もどかしい恋に胸キュン
いきものがかりの『夏・コイ』は、そのタイトル通り夏にぴったりの瑞々しい恋の歌です。
描かれているのは、青春時代を駆け抜ける若者の初々しい恋心。
初恋を思わせるようなもどかしい歌詞に胸がキュンとなります。
好きな人ともっと近づきたいけれど、正しい方法が分からない。
素直に想いを伝えたいのに、好きな人を前にすると上手く話せなくなる。
そのじれったさはまるで、真夏の太陽にじりじりと胸を焼かれていくような感覚です。
ゆっくりと丁寧に紡がれていく2人だけの物語。
この小さな恋は、どんな風に成長していくのか。
2人の間でくすぶる感情の熱を肌で感じられることでしょう。
野外ライブにぴったり
『夏・コイ』はインディーズ時代から歌われている名曲。
ブラスバンドとともに奏でられる伴奏からは、夏のキラキラした感じと吹き抜ける爽やかな風を感じられるよう。
聴いていると、自然と気分も高揚していきます。
この胸の高鳴りは、なんだか夏休みを楽しみに待っていた子供時代を思い出しますね。
これからワクワクするような出来事がたくさん起こるに違いない。
そう予感させてくれる音楽です。
なにより歌っているメンバーの素敵な笑顔が、胸をときめきで満たしてくれます。
3人で響かせる伸びやかな歌声は、さんさんと光り輝く太陽にまで届きそうです。
青春時代の熱く輝く恋
青春の日々は、夏の太陽のような熱さと輝きに満ちています。
そんな青春時代にした恋もまた、同じように熱を持って輝いていることでしょう。
若さ故の未熟さや羞恥心。
そういったものが恋心をよりいっそう尊いものに変えているのかもしれません。
遠ざかる過去とまだ見えない明日
朝もやを駆け抜けて来た道は
遠く遥か続くそれは海の様に何もかもを飲み込む
目もくらむ程の太陽は僕らを
容赦なく照らし続け やがて褐色の肌になる
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
「朝もや~」からの歌詞は、今まで生きてきた人生を振り返っている様子でもあるのでしょう。
しかし振り返るとはいっても、この曲の主人公はおそらく十代後半くらい。
大人からすれば「まだまだ」と思えるような年月でも、当の本人からすれば「遠く遥か」と思えるほどの時間です。
こういったところに、年若い主人公の初々しさや、少し背伸びをしている様が感じられます。
空から地面を照らす太陽は輝きが強すぎて、この先の未来を見えなくしているみたい。
どうやら、手探りで進んでいくしか方法はないようです。
気づいた時にはきっと、太陽に焼かれた肌がこんがりと小麦色に変わっていることでしょうね。
君との帰り道
触れる指を解くのはまだ早いみたい
ぎこちなさの残る会話をしたりして
ふいに気付き夕日を見て君は何を思う
波のざわめき 風のささやき
火照った頬に染み込む
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
ここの歌詞は主人公の恋人である「君」との帰り道の様子でしょうか。
繋いだ手をまだ離したくなくて、2人は少し遠回りをしているのかもしれません。
主人公と君は、おそらくまだ付き合い始めたばかり。
他愛無いお喋りをするだけでも緊張して、なかなか自然には触れあえません。
そんなぎこちない2人を夕日が優しく包み込みます。
橙色の光に照らされた君の横顔を見て、主人公は思わずドキッとしたようです。
顔が火照るのは、きっと暑さのせいだけではないでしょう。
青春の1ページを覗き見たような歌詞にくすぐったい気持ちになりますね。
夏に向けて走り出す
丸く見開いた目と決して沈まない太陽
僕の行く先を想像してみる
遠のく雨の憂いをもう薫る夏の匂いに
託して僕は夏に包まれてく
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
地面を照りつける太陽は、もう二度と沈まないのではないかと思うほど高く昇っています。
決して手の届かない場所にある太陽に照らされながら、主人公は自分の未来に想いを馳せている様子。
どうやら少し前までは雨が降っていたようですね。
雨が上がった後の湿っぽい空気のなかに夏の気配を感じた。
「遠のく~」からの歌詞を聴いていると、自分も主人公と同じ場所にいるかのような感覚になれます。
青春時代、夏の訪れを感じると理由もなくそわそわしたりしませんでしたか?
あの無性に走り出したくなるような気持ちは、若者にしか味わえないものなのかもしれません。
主人公も自分の未来について考えるのはいったんやめて、来たる夏に向けて気持ちを切り替えたようです。