過去に戻って
「もしも、あの時に...」
そう言って 震えながら
涙に濡れた少女を どうか救って
出典: good night/作詞:持田香織 作曲:Hikari
亡くなった人が二度と帰ってこれないのと同じで、人間は過去に戻ることもできません。
大切な人が亡くなる前に時間を戻して、会いにいったり何かを伝えたり…。
それが叶わないことを持田だって、頭ではわかっているはず。
けれど心では理解できず、何度も自分を過去に戻してほしいと願っているのです。
3文目に登場する「少女」は持田の友人のことでしょう。
過去に戻って持田がしたいのは、死の恐怖や後悔に苛まれる友人のそばにいて抱きしめること。
たとえ叶わなくても願わずにはいられないのです。
自分にできること
歌うこと
あのまなざしに 惹かれた僕らは 今
君に 届け、響けと、愛に泣き 歌うだけ...
出典: good night/作詞:持田香織 作曲:Hikari
二度と帰ってくることのない友人。
持田は友人に会うことも、過去の友人に何かしてあげられることもできません。
それでも、ただ悲しむだけでは足りないような気がするのでしょう。
今の自分に何ができるのか、何をしてあげられるのか…。
考えた末に持田が出した答えは「歌うこと」でした。
どんなに大きな声で歌っても友人に届くかどうかはわかりません。
けれどこんなにも友人を想っていることを伝えたくてたまらないのです。
そんなリアルな持田の心情が描かれている歌詞に心が震えます。
めぐりあいの奇跡
友人からもらったもの
同じ星に生まれて 同じ時代を過ごした
そして、出逢えた奇跡を
君からもらった愛を さまざまなぬくもりを
その姿を その全てを 忘れない...
出典: good night/作詞:持田香織 作曲:Hikari
友人の死が教えてくれたこと。
それは生きていることの素晴らしさだけではありません。
人が人とめぐりあうことの奇跡も、友人は教えてくれたのです。
こんなにも誰かを想って悲しんだり、愛おしく感じられたりすること。
そして、それだけ想える人に出逢えたこと。
その奇跡を忘れずに大切にしたいという持田の気持ちがここでは綴られているのです。
実際に曲を聴くとわかるのですが、この部分はかなり感情的に歌われています。
それが聴く人の心をより締めつけるでしょう。
思わず、近くにいる大切な人を抱きしめたくなるような気持ちになるのではないでしょうか。
引き継ぐ未来
限りあった 未来はきっと
残された掌で 輝くと 今 誓う
君が生きた その証を 永遠に愛しつづけよう
出典: good night/作詞:持田香織 作曲:Hikari
最後の歌詞には友人の死を受けた、持田の決意が綴られています。
それは友人の命を決して無駄にはしないという決意です。
友人が生きていたかったという意志、友人がこの世界でやりたかったことや伝えたかったこと。
それら友人が望んでいた未来は、亡くなったからといって閉ざされたわけではありません。
友人のことを愛していた人たちによって、未来は紡がれてゆくのです。
持田は曲を作り、歌うことで友人の命を引き継いでいるのでしょう。
私たちはそんな持田が歌う曲を聴くことで、元気をもらったり感動したり…。
間接的ではありますが、私たちも持田の友人の命を引き継いでいるのかもしれません。
そんな奇跡を【good night】から改めて教えてもらったような気がします。
「命」がテーマの作品
命や生きていることの素晴らしさ、そして人が人とめぐりあう奇跡。
それらを私たちは普段、忘れて過ごしています。
しかし、時にアーティストたちが歌う曲によって改めて気づかされることがあるでしょう。
最後にそんな「命」がテーマの作品をご紹介します。