UVERworld「激動」

UVERworldのシングル「激動」の動画を再生してみる♪歌詞解釈ありの画像

2度目のアニメ主題歌

UVERworld「激動」は、2006年にアニメ化された「D.Gray-man」主題歌になりました。

原作が週間少年ジャンプで連載されていたこのアニメは、世界を救うための壮大な戦いがテーマとなっています。世界の駆逐を進める組織との激しい戦いや、その戦いに身を投じながら自身の運命と向き合う主人公の姿を描いた、大人気作品となっています。

UVERworldアニメ主題歌を務めたのは、これが初めてではありません。デビューシングルである「D-tecnoLife」も、アニメ「BLEACH」のタイアップに起用されています。

アニメの主題歌はアーティストにとって、自分のファンとは違う層の人々に名前を知ってもらえる大きなチャンスです。しかしその一方で、イメージに合わない曲になってしまえばアニメを好きな層や自身のファンからも悪いイメージも持たれてしまう可能性もあります。

今でこそ大人気グループの彼らですが、デビュー当時はアニメ主題歌を務めることに不安もあったのではないでしょうか?

D-tecnoLife
UVERworld
ソニー・ミュージックレコーズ

そんな不安を吹き飛ばし、多くの人から支持されるロックバンドに成長したUVERworld

デビューから10枚目となるシングルであるこの曲もアニメのタイアップ曲ということで、この曲にはおそらく初心を大切にする気持ちや、さらに新たな層に音楽を届けたいという気持ちも込められてリリースされたのではないでしょうか。

そして、この作品は2008年6月11日にUVERworldにとって初めての両A面シングル「激動/Just break the limit!」として発売され、自己最高の初動売上を記録しました。

この曲のキャッチコピーは「-始まりに”激動”あり-」です。さて、どんな曲なのか見ていきましょう。

激動/Just break the limit!
UVERworld
ソニー・ミュージックレコーズ

「-始まりに激動あり-」。曲の始まり「イントロ」に特徴あり!

長いイントロに込められた秘密は?

「激動」の大きな特徴のひとつは、「イントロがものすごく長い」ことです。

歌が始まるまでの間におよそ1分もイントロが続きます。さらにそのイントロは、「激動」の曲名や爆発的なサビからは想像もつかないほど静かな始まりです。

おそらく、最初に聴いたときは「なぜこんなに静かで長いイントロなんだろう?」と思うでしょう。しかし、何度も聴いてこの曲に魅せられていくうちに、「このイントロなくしてこの曲はない」と思うはずです。

なぜなら、この曲は最初から勢いに任せて始まるのではなく、少しずつ、じわじわと気分を上げさせる曲だからです。サビに向かってゆっくりと、まるで主人公がボスに向かって一歩ずつ歩いていくときのようにじわじわと曲が盛り上がっていきます。

曲を聴いていると、これから来る「激動」、つまり爆発的なサビを大事にするため、より強調させるために丁寧に気持ちを煽られていくのが分かります。まるでこれから来るサビに向けた、の前の静けさのような始まりです。

歌詞から感じる「激動」

最初から攻撃的な歌い出し

研ぎ澄ます eyes
聞き飽きたフレーズや
誰かのコピーじゃ満たされないんだよ
spark 消えてくれ
また虎の威を借りて 吹いてくんだろ

出典: http://j-lyric.net/artist/a01151c/l00d0e7.html

歌詞の始まりから、かなり攻撃的で強気な姿勢を感じます。

歌詞では「聞き飽きたフレーズ」「誰かのコピー」「虎の威を借ること」を「消えてくれ」と激しく否定しています。これはつまり、「ニセモノ」でなく「ホンモノ」の力や心に満たされたいという願望の表れではないでしょうか。

だからこそ、「ホンモノ」を見つけるための「eye」を研ぎ澄ます、と言っているように感じられます。

切なく気持ちを煽るサビの歌詞

見えていた物まで 見失って僕らは
思い出の海の中 溺れていくのに
どうして? 誓い合ったことまで
無かったことにして 次のpassport

出典: http://j-lyric.net/artist/a01151c/l00d0e7.html

大切な思い出も少し置いて行こう
全て背負ったままじゃ渡るには重くて
そうして また出逢った時には 少し色濃く暖めてくれ

出典: http://j-lyric.net/artist/a01151c/l00d0e7.html

この部分はサビですが、なぜか歌詞には「激動」の曲名には似つかわしくないネガティブな感情が見受けられます。

「思い出」「過去」も大事だけれども「ホンモノ」ではない。大事なのは今でありそれに続く未来。そのためには過去は少し置いていこう、という、少し傷ついたような様子が思い浮かぶ歌詞です。

「激動」的なメロディーのカッコ良さもさることながら、それとは対照的に少し切なさやもどかしさが感じられる歌詞のギャップにドキドキとさせられ、つい感情移入してしまいますね。