人生に迷っている人を歌っている
なんでもない日の苦悩
最初の4行の歌詞を見てみましょう。
扉 開けば 捻れた 昼の夜
昨日 どう やって 帰った 体だけが 確か
おはよう これから また 迷子の 続き
見慣れた 知らない 景色の 中で
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「冒頭の4行は自分そのもの」と語る藤原さんは語っています。 「捻れた昼の夜」からは、昼と夜が複雑に絡まって区別がつかなくなっているような感じでしょうか。
今日という日がどんどん過去になっていく中で、特別なことが特にない一日は記憶の彼方へ消えていく、そんなイメージが浮かびます。 「また迷子の続き」常に人生に迷っている、そんな歌詞ですね。 絶対的な人気を確立した藤原さんでも、未だに迷うことがあるのだなと不思議に思いました。
きっとそんな藤原さんが書くからこそ、多くの人の心をぐっと掴む歌詞になるのでしょう。 仕事・会う人などは日々同じ見慣れたものだけれども、それらが自分に与える影響は毎日違っている。
それに対して自分はどうアクションを起こすか、どんな答えを出すか、毎日迷いながら決断をしていく、そんな人の姿が浮かびます。
もう 駄目って 思ってから わりと 何だか やれている
死に きらないくらいに 丈夫 何か ちょっと 恥ずかしい
やる べき ことは 忘れていても 解る
そう しないと とても 苦しいから
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
仕事をしていても、「もうだめだ、会社行きたくない」と思って死にそうな顔で出社してから、
仕事してみると案外やれちゃったりする日もありますよね(笑)
義務を果たさないで生きるのは、案外自分自身が一番苦しいものです。
顔を 上げて 黒い 目の 人
君が 見たから 光は 生まれた
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この世界は存在しているはずだけれども、自分自身が目を開けてその存在(光)を享受しなければ自分にとっては存在していないことと同じです。
その後の歌詞でも言っていますが、これは「自分の世界の主人公は自分自身だ」ということを訴えているのだと思います。
選んだ 色で 塗った 世界に 囲まれて
選べない 傷の 意味は どこだろう
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
自分で進む道を選べる人生なはずなのに、 時折襲ってくる望まない出来事は何のために起こるんだろう?そう考えます。
ご自分だけが ヒーロー 世界の 真ん中で
終わるまで 出突っ張り ステージの 上
どう しよう 空っぽのふりも出来ない
ハロー どうも 僕は ここ
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
自分が認識している世界では、自分自身が主人公。
死ぬまで自分自身とは縁を切れないし、逃げ隠れも出来ません。 空っぽのふりをしては、生きていくことも出来ません。
自分自身を受け入れるしかない、その気持ちがこの部分に表れています。
後ろ向きな前向き
精一杯生きて行こう
覚えてしまった感覚 思い出とは違う類
もっと涙の側にあって いつも心臓掴まれていて
充分理解出来ている ずっとそれと一緒
そうじゃないと 何も見えないから
出典: Hello, world!/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この部分の解釈は人によって異なってくると思います。
「感情」ではなく「感覚」としているところも 心の動きというよりは、体も含めたなんらかの感覚について書いている気がしますね。 ここで「そうじゃないと何も見えないから」に注目しましょう。
つまり、この「感覚」は人生において自分導いてくれる道しるべのようなものということになります。 私はこれを「死」の感覚だと考えます。
身近なだれかが亡くなったか、または自分が死に瀕すことがあったかして、 「死」は「生」の隣合わせにあるということに気づいた。
その「死」を意識しているからこそ、今の「生」を精一杯生きていける、 そんな感覚について歌っているのだと思います。