スケールは人間大

孤りを忘れた世界に 水しぶきはね上げて
バタ足 大きな姿が泳ぎ出す

出典: プール/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

場面は再びプールに戻ってきます。

孤りは一般的にこの漢字を使いませんが、ここでは孤独を強調するために使っているのでしょう。

主人公は君と出会うことで孤独の日々を忘れるほどに、舞い上がっているようです。

「大きな姿」とあるのは、蜘蛛と人間を比較しているからでしょう。

今までの歌詞は、自分を蜘蛛に例えた小さなスケール感で歌われていました。

しかしここでは、人間大のスケールでプールの様子が描かれています。

先ほどの君の誘惑に対して、主人公が応えたようです。

蜘蛛が蜘蛛の巣を伝うように、プールサイドの君に向かって主人公は泳いでいきます。

プールサイドの君

孤りを忘れた世界に白い花 降りやまず
でこぼこ野原を静かに日は照らす

出典: プール/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

ここでは再び人間大のスケールで歌われているようです。

「白い花」は解釈が分かれそうな部分ではありますが、筆者は水しぶきのことだと考えています。

先ほどの歌詞にもあったように、主人公は水しぶきを上げながらバタ足をしていますね。

水しぶきがプールサイドまで飛んで、床で跳ねる様子を「白い花」と例えています。

そして歌詞の「でこぼこ野原」は、おそらく女性の体を表す言葉です。

彼女はプールサイドで太陽に照らされながら、主人公がやってくるのを待っています。

孤りは君も僕も

今までの歌詞解釈を思い返すと、「孤りの世界」は視点が変わっていることに気が付きます。

バタ足をしていたほうは、プールの中の出来事を歌っていました。

一方でもう片方は、プールサイドのことを歌っています。

プールの中が主人公のことを描写しているなら、プールサイドは君のことです。

実は、孤独を感じていたのは主人公だけではありませんでした。

君もまた主人公のことを待ち望んでいたのです。

2人が惹かれ合ったのは、ある意味当然の結果だったのかもしれません。

プールのまとめ

【スピッツ/プール】歌詞の意味を考察!夏蜘蛛は何を象徴する?美しい夏の情景描写に込められた意味に迫るの画像

「プール」は新しい世界に向かって飛び出した主人公と、君との出会いを描いた歌でした。

幻想的なメロディーと蜘蛛という獰猛な動物が出てくるのは、怖くもあり神秘的です。

2人の恋は、一筋縄ではいかないことを暗示しているのかもしれません。

今回は歌詞で描かれている蜘蛛について、少し変わった目線から解釈してきました。

こんな解釈の仕方もあるのかと、記事を読んで思っていただけたら幸いです。

1つの歌でも感じるストーリーは、人によって千にも万にもなります。

それが歌の面白いところであり、素晴らしいところです。

特にスピッツの曲は抽象的な言葉が多く、人によって捉え方が大きく変わります。

もしほかにもスピッツの曲が知りたいと思ったなら、下の記事はいかがでしょうか?

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スパイダー

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「プール」と同じで、自分を蜘蛛に例えた歌になります。

もしかしたら、草野さんは蜘蛛が好きなのかもしれませんね。

タイトルの「スパイダー」は「プール」と比べると、「蜘蛛」の意味がより強いように感じます。

「スパイダー」は本曲とは曲調も歌詞も全く別物になっています。

同じ蜘蛛を題材にした歌同士で比較すると、違いが楽しめて面白いですよ。

草野さんが歌う蜘蛛を題材にした曲を続けてお楽しみ下さい!

スピッツ「スパイダー」は1994年に発売されたシングルですが、未だに愛され続ける名曲です。しかし、その歌詞は「奪って逃げる」という歌詞から誘拐の歌なのではと言われてしまうことも多々。実際にそうなんでしょうか?今回はスピッツの他の曲の歌詞も引用しつつ、「スパイダー」の歌詞の本当の意味に迫ります。

空も飛べるはず

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