「乃木坂46の代表曲」とも称された「君の名は希望」の歌詞をひも解く
十代の頃、だれもが経験するまで気がつかなかった愛の目覚めに出会います。
孤独感で生きていた若者の心にも「希望」という光が差し込んでくるのです。
「君の名は希望」は、心を開けなかった青年が、深い心の中に存在していた人を愛することの切なさに気づいていった様子を、美しい曲調とともに、歌い上げています。
そして、時間の経過の中で、急激に、本当の自分に目覚めて行く「君の名は希望」の歌詞を「僕」の視点でひも解きます。
①「出会い」
僕が君を初めて意識したのは
去年の6月 夏の服に着替えた頃
転がって来たボールを無視してたら
僕が拾うまで
こっちを見て待っていた
出典: https://www.uta-net.com/song/143045/
十代の頃だれもが経験するという出会いの衝撃を17歳で体験しました。
中学生の同級生のいない高校に入って、新しい環境で自分の思いと全く違う現実の世界の中で、交友関係もあまりうまくできていませんでした。
学校生活の中で、受験勉強が当たり前の人、反対に自己主張に明け暮れている人、色々な人がいました。クラスの中でも、いくつかのグループがありました。
他の人とのトラブルが怖くて、僕はどのグループにも属さず、ほとんど自分の存在を消していました。
去年の6月のある日、一人で帰っていた僕の足元にテニスボールが転がってきたのです。 誰かが拾いに来ると思って、無視していたが、誰も取りに来る気配がない。
何気なく、ボールの来た方向に目を上げたのです。そこに、君がいました。
真っ白いテニスウエア―が眩しかった。戸惑いながらボールを拾った。 僕に向かって、小さく、うなずくような笑顔の君がいたのです。
僕は、君に向かってボールを投げました。 スローモーションでボールが見えました。
ボールを手にした君は、僕に向かって、小さく頭を下げた。美しい、笑顔でした!
突然、経験のない電流が胸の奥に流れたのを今も感じ続けています。
② 「存在」
透明人間 そう呼ばれてた
僕の存在 気づいてくれたんだ
出典: https://www.uta-net.com/song/143045/
トラブルのわずらわしさから、僕は自分の存在を消していました。 何か意見は?と聞かれても、いつも「何もありません」と答えていました。 ボール一つ拾ったことで、君の笑顔に会えたのです。君は、僕の存在に気づいてくれた。 いいえ、僕の存在に、僕自身が気づいたのです。僕の知らない僕が、胸の鼓動に驚いているのです。
僕はしばらく、立ちすくんでいました。
③ 「光」
厚い雲の隙間に光が射して
グラウンドの上 僕にちゃんと影ができた
いつの日からか孤独に慣れていたけど
僕が拒否してた
この世界は美しい
出典: https://www.uta-net.com/song/143045/
孤独が好きでした。 何に対しても、自信がないし、これという目標もありませんでした。 君がテニスコートに消えた後、僕の心に、一筋の光が差し込んできました。 それは、清らかで、暖かい生命の流れのようで、僕は光で包まれて行く気がしました。
ふと、周りを見ると、空気は澄みわたり、木々の緑が光に満たされていました。 遠くで聞こえるボールを打つ気合の声やボールの跳ねる音がリズムを奏でていました。 ふと、この世界は、調和に満たされている美しいのではないのかと思えたのです。
④ 「初恋」
こんなに誰かを恋しくなる
自分がいたなんて
想像もできなかったこと
未来はいつだって
新たなときめきと出会いの場
君の名前は“希望”と今 知った
出典: https://www.uta-net.com/song/143045/
人生の目標も見いだせず、漠然とした不安を感じていました。
「透明人間」と言われ、人との交流関係も苦手でした。
思いもよらない偶然の出会いの日から、喜びと切なさの感情が押し寄せてきました。 胸が締め付けられるような会いたいという思い、その切なさが恋だと知りました。 日頃、何に対しても優柔不断な僕の心にこんなにも激しい情熱が、僕にあったなんて、想像もできませんでした。
君と会って1年過ぎました。 今は、僕の否定してきた「未来」はもっと豊かではないのだろうかと思えて来たのです。 それは、夢を捨てず、努力をし続ける中で、きっと新たなときめきと出会いの場に巡り合えれるかもしれないと信じ始めています。
自信のない僕を支え、僕の心に、光を灯してくれたものは、「希望」でした。
⑤「見つめる」
わざと遠い場所から君を眺めた
だけど時々 その姿を見失った
24時間 心が空っぽで
僕は一人では
生きられなくなったんだ
出典: https://www.uta-net.com/song/143045/
君に気付かれないように、遠くから君を見つめていました。 時々、君の姿が見えなかった日は、さびしさと虚しさで打ち砕かれました。 君なしでは、生きられないと思ったのです。