繁華街や歓楽街のイメージを彷彿とさせる「わかれうた」。儚い夜や出会いとよく似合う背景設定です。
そしてやはり歌詞全体で悟りや無機質な痛みを感じさせますね。
別れを予感する夜
ひとごとに言うほどたそがれは
やさしい人好しじゃありません
出典: わかれうた/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
もう「名を呼んでも最後は別れだけ」とじゅうぶんわかっているはずなのに、黄昏つまり夕暮れ時はどうしても感傷を誘ってくる。
別れの待つ幸せな夜に向かう夕方、なんと切ないのでしょう。
それでもそんな黄昏すら冷静に見つめることができるのは、今まで幾度と別れを重ねてきたから。
そして、黄昏のイリュージョンになんとなく流されないという意志があるから。
気持ちと裏腹の行動
別れの気分に味をしめて
あなたは私の戸を叩いた
私は別れを忘れたくて
あなたの目を見ずに戸を開けた
出典: わかれうた/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
この部分がこの曲の要と言っても過言ではないでしょう。
今までの別れの朝をなかったことにしたくて、あなたと目覚めまで一緒にいたくて、だからあなたに会うのだ。
目をそらして覚悟を決めて、自分の部屋、もしくは家の扉を開けるのだ。
ここまで考えられるなんてとてもいい女だと思うのですが、意中の殿方には理解されないのですね。
それでもまた別れは消すことができず、また別れが待っているのが切ない。
女の思慕を都合よく利用する男と、思いを断ち切れない女の対立も悲しくも美しいフレーズです。
あなたは憂いを身につけて
うかれまちあたりで名を上げる
眠れない私はつれづれに
わかれうた今夜もくちずさむ
出典: わかれうた/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
憂いを身につけて、つまりセンチメンタルという偽りの感情に酔う「あなた」。
女性のさっぱり感とは対象的です。ここの対比も美しいですね。
「あなた」のように感傷的には決してなるものか、流されてたまるものか、という強い意志も感じとることができます。
また、悲しいのに歌を歌うという裏腹な行為がこちらの感傷を誘います。
最後に
時代が変わっても変わらない「別れ」というテーマ。しかし現代曲にはない貫禄、時代の香りなどを楽しめるナンバーです。
また、感傷という酔った感情のない悲しみや苦しみこそが人の心を揺さぶるのだと気付かされるような曲。
大人の女性には全身に染み入るようでしょう。
ぜひ現代っ子も大人の貫禄を学ぶために、また演歌への入口として聴いてみてくださいね。
無料で音楽聴き放題サービスに入会しよう!
今なら話題の音楽聴き放題サービスが無料で体験可能、ぜひ入会してみてね