「貴方」に好かれるために演じている「私」はいちいち「貴方」の言葉なんか気に留めないし、「貴方」がどうしようが嫉妬もしない。

しかし、本当の「わたし」は一言一言に対して思い詰め、「貴方」が他の女性と遊ぶたびに嫉妬に狂いそうになるのでした。

きっとつれない態度で他にも男性と関係を持っているような素振りでいる「私」に「貴方」は心ない言葉を平気で言うのでしょう。

本当はその一言一言が「わたし」を傷つけていることも知らずに。

「わたし」自身、いつまでこんなことを続けるのか、どうしたいのか、もはやわからなくなっているのでした。

演じ続けるからこそ、「私」に向けられた「貴方」の言葉は全て暴力で

貴方の側に居る程に わたしが死んでゆく
やり場の無いこの寂しささえ 生まれてはいけなかった
息をする度に酷い言葉で私をぶたないで
「貴方が好きな私」をきっと 上手にやり切るから、愛して

出典: 貴方が好きな私/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

このまま側にいればいるほど、自分の心が病んでいくのをわかりながらも、「貴方」から離れられない「わたし」。

本当の「わたし」を好きになってもらえない時点で、本来は付き合うべきではない相手だったのです。

そして、恋人になってはいけない相手と嘘の自分を演じて付き合ったから、生まれるべきではない淋しさまで生まれてしまった。

全て自分が悪いという負い目があるからこそ、今日も「貴方」の言葉の暴力に耐えるばかりなのでした。

何か打開策はないのか...。

悪化の一途を辿る恋愛に、もどかしくなりますね。

それでも「貴方」に愛して欲しい

ここから抜け出す術も 逃げ方も 知ってる でも 踏み出さぬ私が居る
暗闇の向こうから 貴方が呼ぶ
その声に身震いして それでも貴方に愛されたくて

「貴方が好きな私」が わたしを殺してく
終わりのない迷路を貴方の左手に引かれ行く
瞬きをするその度に今の私を焼き付けて
「貴方が好きな私」を今日も 上手に出来たわたしを愛して
上手にやり切るから、愛して

出典: 貴方が好きな私/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

何か打開策はないのかと前の歌詞の解釈で投げましたが、打開策なんていくらでもあるのです。

「貴方」との関係を絶って逃げ出せばいい。

それでも、行き着くところまで行ってしまった「わたし」には闇を生み出した元凶の「貴方」を光のように感じている。

演じさえすれば「貴方」の側にいられると思っているのです。

そうして迷い込んだ人生を賭けた迷路の中にいる「私」は「貴方」の目にどう映っているのでしょう。

「私」でい続けない限り「貴方」の側にはいられない。

それでも、「わたし」をさらけ出して愛してもらえない限り、ゴールも救いもない。

 それならせめて「貴方」への愛に生きる「私」の姿を覚えていて欲しい、「私」でいいから愛して欲しいと願うのでした。

おわりに

「貴方が好きな私」の歌詞を解釈しましたが、いかがでしたか?

救いのないストーリーの歌詞なので、ハッピーエンドが好きな方は苦手かもしれませんね。

しかし、この歌詞に対して切なくなるのも、もやもやとした感情を抱くのも、主人公の感情を鮮やかに描ききっているからこそだと思います。

実話ではないのにここまで感情移入して歌詞を書けるというところにも阿部真央さんの凄さを感じずにはいられませんね。

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