はじめに
寂しくも悲しいメロディーに乗せた、陽水のあやしくてセクシーな歌声が切ない、一度聴いたら忘れない不思議な魅力がありますよね。
何度聞いても、読み返しても、考えたくなる歌詞がまた素晴らしいのです。
今回は、「ジェラシー」の歌詞の世界にも踏み込んでいきたいと思います。
陽水ワールドを紐解く一助となれば幸いです。
井上陽水について
今更ですが井上陽水は日本を代表するシンガーソングライター、作詞家、作曲家、プロデューサーです。
1969年に「アンドレ・カンドレ」名義でCBSソニーよりデビューするもシングル3枚を残し活動を休止。1972年にポリドールより「井上陽水」として再デビューします。
アルバム「断絶」よりヒットを重ね、数々の浮沈を繰り返しなら今日に至ります。
このような短い文章ではその輝かしい功績を紹介しきれていませんが、スペースの都合上とご了承いただきたいです。
「ジェラシー」について
あやしい夜を待って収録曲
その後発売された「あやしい夜をまって」の1曲目としても収録されています。
このアルバムタイトルの何とも言えない雰囲気が好きという方も多いのではないでしょうか。
個人的には、陽水のイメージにピッタリだと思います。
歌詞の意味を解説!
井上陽水の歌詞作成法!
「ジェラシー」の解説に入る前に、伝えておきたいことがあります。
それは、陽水の作詞における基本構造です。
陽水は、作詞をするときに国語辞典をひくそうです。
その中で、本人が面白いと思う単語を抜き出してきて、それを繋げて歌詞にしてしまうというものです。
つまりは、本人の美意識に敵う単語の羅列から生まれる歌詞ということになりますから、ストーリーやコンセプト、意味が明確にされていないことが多いということでもあります。
だからこそ、陽水の歌詞は単語からくる印象やメッセージが強いのかもしれません。
奥さんへの嫉妬心を歌詞に?!
そんな中で、「ジェラシー」は明確な目的があります。
陽水本人が「奥さんへの嫉妬心」を歌ったものであることを告白しています。
歌詞の意味
ジェラシー 愛の言葉は
愛の裏側 ジェラシー
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
「ジェラシー 愛の言葉は」とくれば普通は、甘い言葉を連想します。
「愛の裏側 ジェラシー」と続くと何か意味深なものを感じますよね。
陽水のあやしさはこういった行間から生まれるような気がします。(もちろん歌い方や仕草などもありますが。)
愛の裏側とはよくいったもので、ジェラシー=嫉妬心は、愛する相手の気持ちが他のものへ向かうのを疎ましく感じる感情です。
愛しているが故に、思い通りにならない為に憎しみへと変わる感覚を、裏側とするのは言い得て妙ですよね。
窓辺にたたずんでる 君を見てると
長い年月に 触れたような気がする
夕焼けの空のどこかで
忘れた愛が忍び込む
流れるのは 涙ではなく汗
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水