ここでクラブミュージックを感じさせる曲調へと一転しメロディーもラップ調になります。

 ラップ部分はストリートダンスを中心に活動しているアーティストグループ「東京ゲゲゲイが担当。

 艶やかな和服のようなスタイルが目を引きます。

 歌詞の表現も古めかしい言い回しになっており、印象的な場面です。

 冒頭のおいでませとは山口の言葉でいらっしゃいませという意味になります。

 Reolは長野県の出身で東京ゲゲゲイの主催者であるMINKYは東京の出身です。

 出身地に関係なくあえて山口の国言葉をつかうことで”おいでませ”という言葉に違和感を抱かせます。

 違和感を感じる部分に人は注目をするため、雰囲気が変わったことがより明確に伝わるのです。

 さらに、誰彼と他人の存在をにおわせます。

 しかし今まで行っていた自分語りの中にいきなり他人を登場させるとも思えません。

 すなわちここでいう誰彼とは「第六感」を擬人化させたものだと考えることができます。

 そう考えると第六感と連れ立って進んでいくという決意の表現になるのではないでしょうか。

 さらに御覧召すという言葉は御覧という尊敬語をさらに丁寧にする、召すという言葉で強調しています。

 手立てとは手段の事です。

 一体だれに手段を見てもらいたいのでしょうか。

 さらに歌詞弱さを凌ぐ一手は賢さにありと続いていきます。

 素直に読むと自分の弱さを認めた上でその弱さを賢さで補うということになるでしょう。

 しかし、賢さとは知識の象徴です。

 知識とは常識の一部でありここでいきなり第六感とは真逆の概念が登場するとは思えません。

 おそらくこの場合の賢さとは第六感を擬人化させた誰彼のことを表しているのではないでしょうか。

 そう読むとここは第六感によって弱さを補うという表現になっていると考えることができます。

予想と違うもの

悲しんでいるのは誰?

いつか話した予想とは違っているものさ
そんな悲しまないでいいよ

出典: 第六感/作曲:Reol,Giga 作詞:Reol

ここから曲は2番に入ります。

 歌詞現状から未来にかけて表現している1番の歌詞と打って変わって場面は過去の思い出です。

 過去誰かに自分の予想を話したということが読み取れるのではないでしょうか。

 さらにその予想が間違えていて、それにより誰かが悲しんでいる。

 その誰かを“悲しまないでいい”と慰めている情景が描かれています。

 これは一体誰の事を指しているのでしょうか。

 1ついえることは第六感とは自分の感覚に他なりません。

 自分の中の常識と第六感との対話の中に他人の入る余地はないのです。

 つまり誰か特定の他人が登場するとは思えません。

 Reolは自分自身との対話の中で過去に自分の将来を予想した経験があるのではないでしょうか。

 その思い描いた予想と現実のギャップの中で自分自身が傷つき悲しんだ様子が感じられます。

 そしてその悲しみを“違っているもの”とあっけらかんと乗り越えていったのです。

 悲しみを乗り越える手段を第六感、つまり自分の感覚だけが教えてくれたのではないでしょうか。

特別を感じる瞬間

今が一番早いの 第六感、六感あやかって
疾走るハート嘘はつけないよ
台詞にない言葉 交換、交換おしえて
そうくだらないを 言い合いたい 特別を感じたい

出典: 第六感/作曲:Reol,Giga 作詞:Reol

2番目のサビは1番の今が一番若い、という言葉にかけて一番早いという表現からはじまります。

 早いというのはもちろんスピードのことです。

 それでは何のスピードが速いのか考えていきます。

 歌詞はこう続きます“疾走るハート嘘はつけないよ”と。

 ここで注目するべきは走るという言葉に疾走るという漢字があてられていることです。

 1番のサビでも考察したようにハートとは気持ちプラス心臓の鼓動、つまりビートを表しています。

 あやかるとはもちろん影響を受けて良い状態になることを表現しているのでしょう。

 そこから第六感は感覚なので正直な気持ちそのものということが読み取れるのです。

 第六感から生み出されるスピード感は自分の正直な気持ちを表してくれます。

 それはきっと頭で考えてはできないことなのです。

 次の“台詞にない言葉を交換”とはアドリブのような感情のぶつかりあいで相手といい合う。

 そのようなコミュニケーションを通してこそ特別な感覚を感じることができるのでしょう。

上手く泣けない自分と向き合う

人が泣く理由

産声をあげた日は理由もなく泣いていたのに
今僕ら 泣くことすらうまくできずに
されどしかと死守せよ 品格と真似できぬプライドを
せーので手放せよ 感覚で胸を打つものそれ以外を

Crazy about this thing.

出典: 第六感/作曲:Reol,Giga 作詞:Reol

ここからサビの繰り返しとなり印象的なメロディーが曲の最後まで駆け抜けていきます。

 最初の産声をあげた日理由もなく泣いていたという表現から始まるのです。

 当然産声を上げた日とは生まれた日を指します。

 次の“泣いていた”ですが、本来産声とは泣き声のことをさすため2重表現になっているのです。

 しかし次の泣くことすらうまくできないという歌詞と今までの文脈から考えるとこうなります。

 “感情に任せてできたものが理性を手に入れたことで出来なくなった”と解釈ができるのです。

 つまり生まれたときに泣いていたという事は理由がなくても感情表現が出来ている。

 素直な感情であるとReolは感じているのでしょう。

 そして次に今回のタイトルでもある死守したいものが出てきます。

 それはプライドです。

 ここでいうプライドとはただのプライドではなく、品格と真似できぬプライドとあります。

 プライドとは自分に自信を持つことを指し、品格とは気品が高いことをいうのです。

 つまり、気品が高い自分に自信を持つことを死んでも守りたいものとしてあげています。

 文頭の“されど”で前文を否定していることから、うまく感情が出せない自分であってもプライドをもつ。

 という構成になっていることがわかります。

 そのうえで感覚以外のものを手放せという最後の1文に繋がっていくのです。

 ちなみに英語のCrazy about this thingとは直訳すると出来事に狂うと読み取れます。

 しかし、Crazyには物事に夢中になっている表現で使われる場合があるのです。

 そのためここでは理性を捨てて感情的に行動することに夢中になると解釈をすることができます。

本当におしえて欲しいこと

今が一番若いの 第六感、六感またがって
今日は年甲斐ないことしたいの
予定にないこと 第六感、六感おしえて

おしえて、おしえて

今最高潮なんです! 第六感、六感またがって
このまま何処までいけるの
途方も無いままで 六感、六感おしえて
もう揺るがないこの速度は そう偶然とハートしたい

出典: 第六感/作曲:Reol,Giga 作詞:Reol

曲はクライマックスを迎えてどんどん盛り上がりを増していきます。

 注目するべき歌詞は“今最高潮なんです”という部分です。

 1番は若さ2番で速さを表現し最後に今が最高潮であるということを表しています。

 曲の疾走感とともに、歌詞の中で何度も表現されてきた第六感と共に躍動していることでしょう。

 次の途方もないとは膨大であったり、他と大きな差があったりするときに使われる言葉です。

 それほどまでにスピーディーに直感的に駆け抜けていきたいという願望が素直に表現をされています。

最後に