青春応援ソング
熱気溢れる疾走感

【決戦スピリット】は2020年2月26日となったCHiCO with HoneyWorksの12枚目のシングル。
これまで学生の青春恋模様などをテーマに楽曲を発表してきた印象です。
YouTubeのMVでも少女漫画チックな作画のアニメーションが人気を呼んでいます。
ですが本作はむしろ熱い!
勝利を求め真っ直ぐにトライしていく若者を後押しするかのような運動部の応援歌といった風情です。
それもそのはず、なぜなら…。
ハイキュー!!エンディング曲
この【決戦スピリット】はバレーボール漫画『ハイキュー!!』の第4期第1クールED曲となっていました。
烏野高校が全国行きを決め、1年生メンバーが強化合宿に呼ばれた場面から2回戦で宮兄弟と対戦する辺り。
全国行きを決め、チームは最も意気揚々としている時期に違いありません。
県を制し、まだ自分たちの限界が見えない若者のチャレンジ精神をかき立ててくれる。
選手たちの飽くなき野心を鼓舞し続けるような、まさにEDに相応しい1曲といえます。
また、歌詞の一部には『ハイキュー!!』で登場したセリフが用いられている部分もあります。
漫画のファンなら該当する部分を探してみるのも面白いでしょう。
ではそろそろ歌詞の方が気になりますね。
これから読み進めていきましょう。
挑め!己の限界へ
自分を信じて
プレッシャーそれがどうした
神様の助けはいらない
エゴイストそれがどうした
勝ちたいに理由などない.
出典: 決戦スピリット/作詞・作曲:HoneyWorks
滑り出しは宣言文ですね。
部活の大会ともなるとそれは凄いプレッシャーがかかるものです。
例えばトーナメント戦ともなれば、たった1回の負けで全てが終了。
これまで積んできた努力も敗者の烙印を押されて無駄になってしまいます。
更にはそれがバレーボールのような団体競技で、3年生にとっての最後の大会だったらどうでしょう?
上級生は文字通り後がない、そして後輩たちも自分のミスがチームの敗北を招く原因にもなりかねません。
そんなプレッシャーがかかる場面では神頼みでもしたくなるのはわかります。
こんな話を聞いたことがあります。
日本人は神を信じない国、例えばトルコでは多くの人が神を信じているが、日本人はその大半が神を信じない。
確かに海外のサッカー選手がゴールを決めた時に神に祈りを捧げる光景を見ることがあります。
ですが実は日本人も神に祈っている!
受験やスポーツなどの必勝祈願で神社参りをする人は多数存在しています。
その上でここでは、プレッシャーを撥ね除けるのに神様の助けは借りない、こう宣言しているのです。
それは神頼みをするような弱い心では勝つことができないという決意にも受け取れます。
そして『ハイキュー!!』でも同様のセリフが登場しています。
神様の助けがなくても大丈夫よ
出典: ハイキュー!!/作:古舘春一
これは烏野高校バレー部の春高バレー必勝を祈願する初詣にてマネージャー清水潔子が語るセリフです。
メンバーには最早彼女が勝利の女神に見えた者もいたことでしょう。
以降は割愛しますが【決戦スピリット】の歌詞には『ハイキュー!!』で登場する名言が随所に見られます。
是非探してみて下さい。
そして次ですが、勝利を求めて戦う者は時にエゴイストのように映る場合も時としてあります。
ですが人の目にどう映っていようと、勝ちたい。
勝ちたいが気持ちである以上、それに対する理由などなく、他の全てを措いても追い求めたいのでしょう。
今こそ限界突破
Break out 挑まずにはいられない
Break out 影さえも振り切ってけ
Break out 現状の限界
乗り越えろ チャンス
出典: 決戦スピリット/作詞・作曲:HoneyWorks
“Break out”は「ぶち抜け」のような言葉で、イメージ的には殻を破って勢いよく脱出する様子を表します。
そこには現状を打破して成長して見せろ、というメッセージが込められているのでしょう。
己の限界を知らない若者は目の前の困難に挑んでみたくなるもの。
それはもう全速力で、影を置き去りにするくらいの勢いで駆け抜ける。
ピンチはチャンスという言葉がありますが、ここでは自分の限界を突きつけられています。
そんな現状打破が絶対条件という中で「乗り越えて当然だよね?」のようなノリで「チャンス」としています。
それは成長著しい若者にのみ送ることができるエールなのではないでしょうか。