理想郷とは
『シャングリラ』はチャットモンチーの3枚目のシングルにして最大のヒット曲。
フジテレビ系アニメ『働きマン』エンディングテーマでもありました。
この曲には、素直じゃない不器用な恋人の支えになりたいという思いが込められています。
身近な機械である携帯電話を取り扱っており、そこも人々の共感が得やすい部分なのではないでしょうか。
シャングリラとは恋人の名前?
「シャングリラ」には理想郷という意味があります。
小説『失われた地平線』に登場する理想郷の名称が「シャングリラ」。
そこからシャングリラ=理想郷と意味するようになったとか。
しかし、実はこの曲におけるシャングリラは「理想郷」という意味ではないんです。
歌詞中に出てくる「シャングリラ」とは、恋人の名前であり、地上の楽園などを意味する「シャングリラ」とは関係ない。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/シャングリラ_(チャットモンチーの曲)
歌詞を見れば「シャングリラ」に呼びかけていることがわかります。
理想郷に呼びかけはしません。
恋人の名前ならばシャングリラ、と呼びかけるのも納得です。
しかし理想郷を意味する言葉を恋人の名前としたことは意味があるのではないでしょうか。
この曲の主人公は大切な人にどうあってほしいか、どうありたいかを訴えています。
それはまさしく主人公にとっての理想。
その理想が叶うように理想郷を意味する言葉を、恋人の名前としたのではないでしょうか。
彼女たちの理想郷に足を踏み入れてみましょう。
恋人への呼びかけから始まる
ダメなところも愛おしい
シャングリラ 幸せだって叫んでくれよ
時には僕の胸で泣いてくれよ
シャングリラ夢の中でさえ上手く笑えない君のこと
ダメな人って叱りながら愛していたい
出典: シャングリラ/作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子
これは歌詞の冒頭の部分。
この歌詞から『シャングリラ』は始まります。
恋人への呼びかけから始まるんです。
恋人へ呼びかけるのは恋人に望むこと。
幸せだと思ってほしい、泣きたいときは自分の胸で泣いてほしい。
自分に甘えて欲しいという感情はとても微笑ましいもの。
それにしても主人公の大切な人は随分と不器用な人のようです。
夢の中でさえということは、現実でも上手く笑えていないということですから。
そんな相手に対する歌詞の最後の1文。
「しょうがないなぁ」なんて言葉が聞こえてきそう。
そこには確かに相手に対する愛情が溢れています。
流れていく物、自分で進んでいく者
物は自分で動くことはできません。
対して人間は自分の意志で歩いて行くことができます。
何処に歩いて行くかは自分自身で決めていくのです。
流れていく道具
携帯電話を川に落としたよ
笹船のように流れてったよ あぁあ あぁあ
出典: シャングリラ/作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子
この曲が発表された2006年にはまだスマートフォンは誕生していませんでした。
スマートフォンの登場以降だったならば、ここの歌詞はスマートフォンになったのでしょうか。
携帯電話、スマートフォン。
自分が今持っている通信端末を連想してみてください。
携帯電話は人々にとってなくてはならないツールです。
財布を持ち歩かなくとも携帯電話を持ち歩いているという人は多いのでは。
おサイフケータイなんて便利な機能もあります。
手のひらサイズの小さな機械1つで大抵のことができてしまいます。
そんな携帯電話を落としてしまった主人公。
転んだのか手が滑ったのか、多くの原因が考えられます。
どちらにせよ、水に落ちてしまった携帯電話は修復不可能でしょう。
川に流されたならその本体を拾うことすらできません。
落としたことに気づいたら手の届かない場所まで流れていったはずです。
笹舟のようにプカプカしながら川の流れに沿って流れていきます。
その割に主人公はあっさりし過ぎている気もします。
「仕方がない」という声が聞こえてきそうです。
他に何か気がかりなことがあるのでしょうか。