて周りを見てみれば自分が思い悩んでいる間にも、世界は音を立てて回っています。
世界の大きさから考えれば、自分なんて取るに足らない小さな存在に思えることもあるでしょう。
しかし自分の中の小さな光は、目を閉じればすぐそばに感じられます。
信じた未来、当たり前に来ると思っていた楽しい明日は、一瞬のうちに消え去ってしまった……。
そう思えても、しっかり目を見開いてみれば、未来は変わらずにそこにあるのです。
ちゃんと、形を変えずに、そのままの明るさで。