それでも主人公は別れの言葉を告げないと断言しています。
もちろん誰かが亡くなったというストーリーは、この別れの言葉から導き出された推測に過ぎません。
断定はされていないという話です。
ただ、今は別れの言葉を口にする気になれないという主人公の気持ちを汲み取ると、そう考えられます。
恐らくご臨終に立ち会った直後なので、激しく動揺しているわけです。
その相手についてはやはり誰なのかわかりません。
しかし主人公にとってかけがえのない、たった1つの命だったことが伝わってきます。
例えば彼氏が亡くなったとして、時間が経てば他の誰かとまた恋に落ちることもあるかもしれません。
長い人生において結果的にそうなることはあったとしても、すぐに切り替えるのは難しいでしょう。
なぜなら代わりのきかない唯一無二、オンリーワンの存在だからです。
静かな空間
間抜け?
笑える程の間抜けさに
ほとほとあきれていたところ
いなきゃいないとで
静かだし 結局君が愛しいのさ
出典: LILLY/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
相変わらず登場人物もストーリー展開も曖昧なままですが、誰かがいなくなったことだけは明らかになりました。
しかも死別したと解釈するのが妥当。
亡くなったのが彼氏であれ、そうでないにしろ、いずれにしても大切な存在だったことがわかります。
それほど愛する人の突然の不幸であれば、号泣しても仕方がない場面です。
ところが歌詞には「笑う」という、真逆の言葉が登場しています。
しかも、不在の相手は「間抜け」だったと主人公は表現しているのです。
さすがに親しき中にも礼儀ありということわざが浮かんできます。
逆に、親しい間柄だったからこそ、相手のおっちょこちょいな部分が気になっていたという話かもしれません。
不在が際立つ
ただ、やはり愛する誰かが急にいなくなると静けさが際立つものです。
むしろ欠点も認め合うような仲だと、これまで騒がしかった分やたらと不在が身に染みます。
そのような状況ではお互いの楽しかった過去が浮かんできて、主人公も笑顔になるのかもしれません。
あるいは静かな空間で泣き暮れるより、くだらないことを思い出して笑うしかない心境とも考えられます。
当たり前のように一緒にいるときは相手の欠点に目が向くかもしれません。
それでも失って静かになると結局、誰にも代えがたい存在だったと改めて認識したわけですね。
明日が怖い理由
それでも乗り越える
明日が怖くなるほどに
君が 君が美しかった
夜を越え 朝迎え
君に会えたらそれでいいや
出典: LILLY/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
亡くなった相手に対する、少し失礼かもしれない先ほどの言葉や態度は、やはり愛情の裏返しだったようです。
実際は、愛する誰かのいない明日からの日常生活が寂しくて仕方がないと考えられます。
息を引き取ってまもなくの間はまだ生きているような感じがするものです。
むしろ命の尊さが輝くように感じられ、このまま時が止まり、永遠に一緒にいられたらと願いたくなります。
恐らく主人公もそのような眩しい光景を見たのでしょう。
誰かがいない未来はまだ想像できないかもしれません。
それでも最終的にはこれからも日常を積み重ねることによって、いつか再会できるという結論に達しました。
結局、誰だったの?
明日の天気を気にしてる
君が 君が可愛かった
年をとり 君の手をとり
まだ まだ まだ
夜を越え 朝迎え
君に会えたらそれでいいや
出典: LILLY/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
最後までじっくり歌詞を読み込んでも結局、主人公の愛する相手が誰だったのかは明らかになりませんでした。
ただ、ファンの間では林萌々子さんが飼われていた愛犬のことらしいという話になっています。
あくまでも仮説ですが、そう考えると空模様を意識するのはお散歩に行けるかどうかがかかっていたから。
そう解釈することができます。
ドジな側面もあるという表現も腑に落ちるのではないでしょうか。
タイトルと同じ名前だった可能性も考えられます。
それでも正式な答えはありません。
もしかしたら彼氏だったのかもしれませんし、友だちの可能性もあります。
あるいは家族や兄弟姉妹、いずれにしても近しい仲間だったわけですね。
この曲を聴く方はそれぞれに大切な誰かを思い描くことができるでしょう。