大スターの貫禄で

石原裕次郎【ブランデーグラス】歌詞徹底解説!酒を交わす男女の微妙な関係とは?情緒溢れる歌詞を味わおうの画像

昭和の大スター、石原裕次郎。

若き日のまぶしい姿から、中年になった貫禄のあるたたずまいまで、全てがスター

映画俳優として活躍する一方、歌手としてもたくさんの名曲を残しています。

今回はそんな中から、「ブランデーグラス」の歌詞をご紹介しましょう。

石原裕次郎といえば

伝説のスター石原裕次郎とはいったいどんな人だったのでしょうか。

ブランデーグラスを歌うその背景にも通じる彼についてみていきます。

かっこいい男

男性は「かっこいい」ことにこだわります。

男性にとって「かっこいい」は最上級の褒め言葉。

石原裕次郎は、まさに「かっこいい」の代表格でした。

映画デビューの作品となった「太陽の季節」は、後に太陽族という言葉を生み出します。

映画ができた1950年代といえば、日本はやっと貧しさから抜け出ようとしていた時代。

まだまだ、人々は食べるのに、生きるのに精いっぱいだった時代です。

そんな時代ですからレジャーは限られた人のみが享受する贅沢。

スキーにヨットにうつつを抜かす大学生というのはほんの一握りの存在でした。

いつかはあんな風にかっこよくなりたい

石原裕次郎は、そんな若者の希望を絵にかいたような姿そのものだったのです。

あのドラマとのタイアップ

1970年代に発表されたこの曲は、最初はあまり調子よくとはいかなかったよう。

発表の2年後の再発時に、ドラマ「西部警察」の一部で使用したことで人気に火が付きました。

西部警察といえば、当時は誰もがその名を知っていた超人気ドラマ

そのドラマの中で、石原裕次郎自身がこの歌を歌唱し世に知らしめるきっかけをつくります。

西部警察は現在ではあまり見られない、アクションをふんだんに使った刑事ドラマです。

現実ではあり得ない派手なアクション。

かっこいい刑事たち。

中でも、石原裕次郎扮する警視は大人の魅力を湛えた魅力いっぱいの人物です。

その彼が歌う、大人の歌「ブランデーグラス」は一気にたくさんの人の心をつかみました。

あるバーの片隅で

石原裕次郎【ブランデーグラス】歌詞徹底解説!酒を交わす男女の微妙な関係とは?情緒溢れる歌詞を味わおうの画像

これでおよしよ
そんなに強くないのに
酔えば酔うほど 淋しくなってしまう
涙ぐんで そっと時計をかくした
女ごころ 痛いほどわかる
指で包んだ まるいグラスの底にも
残り少ない 夢がゆれている

出典: ブランデーグラス/作詞:山口洋子 作曲:小谷充

お酒を前に男女が二人

世の中を知った年齢と思しき二人はどんな会話をしているのでしょうか。

寄り添いながら

グラスを重ねる女性を優しく止めようとする男性。

彼女の体を気遣ってお酒を止めようとするものの、その気持ちを思えば強くも言えない

そんな感じでしょうか。

彼女はお酒の力を借りて、何かから逃れようとしています。

淋しさや、悲しさ。そんなどうにもならない感情を押しとどめるために杯を重ねているようです。

お酒の力を借りれば一時はラクになれるけれど、それはそうは長く続かない。

そんなことはお互いにわかっています。

彼女にとってみれば、ブランデーグラスの底に残ったお酒はまるで二人に残された時間のよう。

あと一口飲み干せば終わってしまう、ブランデーと二人の関係。

手の中に残された彼女の恋があとわずかで消えていきます。

時計の意味は

時間というのは概念であって形はありません。

しかし、時計という形あるものを通してその実態のようなものを感じることができます。

大きな時計が目の前にあると、人は「時間を忘れて」何かに没頭するのは難しいもの。

時間を守らなければならない場面では必要不可欠な時計

しかしながら、時間を気にしたくない場面ではないほうがよいともいえます。

歌の中の彼女が時計を隠す理由は、彼との時間の終わりを知りたくないからでしょうか。

終電車までの時間、お店の閉店までの時間、それらのリミットは彼との関係のリミットでもあります。

また、時間というのは女性にとって残酷な現実でもあります。

彼と過ごした時間。それは女性として美しい時間でもあります。

彼との関係が終わろうとしている今、自分の女盛りも過ぎようとしている

そんな、女性の心情がしぐさに表れているようです。