高校卒業後のリアルな歌詞
歌詞は大森元貴さんが高校を卒業した翌日がテーマになっているようです。
大森元貴さんは高校在学中にメジャーデビューするという目標を掲げており、音楽に時間が取れる通信の高校を選んだそうです。
なので一般的な高校生活とは違っていたようです。
「思い出なんて出来るわけない」と思っていたにも関わらず、学校に行くことは楽しく、愛おしく、そんな時間はかけがえのないものでした。
その時の思いが歌詞に閉じ込められています。
「早いものね」と心が囁いた
言われてみれば 「うん、早かった。」
また昨日と同じ今日を過ごした
そんなことばっか繰り返してた
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
気がつけばもう卒業か〜、といったところでしょう。
昨日と今日はほとんど変わらないし、今日と明日だってほとんど同じです。
ですが気が付けば時間は経ち、卒業を迎えることになったのです。
「憧れ」「理想」とたまに喧嘩をした
どうしても仲良くなれなかった
青さのカケラが行き交うが
やっぱり摘み取ることは出来なかった
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
”喧嘩”、”青い”という若さを感じる言葉が出てきます。
喧嘩といえば、一般的に相手として友達が出てくると思いますが、その相手は「憧れ」「理想」でした。
つまり自分との戦いの日々だったのです。
「憧れ」「理想」というものは、年相応の高校生ではなく”18歳でメジャーデビューした話題の高校生シンガー”などと騒がれる人だったのでしょう。
実際にそれを叶えることは出来ませんでした。
高校生だからこそ味わえる、くだらないけどかけがえのない日々があり、それに逆らうことは出来なかったのです。
大嫌いだ
人が大嫌いだ
友達も大嫌いだ
本当は大好きだ
明日が晴れるなら それでいいや
明日が来(きた)るのなら それでいいや
あなたが笑うのなら なんでもいいや
世界は変わりゆくけど それだけでいいや
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
”大嫌い”なんて思ってみても、それはただ気持ちの裏返しなだけで、本当は大好きなのです。
自分の夢を苦しみながら叶えることは素晴らしいことかもしれませんが、目の前にも小さな素晴らしいことが沢山溢れています。
友達と過ごした時間は戻ってこないし、大切な時間だったのです。
周りを見ずに自分のことばかりになっていた頃はもう終わり、卒業して少し楽観的になれたようです。
「ありがたいね」と心が囁いた
言われずとも ちゃんと解っていた
また昨日と同じ今日を過ごした
そんなことばっかり思っていた
「涙」や「笑い」も少なかったりした
実はそんなこともなかった
春が息吹く 桜の花も舞いはせず
ただ陽に照らされていた
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
”ありがとう”という感謝の言葉は口に出さなければ伝わりません。
感謝の気持ちを持っていても伝えられない時はあります。
上手く気持ちを伝えられず、ズルズル引きずっていくような毎日だっのかもしれませんね。
卒業した時は何も無かったと思っていた学校生活でも、卒業してからの本当に何も無い毎日より、遥かに中身のある生活だったのです。
大嫌いだ
今日が大嫌いだ
昨日も大嫌いだ
明日が大好きだ
いつか いつか 見つけてくれるのなら
いつか いつか 大切に思えるなら
あなたが生きてさえいれば なんでもいいや
私が生きているなら それでいいや
それがいいや
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
卒業して少し時間があいて、視野が開けたのでしょう。
本当は多くを望んでいない、生きていけるだけで幸せがそばにあるのです。
明日が来てくれればそれだけでいい。そんな風に思えるのです。
大嫌いだ
人が大嫌いだ
友達も大嫌いだ
本当は大好きだ
出典: 春愁/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
最後の歌詞でも言葉が裏返しになっています。大好きなみんなに気持ちを伝えられたのでしょうか。
筆者は最後まで素直になれず、伝えられなかったのではないかと思いました。
だからこそ大切なことを歌にして届けようとしたのかもしれません。
学生に聴いてもらいたいと言っていたのは、自分と同じような気持ちの学生に何かを伝えたいという思いがあったのでしょう。
裏声部分に注目!
サビの”大嫌い”の部分は裏声を使っています。
これは声を裏返しにしているだけではなく、言葉の意味も裏返しになっているのかもしれません。
”大好き”という部分は地声を使って歌っています。
作曲してたまたま大嫌いな部分が裏声になって、大好きな部分が地声になっただけかもしれませんが、よく出来ているなと感心させられました。
終わりに