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【コードブルー】Mr.Chldren「HANABI」で描かれた切ない歌詞の隠された意味とは?

2017年07月11日更新

米津玄師「ドーナツ ホール」動画と歌詞考察

「ドーナツホール」は2013年にハチ名義で公開されたボーカロイド曲。2014年発売の2ndアルバム「YANKEE」には米津玄師本人が歌う「ドーナツホール」が収録されています。大切なものを失った嘆きが表現された歌詞と動画を見ていきましょう。

ファンが歓喜した久しぶりのボカロ曲

今はアーティストとして自身の歌声を届けている米津玄師ですが、デビュー前にはハチという名前で数々のボーカロイド曲を動画サイトに投稿して人気を博しました。


「ドーナツホール」は2013年、2年9カ月ぶりにハチ名義で公開されたボーカロイド曲です。


打ち込みではなく生のバンドサウンドというのも特徴のひとつでした。


2014年に発売された米津玄師名義の2ndアルバム「YANKEE」には、本人が歌う「ドーナツホール」が収録されています。


その歌はどんなものなのか、2013年公開のMVも見ながら考えていきます。

YANKEE (通常盤)

覆い隠したもの

気づけばなくしていた大切なもの

いつからこんなに大きな思い出せない記憶があったか
どうにも憶えてないのを ひとつ確かに憶えてるんだな
もう一回何回やったって思い出すのはその顔だ
それでもあなたがなんだか思い出せないままでいるんだな

出典: https://twitter.com/kyo_13crazy/status/852297087735570432

環状線は地球儀を 巡り巡って朝日を追うのに レールの要らない僕らは 望み好んで夜を追うんだな もう一回何万回やって 思い出すのはその顔だ 瞼に乗った淡い雨 聞こえないまま死んだ暗い声

出典: https://twitter.com/yonezu_08_bot/status/835468948313341952

自分の心の中、多くを占めるほどに大切な存在なのに思い出すのはその顔ばかり。


「あなた」がどういう名前で、どこの誰で、どんな声で話したのかまるで覚えていないのです。


「環状線は ~ 朝日を追う」電車を利用して通勤し夜になって帰宅しても寝て朝になれば仕事に向かうサラリーマンを示し、「レールの要らない僕ら」はそんなルーティンを持たず夜に遊び回る若者のように思えます。


