妹と暮らすつもり しばらくニューヨークで
ひとりきり 東京で もう生きてゆけない
逢いたいときにだけ 電話かけてきて
食事して ドライブして ベットに入るだけ

形の無い愛だけを 信じてきたあなたは
本気で愛すること 怖れてるだけ
ひとりぼっちの クリスマス・イブ
凍えそうな サイレント・ナイト
二人で生きてきた 都会(まち)の灯が遠ざかる

出典: MIDNIGHT FLIGHT −ひとりぼっちのクリスマス・イブ/作詞:浜田省吾 作曲:浜田省吾

別れのときが来て初めて自分の想いをぶつけたであろう彼女。

その想いの意味に主人公の心は震えます。

掛け違った想い

「一人で生きるのが寂しい。」

その言葉に主人公は衝撃を感じます。

恋人として寄り添ってきたと思っていたのは自分だけだったのだと。

いえ、主人公も本当はわかっています。

自分たちカップルは、二人ではなく一人と一人であったということを。

一緒に生きるということは、良いところだけをつまみ食いすることではありません。

人間臭い面や、嫌な部分も見せ合いときにそれは面倒くさいこともあるでしょう。

主人公と恋人はあえてそれを避けてきました。

逢いたいときに逢って、楽しいことだけをすれば良いよね。

僕たちはそれぞれが自立したカップルなのだから。

そんな風に笑い合っていたのかもしれません。

淋しいから、もっと一緒にいたいからといって縋り付くなんてナンセンス。

お互い干渉せず、深入りすることも避けてきました。

でもそれは恋という舞台で繰り広げられたお芝居みたいなもの。

彼女はそうやって一人で踏ん張ることがもうできなくなったと。

だから、彼のもとを去っていくことを決めたようです。

二人にとっての恐れ

本気で誰かを愛そうとすれば危険を伴います。

本気で誰かを愛してしまえば、もしその相手を失ったとき大きなダメージを受けるのですから。

経験値が少ないうちは、そのダメージへの恐れを顧みることなく飛び込むことができたりします。

大きな失恋や、裏切りを経験すると、自然とその原因となる「愛」を避けようとしてしまうことが。

本気で愛せばまたつらい目に合うかもしれない、そんな恐れが芽生えるのです。

特に本気になってしまえば間違いなくのめり込んでしまいそうな相手に対してほどそれは強くなります。

そして、そんな恐れを根底に持っている主人公に対し自分も踏み込めずにいた恋人

本気で愛し合おうとするならどちらかが恐れをぶち破り、もう一方もそれを受け入れなければなりません。

探り合いのような恋愛ごっこ。

そこから一線超えるチャンスは何度もあったはずです。

それを超えることなく、「諦め」を選んだ彼女

主人公は「愛さなかった」代償に苦しめられていきます。

遅すぎた想い

浜田省吾【MIDNIGHT FLIGHT −ひとりぼっちのクリスマス・イブ】歌詞の意味を徹底解釈!の画像

降り出した みぞれまじりの
雨が 雪に変わってゆく
誰も皆 愛する人の
待つ場所へと 帰ってゆく

ポケットの中 あの娘に贈ろうとした Golden Ring
今でも 手のひらに 握りしめたまま
ひとりぼっちの クリスマス・イブ
凍えそうな サイレント・ナイト
もう守るものなんて見つけられない 何一つ

出典: MIDNIGHT FLIGHT −ひとりぼっちのクリスマス・イブ/作詞:浜田省吾 作曲:浜田省吾

夜が進み、寒さがいっそう体に染みこんできます。

行くあてのない主人公の心にはどんな雨が降っているのでしょうか。

雪、そしてみぞれ

クリスマス・イブには雪が似合います。

恋人や家族と幸せな時間を過ごしていたなら、雪の白さは幸せに輝くでしょう。

愛していながら、愛さなかった主人公

彼は恋人を失いその冷たさに打ちのめされています。

愛することで傷つくことを恐れるあまりに相手を翻弄してしまったこと。

乗り越えられなかった自分の弱さが、結局は大切な人を大きく傷つける結果になりました。

そして、傷ついた彼女は主人公の元を去り、彼もまた大きな痛手を負っています。

いま、この瞬間に幸せなクリスマスを迎えている人は恐れを乗り越えた人なのでしょう。

幸せなフリをしてきたことは主人公自身、一番よくわかっていたこと。

そして、同じくそれで良いフリを彼女がしていたことだって知っていたのです。

全ては自分の心の在り方の招いた結果。

主人公はただ前を向いて車を走らせます。

形のないものを追って

いつか渡そう、いやクリスマスの今日こそ渡すのだ。

そんな風にしてポケットに忍ばせていた彼女への愛の証、指輪。

そのプレゼントは実はもうずっと前からポケットに入っていたのかもしれません。

いつでも渡せる、そんな甘えがプレゼントを先延ばしにしていたのでしょう。

指輪を、心を渡すことで始まる「本気の愛」を主人公はポケットにしまい込んでいました。

彼女は何度もそれを受け取るシチュエーションを準備していたかもしれません。

拒否されることや、いずれ来るかもしれない破局を恐れて渡せずじまいの指輪。

今日、フライトまでのあの時間がプレゼントを渡す最後のチャンスでした。

チャンスには前髪しかない。

プレゼントを渡すことができなくなった今なら主人公もわかるのです。

彼女がそれを拒むことなどなく、その先にある不安など今の悲しみに比べればなんでもないということを。

渡せなかったプレゼントと愛は、受け取る人を失ったままポケットの中で静かに眠っているようです。

愛することは勇気のいること

浜田省吾の歌う「MIDNIGHT FLIGHT −ひとりぼっちのクリスマス・イブ」。

その歌詞について読み解いてみました。

人を本気で愛し、そして失い傷ついたことのある人であれば誰もが感じる恐れ

また、同じ目にあったらどうしよう、誰かを愛しそうになるとふとそう思ってしまうことがあります。

恋愛の場合は、相手のあることですから、自分の恐れは相手の心も傷つけます。

そして、その恐れを乗り越えられずに相手を翻弄した場合、悲しみは自分にかえってきてしまうもの。

失うことを恐れ愛さないのか、恐れを乗り越えて愛するのか。

この曲は、愛することに恐れを感じる全ての人への応援歌であるのかもしれません。

リアルな歌詞が心に響く浜田省吾名曲たち。

ハマショーをカラオケ歌ってみたいという方も多いはず。

こちらを参考に、チャレンジしてみてください。