この人生ってヤツはつくりばなし
自分の手で描いて行くしか無い
あの日でっち上げた無謀な外側に
追いついてく物語

出典: サントラ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

俳優は物語を演じる人間です。

けれど生身の人間には映画ドラマのような波乱万丈の脚本は用意されてはいません。

あらかじめ物語として作られた人生なんてない。

だからこそ人生は自分で作り上げていく物語なのです。

自分の夢というエンディングに向けて自分の手で描いていく物語。

その夢が大きく遠いほど追いつくのは苦しいかもしれません。

けれど夢を持った瞬間からその人を主人公にした物語は始まっています。

俳優に限らずスポーツ選手や小説家、あるいは社会人としての出世。

どんな夢も持った瞬間はその人よりも外側にあります。

叶うかわからないほど無謀なその夢を叶えるために、必死で自分の人生を生きていく。

「物語」とはその人の夢であり「外側」がその夢を叶えた場所です。

自分で作り上げたその夢、その外側に追いつけるように全力で生きていく。

そんな夢を追う人生そのものが「外側に追いつく物語」なのです。

表現を突き詰める生き方とは

自分を追い詰めながら夢を追う

ペンを持てばマイクロフォン握れば
一度回る溝に針を落とせば
幕が上がれば 板の上に立てば
カメラが回りスタートがかかれば
俺は最強で単純で最低な奴
異常で繊細で平凡な奴
引き出しが空っぽになるまで全部を出しても
出しても出しても飽き足らず
ココロとカラダの恥部を晒す

出典: サントラ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

リリックを書きマイクでパフォーマンスを披露するラッパー。

ターンテーブルで音を表現するDJ。

そして舞台やカメラの前で演技する俳優。

彼らの生業は人の感情を動かすことです。

一度舞台に上がればどんな千差万別な存在にも成り代わります。

強気な役や悪役を演じるときもあれば、理解できないような異常な人間になるときもある。

かと思えばごく平凡な人間を演じることも求められます。

そうした存在を表現するために、彼らは生身の自分たちの経験や想いを使い果たして考えます。

役や表現したい世界をどんなに追求してもまだ足りない。

見せたくない心の中も身体もすべてさらけ出して、自分を削るようにして表現を突き詰めていきます。

あの頃夢見た自分になれるか

幾度と無く自分を笑う
首吊り台からピース ワンラブ
こんな俺を認めてくれるか?
あの頃の俺は惚れてくれるか?
パッと咲き誇り散って行くのか?
じっと枯れ残り腐って行くのか?

出典: サントラ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

表現者として悩み苦しみ、自分を笑う日々。

首吊り台という表現はを思わせ、ピースワンラブは別れの言葉としても使われるものです。

ぎりぎりの瀬戸際まで追い詰められ悩みながら彼らは自分自身を突き詰めます。

かつて夢見た通りの生き方をできているだろうか。

華やかに活躍してすぐに消えてしまう道。

いつまでも売れずに夢にしがみつく道。

自分はこれから表現者としてどちらの道を行くのか。

答えはないまま、手探りで進んでいくしかありません。

天才になれなくても生きていく

27歳の意味とは

26最後の夜、少し期待して目を閉じ眠る
27最初の朝、何事も無くまた目が覚めた

出典: サントラ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

この部分はR-指定のラップにそっと菅田がユニゾンしています。

20代後半という彼らにとって特別な年齢。

芸能界には「27club」という伝説があります。

ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズや、ギタリストのジミ・ヘンドリックスなど。

天才と呼ばれるアーティストは27歳で夭折するという都市伝説です。

才能あるアーティストや俳優ほど早逝する。

そんな印象をなんとなく抱いている方も多いかもしれません。

26歳最後の夜、このまま眠って目が覚めなければ自分も「天才」の一人になれるかもしれない。

けれど27歳最初の朝は当たり前のようにやってきます。

それは生きて夢を追えるという幸せなこと。

同時に自分は神様から選ばれた天才ではないとも感じてしまう、ほろ苦い想いが重なります。

生きて表現し続ける在り方

ツレが遠くへ旅立った日
身内があっちへ行った日
ステージの上から画面の向こうから
この口でほざく「どう? 調子!」

出典: サントラ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永