思い出したその顔の、「瞼に乗った淡い雨」はもしかすると涙かもしれません。


何かを言っているのに、そのまま耳に届かず消えてしまいます。

何も知らないままでいるのがあなたを傷つけてはしないか
それで今も眠れないのをあなたが知れば笑うだろうか

出典: https://twitter.com/_BzKka/status/884227457812803584

MVでは思い悩む女の子が描かれています。


わからずにいることが罪のような気がして、そうして悩み横になっても眠れずにいます。

ペイントで隠された表情

簡単な感情ばっか数えていたら
あなたがくれた体温まで 忘れてしまった

出典: https://twitter.com/miki__miki48/status/884202786694418435

このシーンの女の子は顔にペイントをして、その表情がわかりにくくなっています。


「簡単な感情」つまりは悩んだり苦しんだりというものから逃げて友だちと楽しいことや面白いことばかり追いかけていたら、大切なものまで忘れてしまっていたのです。


顔に描かれた派手なペイントは、メイクをしたりつらいものから目を背けて一時の楽しいものに身を委ねたりということを表現しているのかもしれません。


自分の本当の気持ちはどうだったか、大切なものは何だったかまでがペイントにすっかり隠れて見えなくなってしまいました。

バイバイもう永遠に会えないね
何故かそんな気がするんだ そう思えてしまったんだ
上手く笑えないんだ どうしようもないまんま

出典: https://twitter.com/miki__miki48/status/884202786694418435

そんな自分に気がついて、でももう取り返せないと嘆きます。


てのひらで隠した顔は、もう笑うことも満足にできなくなってしまいました。


「どうしようもないまんま」の後、一瞬だけ表情が明らかになります。


目元は髪に隠れてしまっていますが、それは慟哭が聞こえてきそうな表情でした。

穴の向こうには

何も見えない

ドーナツの穴みたいにさ
穴を穴だけ切り取れないように
あなたが本当にあること
決して証明できはしないんだな

出典: https://twitter.com/zelda_5657mio/status/820382685897949184

MVにはドーナツの穴から向こうを見通そうとする女の子。


ドーナツの穴は生地が輪郭を作っているから穴としてあるので、穴だけ切り取ろうと思っても輪郭がなくなってしまえば穴もなかったことになってしまいます。


心の中から抜け落ちてしまった「あなた」を取り出してほらここにあるでしょうと見せようとしてもわかりません。


「僕」には「あなた」の顔が思い浮かぶだけで、何を話したのかも何をしていたのかもわからないのですから。


どんなに目をこらしても見つけられないのです。

もう一回何回やったって
思い出すのはその顔だ
今夜も毛布とベッドの
隙間に体を挟み込んでは

出典: https://twitter.com/zelda_5657mio/status/820382685897949184

「毛布とベッドの隙間に体を挟み込んで」と言って寝るという表現は使われていません。


思い出される「その顔」に囚われて、また眠れない夜を過ごすのでしょう。


ドーナツの穴から覗く女の子の目は、「顔」しかわからないものの正体を掴もうとしているようにも思えます。

死なない想いがあるとするなら
それで僕らは安心なのか
過ぎたことは望まないから
確かに埋まる形をくれよ

出典: https://twitter.com/alk_xxx/status/884186620282380289

ずっと残るものがあれば安心できるのでしょうか。


浪費してしまった時間を取り戻したいとは言わないから、喪失感を埋めてくれるものを欲します。


正論も理想もいらない、ただひとつ望むものしかいらないと言うように虚空を見つめ耳を塞いでいます。

失った感情ばっか数えていたら
あなたがくれた声もいつか
忘れてしまった

出典: https://twitter.com/LaLa_songs/status/883376912092938240

再び顔にペイントした女の子が出てきます。


いつの間にかなくしていた感情があったことに気づいてそれに気を取られていたら「あなた」にもらった声も忘れてしまいました。


自分の顔や感情をごまかし続けた結果のそれは、自業自得なのでしょうか。

バイバイもう
永遠に会えないね
何故かそんな気がするんだ
そう思えてしまったんだ
涙がでるんだ
どうしようもないまんま

出典: https://twitter.com/LaLa_songs/status/883376912092938240

下へ向かって手を伸ばす女の子は何を掴もうとしているのでしょう。


「どうしようもないまんま」の後に握りしめた手は、決別でしょうか。諦念でしょうか。

この胸に空いた 穴が今
あなたを確かめるただ一つの証明
それでも僕は 虚しくて
心が千切れそうだ どうしようもないまんま

出典: https://twitter.com/vocaloid_lyric_/status/870339649482268672

自分の胸にある喪失感だけが「あなた」が存在したことを確かめる材料となります。


けれどそれを認識したところで喪失感がぬぐえるはずもなく、苦しい現状が変わることもありません。


MVでは「それでも僕は虚しくて」から女の子たちの顔が塗りつぶされています。


「心が千切れそう」なほどの想いに囚われて、どんな顔をしているのか彼女たち自身でさえわからなくなっているのかもしれません。

嘆きながらも心を決める

簡単な感情ばっか数えていたら
あなたがくれた体温まで 忘れてしまった
バイバイもう永遠に会えないね

出典: https://twitter.com/KUROGANE_18cm/status/882581508380282881

つらい感情から目を背けて、自身を飾り付けて自分や周囲をごまかし続けてきました。


人の目をあざむいてきたペイントは自分の目さえもあざむいてしまったのでしょうか。


顔にペイントをした女の子たちは目を閉じて、ありのままを受け入れようとしているようにも見えます。


もうしかたがないんだと諦めて、諦めようとしてそれでも嘆かずにいられません。


「あなた」にもらった大切なものも何もかも忘れてしまったことを悔いているのでしょうか、もう本当にどうにもならなくなることを嘆いているのでしょうか。

最後の最後

思い出された「あなたの名前」

最後に思い出した その小さな言葉
静かに呼吸を合わせ
目を見開いた

あなたの名前は

出典: https://twitter.com/Kenshi_Yonezu_R/status/884085073888161792

顔を覆って嘆く中、バイバイをした「あなた」の最後の抵抗だったのでしょうか。


間の2行で「僕」の動揺が表現されています。


思い出された「小さな言葉」は何だったのでしょう。


「小さな言葉」こそが「あなたの名前」だったのか、「小さな言葉」から「あなたの名前」が導かれたのか。


 

「あなた」の正体

「あなた」の正体とは何なのでしょう。


誰か大切な人でしょうか。それとも「僕」の中にあった失ってしまった感情のいずれかでしょうか。


女の子が顔に施したペイントは、言わば仮面のようなものです。


本当のところは共感できていなくてもみんなが笑っているときに笑って、怒っているときに怒ってみせることでなんとなくその場を乗り切っていたのかもしれません。


友だちといるのだから、みんな笑っているのだから楽しいはずだと思い込んでいたのかもしれません。


そうやって自分自身を隠して周囲や自分をごまかしていましたが、派手なペイントに隠された表情は感情が抜け落ちたような無表情。


明快なところを進んでいったはずなのに、気がついたら袋小路。


楽しいと思っていたはずなのに、そんな感情さえ嘘だったのか。


自分はどんな表情で泣いて笑って怒っていたのか。


何を思って何を考えていたのか。


何が自分の本当だったのかもわからなくなり、忘れてしまった感情もあったのでしょう。


自分の中から色々なものが欠落してしまい、そのことに気づいて嘆くことができるというのがただ一つ残された自分らしさだったのとしたら。


――何の救いにもなりません。


ですが、忘れているだけなら思い出せるはずです。


「もう永遠に会えない」と言いながらも、諦めきれない「僕」は自分自身の奥底へと手を伸ばしたのです。


空振りに終わったと何かを掴み損ねて握りしめた手に、実は何かのカケラが引っかかっていたとしたら。


そのカケラが、ついに諦めようとした「僕」が最後の最後に思い出した「小さな名前」だったのかもしれません。


「僕」自身を構成するピースのほんのひとかけらを、「僕」はその手に引っかけることができたのでしょう。


「あなた」は周りに合わせるばかりで見失ってしまった「僕」自身だったのではありませんか。

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音楽好きの駆け出しライター。

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