”いつかの君”に向けて綴った、熱いメッセージ。
どこのレーベルにもメジャーな流通にも属さない、
自主レーベルで活動をし続けるバンドを、主題歌として抜擢するのは、
なかなかない事だろう。
ドラマタイトルからのインパクト。そして耳に残る歌い出し部分。
目からも耳からも強烈な印象を与える作品の世界観に思わず引き込まれたのは、
私だけではないと思います。
感覚ピエロは、2013年大阪で結成された男性4ピースバンド。
結成当初から自主レーベル「JIJI RECORDS」を設立し、
アートワークからレコーディングまでもメンバーで行うという、
独自のスタイルを貫いています。
大阪のバンドではそう珍しくはないことですが、
ここまで売れっ子になったのは本当に凄いことで、
2017年には、藤原竜也主演の話題の映画『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』
の主題歌までに登りつめました。
邦楽ロックの成り上がり系バンドで、ある種勝ち組だと言えるでしょう。
この夏、「ゆとりですがなにか」の続編がスペシャルドラマとして帰ってきます。
ドラマの放送の前に改めて、ドラマのキャラクターに寄り添いながら、
『拝啓、いつかの君へ』の歌詞を紐解いてみましょう!
あんたの正義は一体なんだ?
拝啓、いつかの君へ
そんなに愛想笑いが巧くなってどうするんだい?
忘れた訳じゃないだろ いつまでそこで寝てんだよ
「あんたの正義は一体なんだ?」
目に映るすべての景色が変わって 変わって 変わって
淡々と進んでいく毎日にいつしか 流れて 流れて 流れて
AとBの選択肢 突如現れた狭間に
あんたの正義は助けてくれるのかい?
出典: 拝啓、いつかの君へ/作詞:秋月琢登 作曲:秋月琢登
”いつかの君へ”
この”いつか”とはどのくらいの年月が経っているのか。
過去の自分が未来の自分の姿に憤りを感じ、思わず綴った手紙。
だという事が汲み取れると思います。
私自身”ゆとり世代”なので、通じる部分を感じます。
大人たちが勝手に始めたゆとり教育を受けて育っただけで、
大人の世界に踏み入れると、”ゆとり世代”は仕事が出来ない若者と罵られます。
その大人に従って、愛想笑いをかまし生きている未来の自分を見て、
堪らず助言をする過去の自分。
「あんたの正義は一体なんだ?」
子供の頃の正義と言ったら、アニメのヒーローが思い浮かびます。
悪いものをやっつけ、泣いている人を救う。
そんなヒーローに憧れていたはずなのに…。
大人の世界で、幾度も立ちはだかる選択肢。
自分の意見なんて通るはずもない。全ては会社の為。
そんなんでいいのか?正義を忘れてしまったのか?
と、大嫌いな大人に染まっていく未来の自分に過去の自分が問う。
白に黒を塗り足して
今はまだ何も見えなくていいよ 描いて 描いてみせてよ
今ココに在るものすべて僕等が壊してあげるから いつでも
「あんたの正義は一体なんだ?」
出典: 拝啓、いつかの君へ/作詞:秋月琢登 作曲:秋月琢登
”社会という組織”という、肯定する事しかできない潔白の世界を、
暗黒世界だと証明してあげるから。
本当の気持ちをどんどん出していこう。
誰かの言いなりなんかにならなくていい。
ドラマの内容と通じるものがあります。
憤りや不満もありながらも、我慢をしながら仕事をし、
全てを酒で流し込む。
こんな世界でいいのか、あんたはそれでいいのか?
あんたの正義に覚悟はあるのか?
何度だって声に出して
夢に向かって立ち上がって
壊れたってまた創って
愛を持って生きてくんだ
いつの日にか叶えるんだ
出典: 拝啓、いつかの君へ/作詞:秋月琢登 作曲:秋月琢登
過去の自分の叫びは幻となって消える。
通用しない。そんなに甘くは無い。
消え去りながらも叫ぶ過去の自分。
でも忘れないで欲しい。
何度だってやり直せる。
また作り出せばいいんだ。
でも、未来の自分の心には届かなくなっていたのです。
あんたの正義にどこまで覚悟があるかは知らないけど
黙って 黙って 見てなよ
理解されなくてもいい 今はまだ何も見えなくても
拝啓、いつかの君へ
自分の信じた正義なら選んで進んでみせなよ
拝啓、いつかの君へ
今ココにあるものすべて
「あんたの正義に覚悟はあるのか?」
拝啓、いつかの君へ
出典: 拝啓、いつかの君へ/作詞:秋月琢登 作曲:秋月琢登
最後まで過去の自分からの説得は続きます。
あの時の染まっていない自分の気持ち。
純粋で真っ直ぐに生きてきた。
好きなものは好き。嫌なものは嫌。
自分は変わってしまった。変わらないといけなかった。
この社会で生き抜くためには必要だった。
否定することが出来ない世界で生きる事に決めた。
それならそれでいい。
でも最後にもう一度聞く。
「あんたの正義に覚悟はあるのか?」
と。
社会人になって感じた風当たりの強さ。
その中でも一生懸命頑張っていくしかありません。
しかし、
自分に自信がついた時、ある程度の地位に上がった時、
それを覆せる時がやってくるのです。
”ゆとり世代”を馬鹿にしてると痛い目に合いますよ。
という反骨精神が感じられる、ドラマにぴったりの曲です。