アニメ「3月のライオン」エンディングテーマ
『3月のライオン』は、羽海野チカによる将棋をテーマにした漫画です。
2017年には実写映画化もされ、勢いは留まることを知りません。
テレビアニメ版はそれよりも前の2016年に放送され、第12話からの第2クールエンディングテーマを米津玄師が担当しました。
書き下ろし楽曲である「orion」ですが、歌詞だけを見ていると恋愛をテーマに書かれているように見えます。
一体、その言葉たちが将棋とどんな風に結びつくのか、どんな風に「3月のライオン」と絡み合っていくのか、歌詞を紐解いていきましょう。
「orion」の歌詞を紐解く
あなたの指がその胸がその瞳が
眩しくて少し眩暈がする夜もある
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
恋愛の観点から読み解くと、自分にとって憧れの人はどの所作をとってしても眩しく映るものだということを歌っているように見えます。
しかし、指・胸・瞳、そのどれもが将棋にとっても必要な要素であり、対局で対峙する相手との駆け引きの場面を連想することも出来ます。
果たしてどちらに転んでいくのでしょうか。
それは不意に落ちてきて あまりにも暖かくて
飲み込んだ七色の星
弾ける火花みたいに ぎゅっと僕を困らせた
それでまだ歩いてゆけること 教わったんだ
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
ここから恋愛に転んでいきます。
恋心はふいに芽生えるものです。
その気持ちは心の中で育ち、チクチクとその胸を突き刺すこともあれば、逆に温かくさせてくれることもあります。
苦しさも嬉しさもそのひとつひとつが大切な気持ちであり、自分を前に進めてくれるエネルギーになっていくことは恋愛をすることで知ることができます。
神様 どうか 声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから
もう二度と 離れないように
あなたと二人 あの星座のように
結んで欲しくて
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
そして、サビに入っていきます。
非常に絵の浮かぶというか、想いのこもった歌詞になっています。
「あなたの声が聞きたい」と神様に願うほどに相手のことを求めています。
またこの2人は別れていることも感じ取れます。
そして、星座という言葉。ここで「orion」が出てきます。
ひとつひとつであるはずの星を線で結ぶことによって出来上がる星座。
もう会うことは出来ないけれど、もし会うことができたのならば離れないように結び合っていたいと願う心が表現されています。
夢の中でさえどうも上手じゃない心具合
気にしないでって嘆いたこと 泣いていたこと
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
現実を上手く生きていくのは難しいことです。
夢の中くらいは思うようにできたらとは思いますが、それもうまくいきません。
嘆いたことも、泣いたことも気にしないでと言ってくれた君のことを思い出しています。
解れた袖の糸を引っぱって ふっと星座を作ってみたんだ
お互いの指を星として
それは酷くでたらめで 僕ら笑いあえたんだ
そこにあなたがいてくれたなら それでいいんだ
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
さらに回想は深まっていきます。
そこにあなたがいてくれただけで、些細なことでも笑い合えるほど睦まじい関係でした。
2人は離れない糸で結ばれていたはずなのにという気持ちで次のサビへ繋がっていきます。
今なら どんな 困難でさえも
愛して見せられるのに
あんまりに 柔くも澄んだ
夜明けの間 ただ眼を見ていた
淡い色の瞳だ
出典: orion/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
結ばれていたはずなのに2人は離れてしまいました。
離れてしまった今だからこそ、一緒にいることの尊さを知り、今ならもっと大切にしていくことができるのにと嘆きの感情が表現されています。
そして、そんなあなたと過ごした時間や柔らかかった感情を、もっと強く思い出してしまいます。