この「引きずられる」という行為に主体性は感じられませんね。

本来自分の足で歩みたいところを、そんな力も尽き、流れに飲み込まれてしまう…。

そんな不安定な状況を想像できます。

自分の力ではどうしようもない

誰か言って 激しく揺さぶって 「もう失うものなど無い」と
1人にしないで どうか夜が明けるなら
私を現実ごと連れ去って 下さい

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

これまでに多くの大切なものを失い、それを再体験することを恐れているのでしょう。

心の傷から自分を守ることに必死になってしまった。

そんな自分に客観的に言葉を投げかけてくれる他者の存在を求めています。

最後には「この過酷な現実」ごと全部どこかへ連れ去るよう求めているのが痛々しいですね。

心を消耗しきった今、自分で現実を変える力もなく、逃避的な思考に浸ってしまっています。

絶望にうちひしがれる

深い絶望の淵にいる

「Cage/鬼束ちひろ」のコード&PVを解説♪○○をモチーフにした歌詞の意味を独自解釈の画像

温かく愛おしい声も 増えてく擦り傷にさえ 敵わなくなって
だらだらと残した わずかな奇跡を 何度も振り返り確認したり

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

主人公には心の癒しになる誰かがいたようです。

その人の声で癒されていたはずが、回復しきれないほどに傷だらけになっていく…。

心の支えがありながらも力尽きていく様は、何とも言えない虚しさがありますね。

今もまだその残像を眺めては考えに浸っているようです。

とても現実味のある絶望ですね。

希望を失った

私はどうして 夢をみないんだろう?

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

いつの間にか「夢」や「希望」を持つこともなくなったのでしょうか。

なぜそうなったのか自問自答しています。

心に深い傷を負った経験は、他人への信頼感や未来への期待の芽すら摘んでしまったのかもしれません。

現状から解放してほしい

誰か言って 上手く信じさせて 「全ては狂っているんだから」と
1人にしないで 神様 貴方がいるなら
私を遠くへ逃がして 下さい

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

人間不信や未来への絶望…それらに苛まれた末の発言です。

この不完全燃焼な気持ちを割り切りたいのでしょうか?

全てを他人のせいにすることも、自分のせいにすることも心の底からは望んでいない印象を受けます。

やり場のない気持ちがグルグルと回っている様な…。

でも、動けずにいる今からの解放も求めている。

自分の力ではそれが達成できないため「神様」へ祈るほかありません。

現状からの脱却を強く望む

誰かに助けを求めている

「Cage/鬼束ちひろ」のコード&PVを解説♪○○をモチーフにした歌詞の意味を独自解釈の画像

Somebody,oh tell me Defend me from entirely
Somebody, oh tell me Baby,shout to me

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

この英語の歌唱部分は楽曲の中でも特に神秘的な印象を受けますね。

意味を和訳してみましょう。

「誰かこの八方塞がりな状況から守って。」

「誰か私にしかりつけて。」

このように、誰かが現状打破してくれるのを望む内容となっています。

要するに主人公からのSOS信号のようなものでしょう。

誰かがこのメッセージをキャッチして、助けに来てくれることを願っているようです。

PVでは深い森の中で身動きが取れなくなっていましたね。

誰も届かない闇の奥深くに堕ちた今、遭難信号を発しているのだと思います。