人間はいつか死ぬ、「永遠なんてない」ということ

いつも気にしていたいんだ
永遠なんてないから
少しでも楽しくなって
遠く知らない街から
手紙が届くような
ときめきを作れたらなあ

出典: https://twitter.com/spitzzzzz1987/status/607129467350171649

人間は、いつ死んでしまうかわからないから、「君」のことを「いつも気にしていたい」という「君」には届かない主人公の想いを綴った歌詞

また、恋愛に「永遠なんてない」と諦めているからこそ相手には「少しでも楽しくなって」欲しいし、自分もそうありたいと思う刹那的な考え方が伺えます。

そして、「遠く知らない街から手紙が届くようなときめき」は、ほんのわずかに他人と心が通じ合ったというような驚きを含んだささやかな喜びです。

恋愛で自分が与えられるのも、相手から受け取れるのもそれくらいの喜びだという考えなのでしょう。

経験したのが幸せな恋愛ばかりではなかった人には、この気持ちわかるのではないでしょうか。

自分を無にしても「君」と一緒にいたい

ゴリゴリ力でつぶされそうで
身体を水に作り変えていく
魚の君を泳がせ 湖へ 湖へ
優しい光が僕らに射して
巧妙な罠を抜け出したんだ
夢オチじゃないお話
100度目の答えなら 正解 正解

出典: https://twitter.com/spitzzzzz1987/status/757067270992437248

ここまでの解釈でこの曲の一人称をあえて主人公と表現してきましたが、実は、「さらさら」は「僕」という一人称がほとんどの曲に出て来るスピッツ楽曲として珍しいタイプで「僕」がこの部分まで一度も出てこない歌詞です。

しかも「僕ら」なので、「君」と二人のことを指していると考えれば、単体を指す「僕」は一度も出てきていませんね。

明らかに歌詞冒頭から「雨」の降る部屋にいる「僕」、隣にいて欲しいと思う「僕」と明確な人格があるのに、それが消されている理由はこの曲の主人公が自分の形をなくして「君」が「魚」なら「水」になろうとしているからです。

冒頭の歌詞から上手くいかない「君」との関係をなんとかしようとしていた主人公は、「君」の永遠に愛する相手になろうとせず、自分を殺して「君」を自由に楽にさせてあげられる「水」のような存在になることを目指すことにします。

そうしていくうちに、冷え切っていた「君」の心も春の「優しい光」に溶かされたようになり、「僕ら」は「巧妙な罠」にはまったように上手くいかなかった倦怠期を「抜け出した」のでした。

こんなに上手くいくわけないと「夢オチ」のように思えてしまいますが、ここまで来るのに「100度」かかっていると言われたらこれが「正解」だったんだと納得しますね。

ほどけそうな関係でも後悔しないところまで続けたい

眠りにつくまで そばにいて欲しいだけさ
結び目はほどけそうでも
まだ続くと信じてる 朝が来るって信じてる
悲しみは忘れないまま

出典: https://twitter.com/i_am_Famichiki/status/810872990317576193

東日本大震災から、あなたは何を考え、行動しましたか。

これは推測でしかないのですが、作詞したボーカルの草野さんが感じたのは、震災という「悲しみ」から、大切な人をいつ失うかわからないという怖さと、「ほどけそう」な「結び目」のような、少し引っ張り方を間違えればほどけて無くなりそうな関係性であっても、想いを伝えきれないまま大切に想っている人を失って後悔するより、繋がりを信じて関係を続けようとすることだったのではないでしょうか。

その関係性が今は「悲しみ」の方が多い苦しいものでも模索し続ければ、いつか「罠を抜け出した」ように、和解できてより良い関係になることができる。

「悲しみは忘れないまま」前に進もうとする姿は、恋愛のことでなくても、自分のことに落とし込んで、共感ができますね。

おわりに

本当に悲しい出来事は忘れることなんてできません。

いくら前向きにとか、元気を出してと言われても、そう簡単には変わることもできません。曲の冒頭で「雨の音」が部屋を埋めていったように、立ち直ったと思っても、自分が空っぽになったふとした瞬間に「悲しみ」が頭を心を埋め尽くしていくものだからです。

この歌詞では、悲しい出来事を忘れようとするよりも、「悲しみは忘れないまま」でいいから、いつ死んでしまうかわからない一度きりの人生で、今大切なのは、一緒にいたい人のために何ができるのかを考えること、そして、明るい未来を信じることだと歌っているのではないでしょうか。

一緒にいたい人のために何ができるかというのは、人によっては自分を出してもっと本音でぶつかる事かもしれませんし、執着しすぎて、有る事無い事を疑って相手を困らせているという人は「さらさら」と流れる清流のように透明な心で、この曲の主人公のように自分を無にする事かもしれませんね。

人生も、人間関係も、色んな方法で、当たって砕けて、時には悲しんで苦しんで、「100度目」くらいにようやくこれだという「正解」にたどり着くのかもしれません。

そうして乗り越えた先には、きっと「夢オチ」だなんて思ってしまうくらい、信じられないほど優しい未来が待っているということをこの曲は歌っているのではないでしょうか。

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