『Nobody’s Home』タイトルの意味

家族へ宛てた曲

2010年発売のアルバム『Nicheシンドローム』に収録されている『Nobody's Home』。この年、ONE OK ROCKは初めての日本武道館ライブを行い、バンドとして波に乗ってきた頃でもありました。

その武道館ライブに自分の両親を招待したというTakaのエピソードには、この曲の持つ意味と深くリンクするものがあります。 歌詞をストレートに解析すればわかるように、この曲は家族へ宛てた曲です。タイトルである「Nobody's Home」とは「家に誰もいない」という意味で、曲全体の意味と照らし合せてみるに、離れ離れになった家族の形を歌った曲のようにも思われます。 Takaの両親は言わずと知れた日本の名演歌歌手である森進一と森昌子夫妻。そんな大物歌手の2世とあって、Taka本人が幼少時代から抱えてきた苦悩や葛藤は計り知れないものがあったように見えます。 そんな境遇で育ったせいか、両親との確執は深かったようで、多感な十代でTakaは家を出ています。おそらく、高校を中退したのもその理由の一つであり、今、ONE OK ROCKで手にしている「夢」へと辿り着くためには必要な選択だったのでしょう。

しかし、夢の一つに手が届いた今、これまで来た道をふり返ってみると見えるものがあった、そんな気持ちを綴ったような出だしで歌詞は始まります。

How are you doing?
そんなふうに言えるのにも時間がかかったね
いつだってここだけは
温もりや優しさが僕を包んでくれてた場所で
けど僕は何度も裏切ってきたね

出典: Nobody's Home/作詞: Taka 作曲: Taka

温もりや優しさで包まれたその場所というのは、「家」つまり「Home」なのでしょう。両親に反発してばかりだった頃には感じ取れなかった感情が湧き上がってきたからこそ書ける歌詞です。

プロフィールによれば、Takaが17歳の時に両親は離婚しています。家を飛び出した本人、離婚をした両親。

「Nobody's Home」とは、「家族」という1つの集まりがそこにはもう存在していない、つまり、家族がいつも一緒にいるべき場所がないことをタイトルに引っかけてあるように思います。

ONE OK ROCK『Nobody's Home』歌詞の意味から見えてくる家族愛の画像

お互いの距離の中にも希望が響く歌詞感

歌詞解釈!

何もかもを捨てて飛び出したあの日

思い出せば僕の背中を

あの時も強く押してくれてたんだね

出典: Nobody's Home/作詞: Taka 作曲: Taka

このフレーズには、家を飛び出した自分のわがままな決断を黙って受け入れてくれた両親に対しての感謝の気持ちが浮き彫りになっているようです。

ただ反発していた頃には気づけなかった気持ちが、自分が成長するごとに後悔や懐かしさと共に押し寄せて来たような、そんな感覚を感じさせます。

気づけばバラバラになってたんだ
どうする事もできなくて
ただ悔しくて
求めてた親の夢
欲しかった僕の夢
交わることはなかった現実

出典: Nobody's Home/作詞: Taka 作曲: Taka

過去にはいろんな反発や葛藤があったのでしょう。実際、Takaのプロフィールからもわかるように、特に父親との衝突は多かったようです。

父が子供に託したかった理想自分の追い求めたかった理想とのギャップに悩んだ10代の本人の葛藤が、このフレーズからはよく表れています。

ONE OK ROCK『Nobody's Home』歌詞の意味から見えてくる家族愛の画像

「Nobody’s home」だけど「Everybody’s home」

自分の求めていた道

人間は、自分の追い求めていた理想が現実となった時、もしくは、そこに一歩近づいた時に改めて物事を冷静に見れるようになるものです。

たどり着いてこそ見えるものが感謝の気持ちであり、それは、今という現実に満足している人だからこそ感じられる気持ちではないでしょうか。なぜなら、自分自身に満足できなければ人に対しても優しくはできないからです。 反発を重ねていた両親に対して感謝の気持ちを言葉にできるということは、Takaは今、自分の求めていた道を確実に歩いているのでしょう。その感謝の気持ちの後にあふれてくる感情が、以下のフレーズによく表れています。

けど今言えることがあるの
離れても揺るがないもんはある

Nobody’s home yeah
Nobody’s home yeah

たとえカタチが崩れて無くなっても
目には見えないもので必ず
僕ら生きる限りつながっているから

出典: Nobody's Home/作詞: Taka 作曲: Taka

例え家族としていつも一緒にはいれなくても「心と心はつながっている」という意味でしょう。それが、次に続くフレーズからも伺えます。

Everybody’s home

出典: Nobody's Home/作詞: Taka 作曲: Taka