涙溢れるな
静かに息を吐き出して
堪えて飲み込んだ
誰にも気付かれないように
僕「らしさ」ってなんなんだろうか
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON
実際誰かに助けを求めたわけではないようです。
おそらくこの曲の主人公「僕」は、自分の弱さを見せることを嫌っているのでしょう。
苦しくて、悔しくて泣いてしまいそうなときでも「落ち着け」と自分に言い聞かせます。
この部分を読むと「泣くことが恥ずかしい」と思っているようにも感じますが、そうではないようです。
彼が今までの人生で作り上げてきた「自分」を壊してしまったら、自分でいられなくなってしまうのです。
僕「らしさ」ってなんなんだろうか
誰か答えてくれ
僕には何がある 何ができる
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON
誰かのために生きるのが自分の姿なのか、それともその結果苦しむのが自分なのか。
それとも今守ろうとしている自分の姿は、無理をして作り上げたものなのか。
苦しみを厭わない人もいるでしょう。無理をすることを望んでいるのであればそれで良いはずです。
しかし主人公は苦しいままでいるべきなのか、無理をし続けるべきなのか迷ってしまっているのではないでしょうか。
他者が「人のために尽くす姿が君らしさだね」と言うのであれば、それに合わせるのもひとつの手段でしょう。
明確な回答がない状態では、このままで良いのか悪いのか判断ができません。
だからといって、他者に「どう思う?」と訊いて回るような性格でもないのでしょう。
風に吹かれて
見つめた光
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON
ユリの花を見たことがありますか?
花はとても大きく、それでいて茎は不安になるような細さなのが特徴的です。
このアンバランスさゆえ、風が吹くとゆらゆらと揺れてしまいます。
今の自分のままで良いのか、それとも別の生き方をするべきなのか。
この歌詞、そして曲名『Lily』は、ユリの花が揺れる様子と主人公の心の揺らぎを重ねているのではないでしょうか。
彼はあちこち余所見をするわけではなく、目の前の一点を見つめています。
さて、これは何を表しているのでしょうか。
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自分を一番理解してくれるのは誰?
現代社会で「自己顕示欲」はあまり良いものとされません。
それでいて誰もが持っている欲求なのです。
はたしてそれは悪なのでしょうか。
せめて気づいて欲しい
やけに大きく 聞こえる雑音に
苛立っている
褒めてほしくて 認めてほしいの
ほんの少しだけ
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON
誰かのために、と思って行動している人は「人のために頑張っています!」とアピールしません。
縁の下の力持ち、といわれる状況ですね。
他者のための行動が認められて初めて「縁の下の力持ち」と評されます。
また、誰かのための行動でなくても、人に見えない場所での努力というものもあります。
これもまたアピールをしないのが一般的です。
自分を含めて誰かしらが幸せになればそれでいい。本当にそうでしょうか。
自分の足跡は誰かが無意識に蹴り上げた土で覆われ、見えなくなっていきます。
自分が「頑張った」という証がなくなってしまうのです。
人知れぬ努力をしたり、誰かのために身を粉にした「結果」だけが評価されて、満足できるのでしょうか。
人間誰もが「自己顕示欲」を多かれ少なかれ持っています。
成功のために積み上げた努力を、たったひとりでもいい、誰かに見てもらいたいという希望を抱いているのでしょう。
太陽は見ている
青すぎる空の下
胸にグッと力を込めた
この強がりも悔しさも
脈を打つここで
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON
結果だけが評価され、縁の下で発揮した力も人知れぬ努力も日の目を見ません。
評価なんてされなくたって良いんだ、と感情を覆い隠すことや、結果しか見てもらえないことへの苛立ち。
主人公にとってはどちらも自分の弱さだと感じているのかもしれませんね。
こうした弱さをこれ以上膨らませないように押し潰します。
空の青さは太陽の存在を示しているのでしょう。
誰の頭上からも平等に光が降り注いでいるのです。
誰かではなく自分が気づいてあげられるように
まださ、やれるから
強く握りしめたこの手
伸ばして届くかな
確かに見えた小さな光
出典: Lily/作詞:PON 作曲:PON