パラノイアにとらわれ始めると、他者への疑いが暴走します。
その疑いはいつしか自分自身にも向けられ、価値観が揺らいでしまうのです。
今幸せだから言える言葉
これっぽっちも涙
目から出てこなくたって
泣いてないってわけには
なりはしませんでしょうよ
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko
皆が自分を陥れようとしている。全員が自分を嫌っている。
常にそういった思考から離れられないパラノイア状態は、きっと辛いはずです。
パラノイアの人間は、パラノイア思考以外は普通の人と変わらない性格を持つと言われています。
そのため、他人を疑って孤独を感じて泣きたくなっても、泣き叫んだりしない自制心や常識が働きます。
外見に表れるものではありませんので、あえて言葉にしなければ誰も気づかないものです。
涙を流していなくても、心の中では涙の雨が洪水を起こしているかもしれません。
煙ったい空の下
元も子もないコトだらけで
明日は我が身とか
寝言言ってたみたいだ
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko
この先の見通しが利かない、ということを「煙ったい空」で表現しているのでしょう。
青くなければ雲もない、もやもやとした心境を感じます。
うまくいったと思えばそれを打ち消すような悪いことが起きる。
嬉しいことがあっても覆すような悲しみが襲う。
そんな「元も子もない」ことばかりが続いているようです。
「明日は我が身」という言葉は、次に厄介が訪れるのは自分かもしれない、というニュアンスで使われます。
今現在厄介から免れている人だけが、「明日は我が身」と言えるのです。
パラノイアである自分は、常に「厄介」を抱えているので、「明日は我が身」と言える立場ではありません。
だからこそその言葉を「寝言」、つまりバカバカしいことだと一蹴しました。
生きてるだけでツミビトかい?
何もかもがウソみたいでさ
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko
誰かに後ろ指を指されるような失敗をしでかした覚えはない。誰かをいじめたり、傷つけたりもしていない。
それなのに皆が自分を批判するのはなぜか。
もしかして、この世に存在していること自体が罪なのか?と疑問に思ってしまいます。
自分が正しいと思っていることが、実は正しくないのかもしれません。
良かれと思っていることが、人を傷つけているのかもしれません。
自分の価値観がまともなのか不安になり、この世の全てが虚構のようにも思えてしまいます。
パラノイアを終わらせるための方法
ちょっと待って
笑っちゃうよパラノイア
今だけはしばし
思い出さないでいて
そんなのって
ひどいよってパラノイア
笑えないだろ
ぶん殴って終わらせてよ
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko
1番のサビの前半はイントロと同じ歌詞をなぞります。
後半では「誰か」が「そんなのってひどいよ」と言ったようです。
パラノイアの視点から他者を疑い続ける自分を、「誰か」が「ひどい」と責めているのでしょう。
しかし被害妄想にとらわれている自分から見たら、「誰か」が演技しているようなもの。
でもそんなものは少しも面白くない、笑えない。
自分のことを嫌っているなら、正面から傷つけてくれたらいいのにと歌います。
被害妄想が「妄想」ではないと分かれば、パラノイアが終わってくれると信じているのです。
「普通」を手に入れられないパラノイア
パラノイアの思考さえなければ普通に生きられるのに。
高望みはしていないはずなのに「普通」にさえ追いつけない苦悩が描かれています。
他人の何気ないひと言がパラノイアを追い詰める
参っちゃうよな
別に身に余る幸福を
願っているわけでは
ないというのに blah blah blah…
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko
誰よりも幸せになりたいとか、夢を叶えたいとか、天地がひっくり返ったような明るい未来を求めてはいません。
自分が願っているのは、皆に好かれることでも、皆に称賛されることでもないのです。
パラノイアの呪縛から解き放たれたい。ただそれだけ。
自分の周りが当たり前のように生きている「パラノイアではない人生」を求めているのでしょう。
「blah」はくだらない、バカバカしい、舌打ちをしたくなるような心境を表しています。
鈍感になれれば
とりあえずは大丈夫なのか?
うるさいので今日は
もう家に帰りたいです…
出典: パラノイア/作詞:majiko 作曲:majiko