クールに韻を刻むマットトリガーは、うちに情熱を秘めるタイプでもありましょう。
荒々しく男らしく、しかしその心を読めないクールな彼等。
ヒプノシスマイクという戦いは、自分が自分であるための戦いなのです。
自分を守るため、自分と共にある仲間を守るため。
そのために相手の眉間に銃口を突きつける戦いを繰り広げます。
もちろん、武器を持つことを禁止された世界です。
ここでいう銃口とは、マイクのこと。
ヒプノシスマイクという銃口を相手の眉間に突き付け、彼等は自分を守る戦いを続けます。
シブヤディビジョンっぽく
乱数のように掴みどころなく
Easy easy easy わかるだろう
君 君 君じゃ 役不足
出典: Survival of the illest/作詞:Amon Hayashi 作曲:Amon Hayashi Dirty Orange
君じゃ役不足というのは、乱数が言いそうな言葉といえましょう。
そんな乱数は、定められた目的のため誕生した刹那をもっています。
特殊な能力を持たされて生きる、そんな彼だから自覚しているのです。
乱数と戦えるのは、そんじゃそこらの能力では役不足であるということを。
韻を刻み、刹那を生きるという生き方しかできない社会の中です。
自分の力を理解しているからこそ、本当に強い奴としか戦いたくない。
役不足は逃げた方がいい、僕は強い奴としか戦わない。
無用な傷はつけたくないという優しさの裏返しにも聞こえます。
不器用な乱数らしいリリックとも表現できましょう。
勝者は俺たちしかいない
ブレーキも壊れた その先のイメージを
君のその夢は否定しよう
出典: Survival of the illest/作詞:Amon Hayashi 作曲:Amon Hayashi Dirty Orange
乱数だけじゃありません。
フリングポッセには、夢野も有栖川もいます。
目的のため集められたとはいえ、彼等には仲間意識も芽生えつつある。
そして自分たちの能力の高さも自覚しています。
並み程度の能力でその夢を持つのならば、ぼくらがその夢を否定しよう。
そんなことを言えるのは、本当の勝者だけではないでしょうか。
つまりフリングポッセは、自らが勝者であることを自覚しているともいえるのです。
逆にいえば、その自信が彼らを生かしているともいえましょう。
シンジュクディビジョンの色気を
生きた証とは
超高層階 見下ろす欲望の街
出典: Survival of the illest/作詞:Amon Hayashi 作曲:Amon Hayashi Dirty Orange
高みの見物のように表現されているのがシンジュクディビジョンらしさです。
高層階をもつ建造物が多数存在するシンジュク。
そこを拠点とする麻天狼の彼等は、このフィールドこそが生きる街です。
階下には、欲望が渦巻く街が見えます。
しかし、その欲望のすべては叶うはずもありません。
夢かなう者がいる反面、夢破れる者もある、それが社会だから。
いくつかの欲望は霧のように舞って消えていきます。
どんな形であれ、願って手を伸ばしたとしてもです。
そして麻天狼の彼らはそんな破れた夢の数々を眺めてきたということでしょう。
寂雷が願い歩む未来
輪になり踊る この街の夜は僕が彩る
出典: Survival of the illest/作詞:Amon Hayashi 作曲:Amon Hayashi Dirty Orange
寂雷には、シンジュクディビジョンにいて眺め続けた世界があります。
良さも悪さも知っている彼だからこそ。
そして善悪の判断だけで決定づけられないものがあることも知っています。
そんな彼だからこそ、この街の夜を彩るということです。
彩るとあるのですから、その街の個性を守るという表現ともとれましょう。
シンジュクというフィールドの個性を、そのままにこの街を彩る。
夢破れる悲しみも知るからこそ。
それが麻天狼の、そして寂雷の志とも受け取れるリリックです。