追いかけても縮まらない距離
走り出した友達を主人公は慌てて追いかけます。
そのときの主人公の表情は、涙をこらえているように見えませんか?
どうしても潤んでしまう瞳を誤魔化すために走っているのだとしたら、切なすぎて胸が痛くなります。
追いかけながら友達に向かって手を伸ばす主人公。
その手が友達に触れることはありませんでした。
きっと触れようと思えば触れられたはずです。
それなのに主人公が躊躇したのは、本当の気持ちに気付かれるのが怖かったから。
そして、手に入らないものを欲しがらないようにするためだったのではないでしょうか?
追いかけても縮まらない距離。
それがこの2人の関係そのものなのでしょう。
仮面が剥がれ落ちる
追いかけっこを終え、友達は主人公とお別れします。
「バイバイ」と手を振る友達に笑顔で返す主人公。
それは普段と何も変わらない別れ方でした。
しかし、背を向けた友達を見送る主人公の表情は、悲しみで染まっています。
笑顔がゆっくりと消えていく様は、言葉よりも雄弁に主人公の痛みを語っていますね。
今まで必死に取り繕ってきた仮面が剥がれ落ちた瞬間なのでしょう。
主人公は肩を落とし、とぼとぼと帰っていきます。
友達から貰った缶飲料を飲みながら、まだ涙をこらえている様子です。
両手で包み込むようにして持った缶飲料。
それをじっと見るシーンからは、主人公の未練を強く感じます。
この缶飲料を受け取ったときはあんなにも幸福だったのに……。
鏡を見ていたときの表情と、友達と別れたあとの表情を見比べると、余計に切なくなります。
伝えたかった言葉
主人公はもしかしたら友達に想いを告げる気はなかったのかもしれません。
傍にいられるならそれだけでいい。
そんな気持ちで友達を演じていたのではないでしょうか?
しかし、相手が結婚すると知り、主人公は最後に本当の自分を見せることに決めたようです。
悪い魔法をといてあげる
一度は何でもないフリをして別れた主人公ですが、最後まで気持ちを抑えることはできませんでした。
溢れ出す感情に抗うことなく、主人公は来た道を引き返します。
走って友達のもとへ向かう主人公。
いつのまにか降り出していた雪が主人公を急かしているようにも見えます。
そうして今度こそ友達に追いつくことができました。
主人公は友達の手を取って、そのまま走り続けます。
このシーンで「悪い魔法をといてあげる」と歌われるのが素晴らしいですね。
主人公はきっと友達を自分と2人だけの世界に連れ出したかったのでしょう。
たとえそれが友達の幸せには繋がらなかったとしても……。
主人公はこの夜が最後の夜になることを覚悟しているのかもしれません。
本当の気持ち
ラストシーンで主人公は友達と向き合い、何かを伝えます。
その表情はどこか吹っ切れたような感じもあり、今までの彼女とは少し雰囲気が違いますね。
このPVの中で主人公はずっと友達を演じる「女優」でした。
それがラストシーンで、主人公は本当の自分を曝け出します。
胸の内に秘めてきた想いを伝えるため、演じることを止めたのでしょう。
主人公が最後に何を伝えたのか。
それは想像するしかありません
しかし、きっと嘘偽りのない本当の気持ちを伝えたのだと思います。
女優のように完璧な姿ではなかったとしても、その想いは何よりも綺麗な光を放っていたはずです。
最後に
好きな人の傍にいるため。
好きな人の幸せを邪魔しないため。
主人公は「女優」になりました。
しかし、最後には本当の自分を曝け出すことに決めた彼女。
その覚悟を思うと切なくなります。
またMVでは描かれなかった彼女のその後の人生も気になりますね。
友達への想いは報われなかったとしても、いつか彼女だけの幸せを見つけていてほしいです。
そんなふうに思わず感情移入してしまうPVでした。
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