CMソングに大抜擢
3rdアルバム『白と色イロ』
シンガーソングライターの井上苑子さん。
ポジティブ、でもネガティブ?!
この楽曲の主人公は「私」。リリース当時の井上苑子さんくらいの年代の女の子でしょう。
彼女には大好きな人がいました。それが歌詞中に登場する「君」という存在です。
主人公はそんな君のことが好きでたまらない様子。
しかしタイトルを見てみると、幸せいっぱいということもなさそうで…。
君にまみれている、といっています。これは「汚いものがべったり一面について汚れること」を意味する言葉。
つまり君のことが大好きだけれど、君の存在が自分にこびりついていることはネガティブに捉えているのです。
一体どういうことなのでしょうか?
彼女が求めた理想の関係、現実とのギャップ。そして気になる2人の関係性にも迫っていきましょう。
私と君の関係性
私にとって君は…
粗大ゴミみたいに日付指定の恋ですか?
縦、幅、奥行き、重さとか測るすべもない
君のTシャツが吊るされたままのカーテン
返すのも 仕舞うのも 洗うのもイヤ
出典: キミマミレ/作詞:井上苑子,田中秀典 作曲:田中秀典
彼に対して好きという感情を抱きながらも、どこか汚れ物のように扱っている理由。
それはきっと、私が君にとって本命の彼女ではないからでしょう。
粗大ゴミというと、事前に収集の申し込みをしたうえでゴミを持ち込んだり収集して貰ったりします。
つまり私は君と会いたくなったら事前に申請しなければならないということ。
スケジュールを確認してデートの日を決めることを「予約」と捉えているのでしょう。
君のスケジュールのわずかな空きを狙ってデートを予約する。会うだけで一苦労の関係性だとわかりますね。
君はとても忙しい人なのでしょう。それはバイト?学校?友人と遊ぶ?それとも浮気?
理由はわからずとも、スケジュールの空きの少なさに私は少々呆れ気味かもしれません。
そして私を悩ませることがもう1つ。それが歌詞2行目に綴られています。
君が私のことをどれだけ愛してくれているのか、その気持ちが全くわからないというのです。
主人公は大きな愛をもって君と接しているのでしょう。対して君は…?
もはや私のことを好きなのかさえわからないと感じています。
3-4行目ではそんな現実を直視し、ちょっぴりふてくされている様子も描かれていますね。
私はきっと自分が持っているのと同じ大きさの愛を、君に求めていたのでしょう。
君にも大きな愛をもっていて欲しかったのに、それがどこにあるのか、本当にあるのかが見えません。
すでに私の理想と現実が大きく乖離していることがわかります。
一緒にいた時間は長い
ひとつ 数えたら ふっと笑った君がいた
ふたつ 美味しいと褒められた手作りのオムライス
3、4、5 と増やしたい 思い出の数
絶やさず、こぼさずに、守ってるんです
出典: キミマミレ/作詞:井上苑子,田中秀典 作曲:田中秀典
私と君は付き合いたてのカップル、というわけではなさそうです。
主人公は会えない寂しさを紛らわすかのように、過去の思い出に浸り始めました。
思い出を振り返るということは、その時に抱いた感情もセットで思い出すということ。
私はそんな過去の感情に浸りながら、もっとこんな気持ちを味わいたいと願います。
しかし現実的にそれが叶わないとわかっていますから、せめて過去の幸せは忘れないように「守って」いるのでしょう。
いつになったら会えるのか
ショートにしていた髪も伸びたから
そろそろ戻そうかなあ って言いたいのに!
出典: キミマミレ/作詞:井上苑子,田中秀典 作曲:田中秀典
ここのフレーズからは、もどかしさ・寂しさ・怒りなど様々な感情が見えますね。
主人公のこのセリフが君となかなか会えず、さらには連絡もなかなか取れない2人の関係性を印象付けています。
まるで一方通行の恋。主人公はきっとどこかでそれに気がついていながら、それでも君を愛してしまうのです。
その理由は続く歌詞で綴られていました。