衝撃!「死神」のMVを紹介

2018年7月11日にリリースされた大森靖子ニューアルバム「クソカワPARTY」。

今回はアルバムの中から先行配信もされた1曲「死神」を紹介します。

楽曲の魅力を語る前に、まずこちらのMVをご覧ください!

意味深な内容の映像に見入ってしまいませんでしたか?

濁った水に横たわる人たち。

そしてどこか曇った表情で過ごす彼らの日常。

MVの終盤では、それぞれの「死」を連想させるような描写があります。

そう、このMVは「心の闇」をテーマにしたもの。

暗闇の中でうずくまる大森靖子は、タイトルの通り死神を演じているのでしょう。

その表情から物語に登場する人たちだけではなく、死神である彼女自身も闇を抱えていることが伝わって来ます。

ラストでは唐突に曲が途切れ、テレビの砂が流れるそれは「終わりの虚しさ」を感じさせるもの。

この部分はMVにしかなく、原曲はまた違った終わり方をします。

これは映像で見せるからこそ伝わる演出なのかもしれませんね。

MVは番場秀一が担当

「死神」のMVに限らず、大森靖子楽曲のMVは全て番場修一氏が手掛けるもの。

映像をご覧いただいて伝わったかと思いますが、大森靖子の世界観は少し複雑です。

今回のMVも彼女をよく理解している番場氏が手掛けたからこそのものでしょう。

ここまで二人三脚でやってきた番場氏に対して、大森靖子も絶対的な信頼を寄せているのでしょうね。

「死神」はこんな曲

【死神/大森靖子】心の闇と悲しみを描いたMVが衝撃的…!歌詞の意味と共に徹底解説!リリース情報も紹介の画像

暖かな印象のピアノに、ラジオから流れて来るような話し声が重なったイントロ。

そこからは回想シーンを思わせる色褪せたイメージが伝わって来ます。

すぐに歌が始まりますが、Aメロはずっと語り口調。

この語りの部分も蠢く感情を感じさせる抑揚があり、なんとも引き込まれるものです。

Bメロに入るとようやく歌い出しますが、ここの歌声も胸にグッと迫るもの。

今にも泣きだしそうなその歌声は、理屈では言い表せない説得力を持っています。

サビに入るとバンドが激しく躍動し始め、一気にロックなイメージに。

ここで聴かせる心の底からの叫びのような歌にも圧倒されます。

そして全てを吐き出したかのように、晴れやかな印象を受けるアウトロ。

4分19秒、まさに耳を釘付けにするような内容になっていました。

大森靖子の表現力にただただ驚かされます。

いや、これは表現とかそんな域のものではないのかもしれませんね。

大森靖子の歌は、彼女の心の声そのものではないでしょうか。

そんなことを感じさせる1曲でした。

サウンドを彩るのはそうそうたる顔ぶれ

大森靖子の歌はそれだけでも惹き付けられるものですが、彼女の歌声を支えるバンドにも注目してみてください!

アルバム「クソカワPARTY」では編曲や演奏に「ZiNG」というサウンドクリエーターユニットが参加。

そのメンバー日本のロック界を引っ張るプレイヤーを集めたそうそうたる顔ぶれです。

コンポーザーは数々のアーティストから支持を得るANCHOR。

ギタリスト9mm Parabellum Bulletの滝善充。

ベーシストはMY FIRST STORYのNob。

ドラム凛として時雨のピエール中野と、どこから見ても非の打ちどころがありません!

大森靖子のファンのみならず、バンドサウンドが好きな方にもおススメできる内容になっていますね。

しかし彼女は自信のプロフィールで嫌いなものの一つに「バンドマン」を上げているのですが…。

そんな謎めいた一面もまた彼女の魅力なのでしょうね。

大森靖子の描く「死神」とは…気になる歌詞を徹底解説

その歌やMVの映像から、彼女の放つメッセージの並々ならぬ雰囲気は伝わったかと思います。

そして彼女の魅力は歌詞からも当然感じられるものです。

大森靖子の歌詞はまるで文学作品のよう。

その魅力をここからは解説していきましょう。

天使なのに死神

履歴書は全部嘘でした 美容室でも嘘を名乗りました
本当の僕じゃないのなら 侮蔑されても耐えられる
違うんだ君を死の淵から 救いにきた僕天使なのに
おまえは死神だと言われて それでもいいやと泣いている

出典: 死神/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

この歌の主人公は天使。

これを聞いて「え、死神じゃないの?」と思った方もおられるでしょう。

違います。彼は天使なのに死神と呼ばれているんです。

死ぬはずだった人を救いに来る彼が姿を見せるのは、いつも人が死に直面する場面。

勘違いなんです。

そんな場面にいつも表れるから、彼が死を運んできたと思われてしまうのでしょう。

そうやって散々罵られた彼は、「それでもその人が救われるならいい」と悲しみを噛み殺します。

履歴書でも美容院でも、彼が自分を偽ったのはその悲しみに耐えるための手段でした。

「罵られているのが自分じゃないと思えばまだ耐えられる」

大森靖子の描く死神はそんな健気な死神。

冒頭のこの部分だけでも、すでに引き込まれるものがありますね。

身を挺して人を救ってきたから

かなしみの準備もお手のもの 吐きやすい柔らかいものを食べる
いつか別れるかもしれないから 形あるものは全ていらない
君が幸せに生きるなら 僕はボロボロでかまわないと
身代わりになって何度も死んでたら 姿形はバケモノさ
だけど

出典: 死神/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子