BUMP OF CHICKEN『ほんとのほんと』
『ほんとのほんと』ってどんな曲?
今回は、BUMP OF CHICKENが23枚目にリリースしたシングルのカップリング曲を紹介します。
大人になるとなかなか表現しにくくなる本音。そんな本音が通じ合うことは、難しくも素晴らしいことです。
その素晴らしさが存分に詰め込まれている歌詞の世界を、一緒に覗いてみましょう。
言葉は凶器?
尖っているのは…?
尖った言葉がいくつか 壁にぶつかって 転がって冷えた
ざわついたまま 静かになって 時間だけがすり抜けた
出典: ほんとのほんと/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
冒頭から比喩表現の美しさが際立っています。
言葉が「尖っている」というのは、一体どういうことでしょうか。
尖っているものは、触れると痛かったり、ケガをしたりします。
つまりこれは相手を傷つけたり、相手に突き刺さったりするような言葉のことを指しているのです。
そんな尖っている言葉は、当然ながら勢いがあります。
だからこそその勢いのまま、壁にぶつかってしまったのでしょう。
冷えたのは…?
また、1行目後半では言葉が「冷える」という比喩表現が登場していますね。
これも難しい表現ですが、言葉は発せられた瞬間こそ最大限の熱量がこもっています。
それが時間の経過とともに変化していった…。
つまり言葉の鮮度が落ちたということを、この言葉で表現しているのでしょう。
2行目前半でも、そんな風に熱を持っていた言葉が次第に冷めていく様子が描かれています。
主人公は、相手にぶつかることなく言葉が冷めていく様子を目の当たりにしたのでしょう。
それ故に、次第に何かを発することを諦めていった様子も感じ取れます。
お揃いのはずなのに
傷つけあってしまう2人
誰かが誰か傷つけて だからどちらも 傷ついて
お揃いの気持ちで 離れながら お揃いの気持ちで側にいた
出典: ほんとのほんと/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
お揃いというと、恋人や家族、友人同士で同じアイテムを身に着ける様子がぱっと思い浮かびますね。
いずれにせよお揃いにするということは、相手に対する好意、愛情があるということです。
つまり「気持ちがお揃い」ということは、その相手のことを少なからず認めているのだと考えられます。
想像してみてください。嫌いな相手とのお揃いは、あまり心地の良いものではないですね。
この楽曲中でもその気持ちは同じでしょう。
つまりお互いに傷つけ合いながらも、相手にはある程度の好意、信頼を寄せているということです。
心と体のバランスがとれない
声が聞きたくて なかなか声が出せなくて
心は何度も 呼んでいるのに
出典: ほんとのほんと/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
自分自身が心の内で思っていることと、実際の行動が釣り合っていない様子が表現されています。
心の中でいくら思っていても、それがきちんと相手に届く音として発信されなければ伝わりません。
「思っているだけでは相手には伝わらないよ」ということを改めて教えてくれているのでしょう。
この部分の歌詞ですが、実は対になる表現が後半にもう一度登場します。
そこでも改めて解説はしますが、ぜひ見比べてみてくださいね。