「それが全てで 何もないこと 時のシャワーの中で」という部分も、時の流れを「時のシャワー」と表現するところがさすが!というところです。
草野さんの歌詞は非常に詩的で美しいですよね。
5位:「ホタル」
歌い出しの吸引力がすごい
時を止めて 君の笑顔が
胸の砂地に 浸みる込んでいくよ
闇の途中で やっと気づいた
すぐに消えそうで 悲しいほどささやかな光
出典: ホタル/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
歌い出しの「時を止めて 君の笑顔が 胸の砂地に浸み込んでいくよ 闇の途中でやっと気づいた すぐに消えそうで悲しいほどささやかな光」
というフレーズだけで、曲の世界に引き込まれます。透明な声と悲しい歌詞が、それこそ「胸の砂地に」染み渡るようです。非常にドラマティックな曲だと思いました。
ひとつずつ バラまいて片づけ
生まれて死ぬまでのノルマから
紙のような 翼ではばたき
どこか遠いところまで
出典: ホタル/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
生まれてから死ぬまでの一生を「ノルマ」と表現する感性や、「紙のような翼」という表現が独特ですね。自分自身をとても軽い存在だと言っているような印象もあります。
これは、「ロビンソン」の「風が吹いて飛ばされそうな 軽いタマシイで」という表現に似ている気がしました。
甘い言葉 耳に溶かして
僕のすべてを汚してほしい
正しい物はこれじゃなくても
忘れたくない 鮮やかで短い幻
出典: ホタル/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
甘美な言葉は至福です。しかし、そんな甘い言葉で汚すという、マイナスの意味を持ってくるところが草野さんらしいですね。
どこか背徳感があり、かえってクセになりそうな魅力を持っているのです。
「鮮やかで短い幻」は、人の一生がとても短いことを象徴しているようにも聞こえます。タイトルも「ホタル」と、命が短い生き物を持ってきているあたりが深いです。
4位:「スカーレット」
予定外の書き下ろし曲
「スカーレット」は「メロディ」というドラマの主題歌に起用されました。
もともとは、「インディゴ地平線」に収録されている「初恋クレイジー」をシングルカットして主題歌にすることを考えていたようです。
しかし、テレビ局からどうしても新曲がほしいと頼まれ、新たに作ったのが「スカーレット」なのです。
離さない このまま 時が流れても
ひとつだけ 小さな赤い灯を
守り続けていくよ
出典: スカーレット/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
イントロから素敵な予感がしましたが、サビを聞いた瞬間に好きになりました。
「離さない このまま 時が流れても ひとつだけ 小さな赤い灯を 守り続けていくよ」という歌詞とメロディが心地よく、胸に焼き付けられました。
1度聞いたら忘れることのできない曲です。
乱れ飛ぶ声に かき消されて
コーヒーの渦に溶けそうでも
ゆらめく陽炎の向こうから
君が手を伸ばしたら
出典: スカーレット/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
「乱れ飛ぶ声に かき消されて」しまいそうな弱い自分、でしょうか。それを「コーヒーの渦に溶けそう」と表現するところが面白い感性ですね。
そんなか弱い自分でも、「君」が手を伸ばしてくれたら生きてゆける、そんな、温かい愛の歌です。