流行りもののラブソング
どれも全然 自分に当てはまらなくて
出典: irony/作詞:柳沢亮太 作曲:柳沢亮太
ポピュラーソング市場の大半を占めるのは性愛に関する歌です。
プレスリーの時代から変わらぬその事実にSUPER BEAVERは一石を投じようと試みます。
それが自身の恋愛を俯瞰的に描くことでした。
『irony』という曲で主人公は感情の揺れ動きを終始客観視しています。
そのことでSUPER BEAVERはこれまでとは異なる恋愛表現を試みたのです。
ゲームなのに頬を伝う涙
不意の涙が 間抜けすぎて
まるで笑えないや
出典: irony/作詞:柳沢亮太 作曲:柳沢亮太
しかしこれまで冷酷なまでな客観視を決め込んでいた主人公が初めて素顔を晒します。
ゲーム=勝負だと思い込んでいたのに一粒の涙が頬を濡らしたのです。
人が涙を流すのはどんなときでしょう?
それは感情が溢れ出してしまったときです。
自分でも説明のつかない感情に動揺する主人公。
そこに“アイロニー=皮肉”を込めることはできませんでした。
気付いてしまった本当の気持ち
たった1人を愛しいと感じる不思議な感情
手綱を取るのはどちら?
実は全然 思いのままにならなくて
ゲームのはずが 本気混じり
まさかの恥ずかしさ
出典: irony/作詞:柳沢亮太 作曲:柳沢亮太
主人公はおそらく初めて感じてしまった感情の揺れ動きに動揺しているのでしょう。
そもそも感情をゲームのキャラクターのように支配することはできないのです。
思惑とは裏腹に彼女の姿が目に浮かんでは消えていく。
日本の人口は約1億2000万人、そのうち女性の人口は約6500万人といわれています。
これだけ多くの女性がいる中でたった1人を愛しいと感じることができるのが恋愛感情です。
その感情は理屈や統計学では説明がつきません。
友達以上恋人未満だと感じていた主人公の感覚は次第に感情に支配されていくのです。
認められないのは男の理屈?
嫌いじゃない 好きとは言えない
認めてしまえば負けちゃうとか
不毛すぎる自問自答
出典: irony/作詞:柳沢亮太 作曲:柳沢亮太
これまでの人生でここまで1人を大切だと感じることがあっただろう?
男性特有の理屈で事象を捉えようとする思考に囚われてきたであろう主人公。
しかし過去に似たような感情を感じたことがあることに気付きます。
それは思春期の甘酸っぱい初恋の記憶です。
当時の自身はその気持ちに説明をつけようとしたのでしょうか?
きっとそんなことに囚われず寝ても覚めても1人のことを考えていたはずです。
子どものようなプライドが邪魔をする
切り出せない 面倒くさいと
捨てられるのは耐えられないから
繰り返すだけ
出典: irony/作詞:柳沢亮太 作曲:柳沢亮太
初恋のような甘い恋の記憶を思い出してしまった主人公。
1つ前のフレーズで自身の気持ちを言い出せないと綴っていました。
「あなたが好き」というたった一言をなぜ相手に伝えることができないのでしょう?
それは多くの男性諸氏が持つであろう子どものように幼いプライドが邪魔をするからです。
そのプライドが本当は大したものではないことに気付けない自身を見つめた結果。
それが『irony』というタイトルに表現されていたのです。