宇宙を口に含んだら
魔法のかかる季節だね
もう一つ目の栓は抜いたよ
終わらない夏に
ただ渦を巻いた

出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

ここで初めて主人公が登場します。

詳細は不明ですが女の子が亡くなった後にそのプールにやってきた主人公。

ここでいう「宇宙」とは恐らくプールの水のことを指しているのでしょう。

月の光にうっすらと照らされているプールの水はきっと宇宙のような色をしていたのだと思います。

その水を吸い込んでいる女の子を主人公は目撃したのでしょう。

そして、慌ててプールの栓を抜いたのだと思います。

渦を巻くように流れていくプールの水。

でも、主人公がやったのはプールの栓を抜くという行為だけのようで、他に女の子を助けるような行動はとっていません。

つまり、女の子がすでに亡くなっていると分かったのでしょう。

ちなみに「魔法のかかる季節」とは、女の子の願いが叶ったという意味だと解釈しました。

女の子は生前「鯨になりたい」といっていました。

そして、亡くなった今、女の子は水底で横たわっています。

その姿はまるで鯨のようだったのでしょう。

「鯨になりたい」という一見むちゃくちゃな願いが死を通して叶った。

だから「魔法」という言葉を使って表現しているのだと思われます。

2番~ラストにかけての歌詞

プールの水とともに流れていく女の子の生きた日々

まるで古びた映画みたいな景色だ
僅かでも確かに水位は下がっていく
君が壊れ始めるまでの日々も
音を立てながら流れてしまうみたいで

出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

衝撃的すぎる光景を目の当たりにした主人公。

しかし夜で辺りがよく見えなかったことから、鮮明に景色を見ることはできなかったのでしょう。

だから、写りが鮮明でない「古びた映画」と表現していることが分かります。

主人公がプールの栓を抜いたおかげでどんどんと下がる水位。

その様子を見ながら、主人公は生前の女の子の様子を思い返していたのでしょう。

「君が壊れ始める」といっているので、女の子は毎日徐々に精神を病んでいったのだと思います。

そんな女の子の葛藤の日々が、まるでプールの水と一緒に流れ出しているように見えたのだと解釈できますね。

プールの水がなくなるのとともに、女の子の生きていた日々もなくなっていく。

そんな悲しい心情を描いているように感じられます。

女の子に追悼の意を捧げた主人公

丑三つ時 夜の帳
君は笑ってくれる
プールサイド
秘密の追悼

出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

丑三つ時とは、午前2時~2時半の時間帯を指します。

要するに真夜中ということです。

「君は笑ってくれる」といっていますが、女の子は亡くなっているので笑顔を作ることはできないはずです。

これは筆者の勝手な解釈ではありますが、恐らく水面が揺れたため笑ったように見えたのではないでしょうか。

真夜中で水中の様子をくっきりと見ることはできなかったはずです。

だから、わずかな月の光とプールの水の揺れによって、笑顔を作っていると錯覚したのでしょう。

追悼とは、亡くなった人の死を悲しむこと。

プールサイドにいた主人公は、笑顔のような表情の女の子を見ながら、追悼の意を表したのだと思われます。

鯨の目のような月と、感情的になる主人公

重い重い闇を背負って
細い弧を描いた
あの月がさ
鯨の目の玉みたい
カルキの匂い 目眩 寒い
胸が痛い
今、空が落ちてきた。

出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

前半部分は、空に浮かんだ月のことについて歌っていることが分かります。

真っ暗闇の中で細い弧を描いている月を見た主人公。

その月は、まるで鯨の目のようにまん丸だったのでしょう。

女の子が「鯨になりたい」といっていたのを思い出したためにそのように感じたのかもしれません。

歌詞の後半では、感情的になっている主人公の気持ちが描かれています。

プール中に漂っているカルキの匂いや目眩、寒気、胸の痛み。

そんな不快な感覚が一気にこみ上げてきた様子を表現していますね。

女の子が亡くなったという現実を改めて認識することによって、悲しみや痛みが押し寄せたのだと思います。

そしてここで登場する「空」とは恐らく、プールの水のこと。

「空が落ちる=プールの水が落ちる」ということなので、さらに水位が下がってきている様子を描いています。

明け方になったプールサイド

ねぇ飛沫をあげてみせて
魔法の解ける時間だよ
もうこれで全部栓は抜いたよ
僕だけを残し 空になった水槽
金色の朝の中
「 」

出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

「飛沫をあげて」という部分には"女の子がもう一度動けばいいのに"という思いが込められているように感じられます。

からだを動かして飛沫を上げるという動作は、当然生きていないとできません。

だからどんなに願っても主人公のその思いが叶うことはないのです。

なんだかとても切ないですね。

また「魔法の解ける時間」というのは、女の子が鯨のように見えなくなってしまったということなのでしょう。

つまり、プールの水が全部抜けて鯨のように見えていた女の子の姿がはっきりと見えるようになったということ。

しかも「金色の朝の中」といっているので、太陽の光が差し込んできているようですね。

女の子に追悼の意を捧げているうちに、気がついたら明け方になっていたのでしょう。

一番最後の「」は、とても意味深なのでリスナーによって解釈が変わりそうですね。

筆者の場合は、魂がなくなって空っぽになってしまった女の子のことを指しているのかなと感じました。

おわりに

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