スピッツ「ハネモノ」
2002年リリース
まずは、「ハネモノ」の基本情報に触れていきましょう。
「ハネモノ」は、2002年8月7日にリリースされた26枚目のシングルです。
スピッツにしては、珍しくエレクトロサウンドを起用しており、温かい楽曲の中にスペーシーな音源が入っていることで、現実と夢を行き来するような感覚にさせられる楽曲になっています。
また、このシングルは「水色の街」とのシングル2枚同時リリースとなりました。
これは、スピッツとして初めての試みであり、その話題性もあってかオリコン週間チャートでは4位を記録し、安定したスピッツの人気の高さを見せ付けた1枚となっています。
アルバム「三日月ロック」に収録
次に、「ハネモノ」が収録されたアルバムを紹介していきます。
「ハネモノ」は、2002年9月11日にリリースされた10枚目のアルバムである「三日月ロック」の7曲目に収録されました。
アルバム先行シングルとして位置づけられた「ハネモノ」のタイアップ獲得や2枚同時リリースの話題性が功を奏したのか、オリコン週間チャートでは首位を獲得しました。
また、シングル曲としては「遥か」や「水色の街」も収録されています。
そして、「三日月ロック」というタイトルも秀逸で、スピッツの独自の世界観を上手に言い表したタイトルになっています。
三日月のように、か細くても道しるべになるような光をアルバムを通して表現し、それをロックバンドとしてサウンド面にもこだわった素晴らしいアルバムになっています。
タイトルの意味は〇〇?!
草野マサムネが考えた造語?!
「三日月ロック」もそうですが、スピッツの曲のタイトル、そして、歌詞の言葉選びは独特で秀逸なものが多いです。
「ハネモノ」というタイトルも、その一つとして有名な作品です。
この言葉は、ボーカル&ギターを務め、作詞作曲も手がける草野マサムネの造語であり、「羽のような生き物」という意味を持っているそうです。
ちなみに、造語でありながらも、この言葉は実はすでに存在している言葉(パチンコの開閉するパーツのこと)なのですが、草野マサムネ本人はそのことを知らずにタイトルに採用したそうです。
すでにある言葉を造語だと信じ、タイトルに採用する彼のまっすぐさはさすがであり、それが曲にも表れているような気がします。
そんなまっすぐな彼のエピソードをもう1つ紹介していきましょう。
カルピスのCMソング!
「ハネモノ」がリリースされる1年前、記憶に新しい事件と言えば、アメリカで起こった911テロ事件です。
この悲劇が起こった後、草野マサムネは音楽の無力さに打ちひしがれることとなります。
同じように、東日本大震災の際には、心労がたたって倒れたりと、繊細な心の持ち主なのです。
しかし、音楽の底力は彼を蘇らせます。
それにより、打ちひしがれていた自分自身、そして、この事件の影響を受けた様々な人々の不安を和らげようと楽曲制作に立ち上がったのです。
そんなまっすぐな想いのもとで制作された「ハネモノ」には、どんな想いが込められているのでしょうか。
それでは、次に「ハネモノ」の歌詞に迫っていきましょう。
「ハネモノ」の歌詞を徹底解釈!
さよなら幻 踊りだす指先 宿題残したまま
素晴らしい風向き カモミールフレイバーの星 涙をふいたなら
出典: ハネモノ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
まずは、導入部分です。
草野マサムネの描く独特の歌詞の世界観が印象的な冒頭になっています。
最初の「さよなら幻」という言葉からは、夢に別れを告げるような印象を受けます。
夢の為にやり残したことがありながらも現実に目を向け、踊り出す指先を使って曲を書いているのかもしれません。
また、カモミールにはリラックス効果があります。
前述もしましたが、テロ事件の後で、みんなの不安をこの楽曲で和らげたいという気持ちが表現されているのではないでしょうか。
絡みついた糸を断ち切って
膜の外に連れ出してやろう
出典: ハネモノ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