トラウマテクノポップの原点
自らの音楽性を「トラウマテクノポップ」と称する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/アーバンギャルド
「セーラー服を脱がないで」はアーバンギャルド初リリースシングルに収録されています。
センセーショナルな歌詞とサウンドは、発表当時からファンの耳を虜にしました。
まさにアーバンギャルド独自の音楽、トラウマテクノポップの原点ともいえる1曲です。
この曲を聴いてアーバンギャルドのファンになったという人も。
発表以来、その後にリリースされるアルバムにも多く収録されています。
もはやアーバンギャルドの代表曲といっても過言ではありません。
過激で、コミカルで、病んでいて、それでいて知的で、ふいに懐かしくて、どこか悲しい。
中毒性要素満載のこの曲は、ある二人の作家の作品と一つのバンドの曲が関連しているようです。
そんなことも織り交ぜながら、歌詞を独自解釈していきます。
ごめんなさい ごめんなさい
曲の冒頭から、先生なる人へ謝罪の機関銃を浴びせています。
まるで懺悔にも似た「ごめんなさい」の機関銃です。
少女はなぜこんなにも謝っているのでしょうか。
恋に夢中になって他には何も手につかないことはいけないこと?
大人になることを大人に謝るなんて、矛盾で理不尽です。
しかし、そんな矛盾で理不尽な生き物が大人なのです。
先生
先生ごめんなさい 恋に落ちてごめんなさい
恋に生きてごめんなさい 恋破れてごめんなさい
出典: セーラー服を脱がないで/作詞:松永天馬 作曲:松永天馬
恋にかまけて勉強も何もかも手につかないなんて経験は誰しもしたことはあるでしょう。
そして、本気の恋は大人への階段を一歩どころか一気に駆け上がるきっかけになることもあるのです。
夢中になって、溺れて、失って。
そんな経験をしたらなおのこと。
ここでは大人を「先生」と表しているのではないでしょうか。
それは親だったり、まさに学校の先生だったり。
大人は少女の成長は喜びますが、大人になることに対しては時折眉をひそめるものです。
そして少女自身、大人になることは「悪いこと」と感じているのでしょう。
でも、恋は止められない。
ここで先生へ謝罪を繰り返しているのは、子供と大人の間で揺れる少女の葛藤からなのです。
青い春
先生ごめんなさい 花になってごめんなさい
春に咲いてごめんなさいごめんなさいごめんなさい
出典: セーラー服を脱がないで/作詞:松永天馬 作曲:松永天馬
結局、少女はいわゆる恋の春夏秋冬を経験してしまいました。
春に芽吹いて、夏に燃えがあり、秋に色褪せ、冬に枯れる。
そんな経験をしてしまったのでしょうか。
恋の花は、恋に恋しているときに咲くものではないのです。
本当にきれいに咲くのは恋を失ったときに咲くのでしょう。
そして少女は周りの大人たちの意図しないところで大人になってゆくのです。
子供と大人の境界線で
ここでは、孤独や地獄、血まみれなど穏やかではないワードで畳みかけます。
思春期の葛藤の真っ只中はまさに耐え難い茨の毎日なのでしょう。
子供と大人の境界線にあるものは断崖絶壁なのです。
行くも地獄、行かぬも地獄?
流した血と涙は数知れず。
大人になるって痛くて悲しくて孤独なのです。
しかし、そんな大人に恋焦がれてやまない少女の葛藤をここでは描いています。