はじめこそなんとかなると思っていた主人公でした。

しかし、そのことが主人公を罪悪感で包み込んでいきます。

時間が経てば心を自分に向けてくれると信じつつも、どこか不安だった主人公。

その不安は見事に的中します。

「君」の態度で感じるより早く、自分の中に渦巻く罪悪感の大きさに気づいていくのです。

 

そういう気持ちになることははじめからわかっていたはずです。

しかし、ずっと好きだった「君」を射止めるチャンスを逃すわけにはいかない。

だから仕方なかったんだ、という自分に対する言い訳を免罪符に恋人としての自分を演じ続けます。

 

この幸せな時間を少しでも長く続けたい主人公は、渦巻く罪の意識を払拭するように「君」と接するのです。

モノクロの花

自分が太陽になるから…

輝く夏の太陽になるから
キラメく君のほほ笑み もう一度咲いてくれ
君だけを 今オレ色に染める
けれど女神が咲かせたのは モノクロの花

出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU

そうやって接していくうちに少しずつ「君」に笑顔が戻ってきました。

しかしそこで気付いてしまうのです。

自分が好きだった「君」とは決定的に違う部分に。

それはなにか。

笑顔です。

一目見た時から心奪われるほど素敵だった「君」の笑顔

その笑顔が自分だけに向けられているにも関わらず、全く別物だったのです。

 

そのことがわかる表現が、「モノクロ」という言葉になります。

自分が憧れていたのはもっと色鮮やかな笑顔だったのに、今は色のない曇った笑顔でした。

 

ここで主人公は、これから「君」に本当の笑顔を取り戻すためならなんでもするということを決意します。

今はまだ元カレの色に染まっているから曇っていると判断した主人公。

自分色に染めることで、「君」本来の笑顔が取り戻せるはずだと思ったのです。

悲しみの理由

目をそらして kissしてきた
君の心 読めないまま
暴走した 野蛮な夜
「変になるくらい 声を堕してイイの?」
なんて言っといてなぜ 泣いてるように笑うの?

出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU

そんな決意を胸に「君」との日々を過ごす主人公。

しかし「君」の本心が見えないでいました。

そんな中、行動と表情が決定的に乖離(カイリ)した「君」を目の当たりにするのです。

「君」の心はいまだに元カレに囚われたままでした。

だからこそ、今目の前にいる主人公に委ねきれないのでしょう。

そのことに気付きつつも、打開策を見出せない主人公。

気持ちでは負けていないのにどうして…

もどかしい気持ちがどんどん大きくなっていきます。

 

そもそも弱みに付け込んで掴み取った恋人の座。

この後ろめたさが主人公の中にあることで、必要以上に不安を煽ってしまいます。

 

もしかしたら、「君」は心からの笑顔を向けてくれているのかもしれません。

でも主人公にはそうは見えないのです。

 

罪悪感からくる疑心暗鬼。

 

この苦しみから逃れることができるのでしょうか。

葛藤の中で…

君を射止めるために努力した気持ちは本物だけれど…

すべてはこの瞬間のため
数えきれない"種"をまいて
ヒキョウな手段で君を抱いた?
ちがう!誰も傷ついてない
また自分に言い訳してる

出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU

どんな手段だったとしても、ここまで「君」に向けてきた気持ちは本物でした。

そこについて疑う余地はありません。

それでもやっぱりうしろめたいけれど仕方なかった…

こうした葛藤が主人公の心の中で永遠と続き、終わらない自問自答で自分を苦しめ続けます。

真実の愛を育んでいきたいという決意

輝く夏の太陽になるから
キラメく君のほほ笑み もう一度咲いてくれ
君だけを 今オレ色に染める
天使がくれた一つだけの 芽を育てよう

出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU

いつか本当の笑顔を咲かせてくれる。

そのために努力を続ける主人公は決して諦めることはありません

時間がかかったとしても、必ず振り向かせてみせる!という自信が不確かながらあったからです。

これまでたくさんの思いの種を「君」の中に蒔いてきました。

それらがいつか芽を出して「君」の中に新たな世界を作っていくのだと確信しています。

そしてその中で、他にはないひとつだけの「愛」という大きな花が咲き誇ることを信じているのです。

そのためにこれからも「君」に対してたくさんの愛情を注いでいくことでしょう。

 

始まりこそ理想的なものではなかったけれど、これからはその後ろめたさがなくなるほどに愛してみせる。

この強い決意が主人公を突き動かしています。

そして、冒頭にお話しした3部作の第2章『シルビア』の「プロポーズ」へと物語が展開していくのでした。

 

これでこの歌詞の考察を終わります。

まとめ