クリスマス/amazarashi
amazarashi「クリスマス」はアルバム『ワンルーム叙事詩』に収録された曲です。
『ワンルーム叙事詩』(―じょじし)は、日本のバンド、amazarashiのメジャー2枚目のミニアルバムである。2010年11月24日にソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズから発売された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ワンルーム叙事詩
その美しく退廃的な世界観と狂気を孕んだMVは、邦ロックを聴くうえで避けては通れない存在感を放っています。
ストーリー仕立てのMV
美しいメロディーは一面の雪景色が浮かぶようです。童話のようにメルヘンな絵柄のMVですがそのストーリーは重く、切ないです。
Triangle Planet(=三角形の惑星)に思いを馳せる主人公。紙飛行機や天体望遠鏡から、空を飛ぶことに興味があるとわかります。
テルテル坊主を吊るして晴れを待つ少女には、歌詞の通りに流れ星みたいなミサイルが、落下してきます。
世界は化け物に支配されているように見えます。ピンチに陥った彼女を助けに来るのは、先ほどのテルテル坊主。
奇妙なことにどちらも似た姿をしています。善と悪を2分化することは出来ないと、1カットで示す名場面です。敵も味方も苦しむ、どちらも被害者であり加害者、それが戦争なのです。
いつものテルテル坊主
amazarashiのこの時期のMVには決まって登場する、謎のテルテル坊主たち。
いったい彼らはなんなのでしょうか?本来は一方的に吊るされる存在でありながら人を襲い・守る、二面性を持ったキャラクターとして描かれています。
あらゆる事柄は「善と悪」や「被害者と加害者」に分離できないのだ、という主張を象徴的に示す存在だと、私は思います。
僕たちは常に誰かにとっての善であり、悪であり、被害者であり、加害者なのです。
それでは歌詞も見ていきましょう。
「クリスマス」歌詞を解釈
美しさ/残酷さ
小さな雪の粒も積み重なれば 景色を変えるのは不思議ですね
どうしようもない日も積み重なれば 年月となるのは残酷ですね
僕が真夜中の部屋で一人 今年の懺悔を始めた頃
遠い街の少女が 丁度眠りについた時
雪が降り出した
出典: クリスマス/ 作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
美しい風景が頭に浮かぶ1行目は、残酷な比喩へと姿を変えて2行目に現れます。
辛さと美しさの両立は、僕と少女が存在するこの世界に雪が降ることで示されるのです。
クリスマスはやってくる
罪深い三百幾日に 白い雪の粒が舞い落ちて
それが年明けまで続けば この過ちも枯れてくれるかな
どこか遠くミサイルが飛んで 流星と見間違えた少女
願いを一つ唱えたところ 今日は美しいクリスマス
出典: クリスマス/ 作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
クリスマスまでの359日を「罪深い」と語り、雪がその罪を「枯れ」させてくれることを願う大人の男。無邪気にもミサイルに願いを唱えてしまう少女の姿は、彼と対照的です。
罪を自覚するものにも、無邪気に罪深い行いをしてしまうものにも、平等にクリスマスは訪れます。
クリスマスだけは戦争をしていても、停戦して家族のもとへ帰れるなんて幻想を抱いていませんか?それは第一次世界大戦の時に、たった一度起こった出来事です。
どれだけ苦しんいる人の元にも、クリスマスは平等にやってくるのです。世界は平和だろ?みたいな顔をして。