この感情は何だろう 無性に腹立つんだよ
自分を押し殺したはずなのに
馬鹿げた仕事を終え 環状線で家路を辿る車の中で
全部おりたい 寝転んでたい
そうぼやきながら 今日が行き過ぎる
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
じっとりと始まる歌い出し。
体の内側で渦を巻く感情に名前すら付けられない。
腹が立つのは、そのもどかしさと、ままならない自分に対して。
たくさんの感情が同時に湧き上がるとき、人はそれらを処理しきれません。
だから「自分を押し殺す」。
けれども、感情は消えることなく己の中で燻(くすぶ)り続けます。
問題を先送りにしているが故に、自分で自分の首を絞めているのでしょう。
雁字搦(がんじがら)めになって、身動きが取れない。
いっそすべてを投げ出して、どこか遠くへ逃げてしまいたい。
そう思っても、結局は思うだけで今日が過ぎていく。
どうしようもできない現実と、それを見送るだけの自分。
そんな絶望感がひしひしと伝わってきますね。
諦めたように歩き出す
手を汚さず奪うんだよ 傷つけずに殴んだよ
それがうまく生きる秘訣で
人類は醜くても 人生は儚くても
愛し合える時を待つのかい
無駄なんじゃない 大人気ない
知っちゃいながら Uh さぁ 行こう
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
人にも世の中にも失望している、そんな歌詞。
1行目の「手を汚さず~」からの歌詞は、綺麗事だけでは生きていけない現実を痛々しく表現しています。
人にも人生にも、希望が持てない。
「愛し合える時を~」の歌詞で呼びかけているのは、世の中に対してか、自分に対してか。
これはどちらとも取れますね。
しかし、結局は「無駄」と言い捨てる。
それでも最後には「さぁ 行こう」と、また呼びかけます。
どれだけ人や世の中に失望しても、先に進まなければならない。
ここで歌われる「行こう」は、1つの諦めなのかもしれません。
「光」がなくとも生きていこう
夢はなくとも 希望はなくとも
目の前の遥かな道を
やがて何処かで 光は射すだろう
その日まで魂は燃え
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
サビでようやく「光」という前向きな言葉が出てきます。
しかし、この時はまだ「光」が射していない状態。
夢も希望もないのに、道は果てしなく続いている。
いつか「光」が射すと信じなければ、とても歩いていけません。
せめて「光」が射す、その時までは生きていよう。
『ALIVE』つまりは”生きている”。
絶望の中でも、自分は確かに生きている。
それが果たして良いことなのかは、分かりません。
ただ、「光」がなくとも人は生きていけるし、生きていかなければならない。
サビの歌詞は、そんなことを歌っているように思えます。
2番の歌詞~すべてを受け入れ生きていく~
苦しみと共に生きていく決意
誓いは破るもの 法とは犯すもの
それすらひとつの真実で
迷いや悩みなど 一生消えぬものと思えたなら
ボクらはスーパーマン
怖いものなんてない 胸を張ってたい
そして君と Uh さぁ 行こう
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
深い絶望の末に何かを悟った様子の2番の歌詞。
1行目の「誓いは~」からの歌詞は、絶望よりも虚しさが強く出ています。
1行目の歌詞を真実と認めてしまったら、”正しさとは何か”分からなくなりそうです。
3行目「迷いや悩みなど~」からの歌詞は、手塚治虫の『ブッダ』の影響を感じます。
生きている限り、人が苦しみから解放されることはない。
いま自分が抱えている苦しみを受け入れることができたら、きっと恐れずに生きていける。
それこそ「スーパーマン」のように。
悩みを解決するのではなく、抱えたまま生きていくという決意。
そして、ここでの「行こう」は「君と」に変わります。
この先の未来を1人で生きていこうとするのはやめたということでしょう。
しがらみを断ち切って前に進む
意味はなくとも 歩は遅くとも
残されたわずかな時を
やがて荒野に 花は咲くだろう
あらゆる国境線を越えて
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
1番のサビでは「遥かな道」だったのが、2番では「わずかな時」に変わります。
果てしなく続くと思っていた人生が、本当はとても短い時間であるということに気付いたのでしょう。
自分の人生は有限であり、いつか終わってしまうもの。
それなら意味を見出せなくても、ゆっくりでいいから前に進んでいかなければ。
荒れ果てた道にも、やがて花は咲くはず。
そして、最後に歌われる「国境線を~」という歌詞。
これは、いままでの自分が超えられなかったものを表しているのだと思われます。
例えば絶望や迷い、限界や常識。
もしかしたら、周囲からの期待やイメージも含まれているのかもしれません。
自分を縛り付けてきた様々なしがらみを断ち切って、生きていく。
2番の歌詞は、1番よりも希望を感じさせてくれますね。
人生は何が起こるか分からないから
さぁ 行こう
報いはなくとも 救いはなくとも
荒れ果てた険しい道を
いつかポッカリ 答えが出るかも
その日まで魂は燃え
出典: ALIVE/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
間奏の後、3度目の「さあ行こう」から繋がるこの歌詞。
2行目「報いは~」からの歌詞は、現実の厳しさが歌われています。
どんな道にも必ず希望がある。なんてことは言えない。
努力が報われないときもあるし、信じる者が救われないときだってある。
だけど生きていれば、いつか答えを見つけられるかもしれない。
それは絶対ではないし、保証もできない。
でも、人生は何が起こるか分からないから。
思いもよらないところで希望が芽生える、その日まで。
どうにか生きていこうよ。
この歌詞には、そんなメッセージが込められているように思います。