今度逢う時はコートも要らないと
そんなに普通に云えちゃうのが理解らない
…ミルクの白に茶色が負けている

出典: カプチーノ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

コート無しで会う、ということはお互いに自分をさらけ出して恋愛をする、ということでしょう。

いやいやそれはどうなんだ、と。ある程度の緊張感や距離感のある付き合いじゃないと受け入れられない、そんな感情を読み取ることができます。

続く「ミルクの白」は自分のこと、カプチーノのベース、コーヒーの「茶色」は恋人のことを示していると思われます。

相手の年上優位に負けないくらい、否それ以上わたしは大人の価値観や判断力、そして愛情をもっているの。そんなふうに感じとることができる部分です。

何よりもあなたに逢って触れたいの
全て味わって確かめて
イーヴンな関係に成りたい

出典: カプチーノ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

「イーブン」は英語のeven。形容詞では「平らな様子」や「対等」などを意味します。

カプチーノの白い泡・ミルクと、コーヒーの茶色が同じ比率でカップに収まっているイメージですね。

かつ、カプチーノはミルクだけ・コーヒーだけでは成り立ちませんから、お互いがお互いを必要としています

また、「全て味わって確かめて」のフレーズに、カプチーノを飲んだときのカフェインの渋み、クリームやミルクのまろやかさのようなものを感じる気がします。

「カプチーノ」な関係だからこそ中庸がとれる

変わりゆくあたしの温度を許して
もし我が儘が過ぎて居ても
黙って置いて行ったりしないでね

出典: カプチーノ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

カプチーノに関連したフレーズを巧みに、しかしさりげなく取り入れているところが、この曲の魅力ともいえますね。

「変わりゆく温度」は、恋人に対する温度かもしれませんし、好奇心旺盛であらゆることに興味が移りやすく感情が不安定なことを示しているのかもしれません。

いずれも落ち着かない若さを感じることができますが、そんな若くて不安定な自分を見捨てずに見守っていてくださいと言っているようですね。

歌い出しと同じようなメッセージ性があることに気付くでしょう。

椎名林檎がともさかりえに提供した楽曲「カプチーノ」をセルフカバー!気になる歌詞の意味は?の画像

コーヒーの匂いを間に挟んで
優位の笑みを隠し切れない様子で居る
…苦いだけじゃ未だ中庸が取れない

出典: カプチーノ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

カフェや喫茶店で、コーヒーを飲みながら向かいあっている二人。

しかしそのカップを越えて、お互いが自分の優位さを争っている様子を表しています。

年上で人生経験が相手よりあるという優位性、年下で若くて固定観念に染まっていないことに対する優位性。

でもコーヒーの茶色だけじゃ苦いだけだし、ミルクとの調和がとれなかったら味はマイルドにならない

主人公の視点では自分の存在感をアピールしていますが、相手から見てもおなじことを思っているはずです。ミルクだけじゃ甘くて無機質なだけだと。

だからどちらが優れているというわけではないんです。どちらもいいところがあるし、悪いところがあるのです。

そんな長所短所を補い合うのがカプチーノなのです。

なみなみ「精一杯」だから見守って

誰よりもあたしをちゃんと見透かして
口の悪さや強がりは“精一杯”の証拠だって

出典: カプチーノ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

「精一杯」の言葉選びが秀逸ですね。カップになみなみと注がれたカプチーノを想起させます。

「口の悪さ」や「強がり」は若さの象徴でもあり、好きだからこそ相手と比べて劣等感を感じてつっぱねてしまうのです。

そんなわたしを可愛いもんだ、と大人の包容力で受け止めてほしいということでしょう。

自分の若さに優位を感じながらも、相手が年上という事実も受け入れています

素晴らしいですね。冒頭の宣言どおり「成長を待って」いる価値がある、のびしろのある若者かもしれません。

まとめ

椎名林檎がともさかりえに提供した楽曲「カプチーノ」をセルフカバー!気になる歌詞の意味は?の画像

以上、コーヒーの香り、カップの温度、二人の空気感などを再生時間いっぱいに感じる作品「カプチーノ」を掘り下げてみました。

曲全体のメッセージをまとめると、「未熟な自分の強がりや、自分と相手双方の強さを精一杯認めているから、とにかく今は見守っていて。必ず大人になるから」ということだといえます。

年の差恋愛を歌った曲ではありますが、恋をするすべての方にジブンゴト化して聴いていただきたい曲です。

カプチーノは恋愛関係の理想のかたちです。

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