矛盾が渦巻く現場
したいことすら知らない
辛いのは余り堪えられない
からい毒にあまい薬 盾と矛
あっちを立てりゃこちらが
嫌いな相手にも好かれたい
事情を呑んでいる間に生涯
費やしそうで
出典: 労働者/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
この部分は仕事に限らず、様々な人間関係にも当てはまるかもしれません。
結局、自分自身でも情熱を傾けられることがわからず、楽をしたいだけ。
しかも誰からも嫌われたくない為、他人の言うことを聞くだけで精一杯になっているという話です。
格差社会の上層以外から法廷に直談判したり、トップに取り入ったり、お金で解決しようとしたり。
主張には一貫性がありません。
働く方々の悲痛な叫びを代弁してくれているようですが、逆に問題点を浮き彫りにしているとも考えられます。
対立を避ける為、歌詞そのものが様々な立場の都合を聞き入れているところも興味深いですね。
プライベートな人間関係なら、苦手な相手と無理して関わる必要はあまりないかもしれません。
しかし仕事の現場では好き嫌いといった感情を挟む余地などないものです。
不得意な業務にばかり携わっているとそもそも何をやりたかったのかという目的を見失うこともあるでしょう。
一貫性のある主張など、できない。
仕事に矛盾はつきものともいえます。
葛藤や夢の果ての解放感
したいこと見付からない
なげいては恰好付かない
怒ったように慎め口
上は見ないぜ
したいことだけしてたい
悪いのは何奴だ顔見せな
始終くだを巻いていても
お願い夢を見させて
出典: 労働者/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
人生を嘆くというブルース。
ブラックミュージックのルーツを歌詞で体現する為なのか、最後まで嘆きっぱなしでした。
矛盾だらけの願いも、斜に構えた考え方も、すべては労働者の夢と葛藤。
リズムに乗り、高らかに叫び歌うことで不満が昇華されるというソウルミュージックの真骨頂が展開されました。
最終的に、この曲を聴く方は解放感を手に入れたのではないでしょうか。
もっとお金が欲しい、楽をしたいなどなかなか叶わない夢かもしれません。
自分勝手な願いを吐き出していることも、実はわかっているはずです。
つまり本当に労働者が欲しかったものは夢や葛藤を叫ぶことによる解放感。
そう解釈しました。
最後に
いかがでしたか?
椎名林檎さん「労働者」の歌詞は、叶いそうもない夢や矛盾混じりのグチがてんこ盛りでした。
ただ、働く方々の心の叫び、つまりソウルミュージックと考えると、カタルシスに達したのではないでしょうか。
歌や音楽には浄化作用がありますね。
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