幸せを祈る
ねえ、あなたもういらないよ
幸せになってね、わたしがいなくても
出典: 恋なんて/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
ここもまた恋人からの言葉なのでしょう。
1行目の突き放すような言葉とは裏腹に2行目では彼女の優しさが感じられます。
2人で過ごしてきた時間によって培われたお互いへの思いやり。
それは、この関係が終わった後も続いていくものなのでしょう。
いつかばったり出会った時、お互いに幸せであること。
彼女が望むのはそういう円満な別れなのです。
恋の意味を知る
2人にとってのラスト
「恋なんてくだらないことで傷つくもんなんだ」って
知るにはもう遅すぎるくらい、全てになったドラマの
今夜が2人だけのためのラストシーンになるから
世界はゼロに戻るんだ
出典: 恋なんて/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
恋人と別れたことへの主人公の心情が事細かにわかる歌詞パートです。
今までの日常がかけがえのないものであったと、失って初めて気づいた主人公。
しかし、そのことに今更気づいても、過ぎ去った時間を取り戻すことはできません。
いつの間にか、彼女との時間が彼にとっては全てになっていたのでしょう。
そんな2人の日々も今日終わりになります。
そのことに、彼はとてもショックを受けているのでしょう。
2人で築いた世界が突然崩れ始め、世界がモノクロになっていきます。
まるで何も存在していないかのように現実味のない世界。
彼にとって、恋人がどれほど大きな存在だったのか伝わってきます。
淡い期待を胸に
いつか君が「ただいま」って言うのを僕はどっかでまだ信じてるよ
僕が貸したDVDを返しに来るのをどっかでまだ期待してる
出典: 恋なんて/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
もう2人で作り上げてきた日々は終わりを告げました。
しかし、主人公はそんな現実を受け入れたくないのでしょう。
別れた恋人が自分の家に帰ってくることを心のどこかで期待しているようです。
まだ仲が良かった頃に彼女に貸したDVDを口実に、また自分の家に遊びにくるのではないか。
そんなことを考えながら、家のドアを気にする主人公の姿が目に浮かびます。
戻ってこない日々
呪いと祈り
最早呪いに近いね、本当どこで覚えたの?
僕も君にかけてたの?それは祈りに近いね
出典: 恋なんて/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
ここで彼がいっている「呪い」というのは何を表しているのでしょう。
恐らくそれは、恋人との恋によって生まれた相手へからの「好意」のことではないでしょうか。
彼女によってかけられた「呪い」に、彼の心は奪われたまま。
自分を好いてくれている人との甘い時間。
それが急に消えてしまったことが、彼の心を強く痛めつけているのだと感じます。
2人で過ごしていた部屋に、独りでいることに寂しさを感じているのでしょう。
そして、自分が彼女に対して持った「好意」は、まるで「祈り」のように彼から恋人へと向けられています。
主人公はこの感情が、奇跡を起こしてくれることを願っているのです。
何食わぬ顔で彼女が戻ってくるような未来を夢見て、その胸にはまだ彼女への想いが沢山詰まっています。
現実を受け入れられない
1・2・3で重ねた指は簡単に解ける
いつかまたすれ違っても二度と交わらない道を
決めた2人だけど、ありがとうお元気で
そんなハッピーエンドを演じる自信はないよ
出典: 恋なんて/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
以前まで固く結んでいた2人の手は、今ではもう簡単に解けてしまいます。
仲睦まじく手を取り、決して手を離さずに歩いていた2人。
そんな2人の手が軽々と離れたことから、この恋が終わったという事実が分かります。
そして、2行目で表されているのは今後またどこかで2人が遭遇したとしても、もう元には戻れないということ。
過ぎ去った時の流れを感じさせる表現です。
しかし、主人公はその事実を素直に受け入れられる自信がないのでしょう。
急に恋人から別れを言い渡されたことからまだ動揺しているのかもしれません。
裏切られたような気持ちで、素直に彼女の今後の人生を応援することができないのでしょう。