『花の名』と共に収録
映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の主題歌として知られる『花の名』。
『東京賛歌』はそのカップリング曲として収録されている楽曲です。
彼らのカップリング集アルバム『present from you』にも収録されています。
「賛歌」とは何かを讃えるために歌われる曲です。
東京も悪いものじゃない、そんな感想を抱きそうになる『東京賛歌』。
次のようなメッセージが込められているとのこと。
東京は冷たい、危ないなど東京について歌ううたが多いため、「人はどの場所に居てもその人のままである」というメッセージを込めたというが、藤原自身「言いたいことありき」で制作した曲としてはやや珍しいものとなった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/花の名
日本の都会であり中心地である東京。
確かに東京や都会を冷たいと称する歌や物語を聞いたことは一度や二度ではありません。
それに対する東京への応援歌ともいえる楽曲です。
同時に夢を追う人への応援歌でもあるのです。
映画とのつながりも
『花の名』が主題歌を飾る映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』は昭和の東京が舞台。
金の卵として上京してくる若者もたくさんいた時代です。
この作品にはそんな金の卵や親と離れて暮らしている子、夢を追いかける若者などたくさんの人が出てきます。
温かさを感じる街の人々も。
そんな映画の主題歌のカップリング曲と考えると何だかしっくりきます。
映画とリンクしているように感じるのです。
歌詞を紐解きながら今住む場所に思いをはせてみましょう。
決めたのは誰
自由にはいつも責任がのしかかります。
自分で決めるのは大切なことですが人のせいにできないから大変なことでもあって。
そんな時に不満を言うのは文句を言わない街。
文句を言っても変えることはありません。
自分で決めたことですから、重くても何とか歩いて行くのです。
理想に届かない八つ当たりだとしても
嘘が多いとか 冷たいとか 星が見えないとか 苦情の嵐
上手くいかない事の腹いせだろう ここは幾つも受け止めてきた
出典: 東京賛歌/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
嘘つきで冷たい人ばかり、夜も明るすぎて自然ではない。
人が多いわりに孤立している人も多い。
東京を批判する言葉は色々とあります。
これらの言葉は実際に主人公が聞いた愚痴なのでしょう。
そして、呟いたことのある愚痴なのかもしれません。
その不満の感情はどこから来るのか。
自分が順風満帆の状況にあるのならば人はわざわざ不満は言いません。
人が不満を言うのは自分の置かれている状況が望みと異なっている場合です。
「ああなりあい、こうなるべき」。
それが達成されない時、何かに不満をぶつけずにはいられなくなります。
その都合のいい対象が「東京」なのでしょう。
個人にぶつけるよりも罪悪感は少なく、共感してくれる人もたくさんいます。
東京自体が文句を言うわけでもありません。
文句を言うどころか愚痴の多くを受け入れてきたのです。
そう考えると冷たい?と思えてしまいます。
帰ることはできるけれど
何をしに来たんだっけ 誰のためなんだっけ
道路も線路も繋がってるけど そりゃそうだけど
出典: 東京賛歌/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
わざわざ地元を出て東京に来たからには何か目的があったはずです。
誰かに会うため叶えたい夢があったから。
就学、就職等々。旅立つにはそれなりの理由があります。
しかし日々の暮らしが忙しいとその忙しさにかまけて当初の目的を忘れてしまうことがあります。
思考は余裕があってこそ生まれるもの。
目の前のことだけに囚われていては未来のことにまで頭はまわりません。
上手くいかずに落ち込んでばかりでは前に進むことさえできやしないのです。
ふと振り返れば確かにある故郷へとつながっている道。
帰ることだってできると、帰っておいでと語りかけてくる故郷。
しかし主人公には確かに葛藤があります。
簡単には帰りたくない感情が。
叶えられる場所は「ここ」だけ
勝手に飛び出して 勝手に辿り着いた
この街だけが知ってるよ 忘れた夢の 引き出しを
出典: 東京賛歌/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
夢を追いかけて上京したのならばそれは自分の意志によるもの。
誰かのせいにはできません。
そうして辿り着いた場所が自分で考えていた以上に平坦とは程遠いものだとしても。
自分の責任でしかないのです。
もう嫌になって投げ出そうとしてそれでもその場所にとどまるのは何故でしょうか。
それはその夢を叶えられるのは「ここ」でしかないからではないでしょうか。
むしろ「ここ」でしかないと決めてしまったのかもしれません。
この場所でしか夢をかなえられないからこそこの場所にいる。
それ自体が夢を諦めていない証拠なのでしょう。
夢が終わるのは夢を叶えるか、諦めるかのどちらかでしかないですから。