MONDO GROSSO
MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)は、クラブミュージックを中心とした大沢伸一を中心としたプロジェクトです。
ハウス、テクノやジャズやソウル、ヒップホップ、ボサノヴァ、R&Bなど高クオリティな楽曲が特徴であり、様々なアーティストとのコラボレーションも魅力です。
最大のヒット作となった2003年リリースの2ndアルバム『NEXT WAVE』は、Dragon Ashの降谷建志やUAなど様々なアーティストとのコラボレーションも話題になり15万枚の売り上げを記録しています。
2017年6月に14年ぶりにリリースされたアルバム『何度でも新しく生まれる』は、これまでコラボレーションしてきたbirdやUAだけではなく、女優の満島ひかりとコラボレーションした「ラビリンス」が話題になりました。
今回は、乃木坂46で活躍する斎藤飛鳥とコラボレーションした「惑星タントラ」を紹介します。
乃木坂46・齋藤飛鳥が歌う「惑星タントラ」
作詞を相対性理論などで活動するやくしまるえつこが手がけています。
SF映画の中に迷い込んだような齋藤が歌いながら漂い、踊っている雰囲気がとても魅力的です。
まるで感情をなくしたアンドロイドのように歌っています。
この歌には小説のような世界観があると思います。 歌詞を読んでいきましょう。
MONDOGROSSO「惑星タントラ」の歌詞を読む
Joy to the world
僕らはとうに正気を失くして
どこからどこまでが「I」
Going underground
僕らは今日もショーケースの中で
なにかを待っている「愛」
出典: http://lyricstranslate.com/en/mondo-grosso-wakusei-tantra-惑星タントラ-lyrics.html
少年は少女に出会います。
この普遍的なテーマである"ボーイ・ミーツ・ガール"は、この歌の中では誰かに仕組まれたプログラムのようです。
少年と少女が出会うことですら、この世界を動かすエネルギーの源なのでしょう。
ここで描かれている世界が現代社会のある側面の比喩なのだということが浮かび上がってきます。
誰かと出会うこと。 誰かと愛を交わすこと。
それは人間の本来的な力です。
でもそういう関係性の中で生まれるものが、どこかマトリックス的に世界を動かすエネルギー源のようになってしまっていて、窒息感がある。
時代の空気をうまく描き出しているのでしょう。
穴の中の砂の中の檻の中の鏡の中
箱の中の空の中のχ(カイ)の中を
歩く二日三日四日五日六日七日なのか
I know that I know that I know that
I know that I know that I know that
I know that I don't know that
出典: http://lyricstranslate.com/en/mondo-grosso-wakusei-tantra-惑星タントラ-lyrics.html
本当の"I"や"愛"を求めている。
その求める気持ちが"穴の中""砂の中"”檻の中”"鏡の中"というように何かの中にあって、その中を探らなければならない。
あるいはそういうものを求めて何日も歩かなければならない。
私はそれを知っているようで、知らない。 だから閉塞感があるのでしょう。
もろびとこぞりて踊り歌う
大いなる船出を花火が追う
小鳥が飛んだらおやすみの合図
再三ループして無欠のロジック
制服のリボンは秩序のホリック
粛清システムは密室のトリック
惑星タントラ
「Hi」
出典: http://lyricstranslate.com/en/mondo-grosso-wakusei-tantra-惑星タントラ-lyrics.html
この窒息しそうな世界で踊り歌うことは、生きているということを確認する行為です。
そしてある時期がくると人生の船出があるのでしょう。
これまでとは違うステージへの旅立ち。
でも違うステージへあがったと思っても、それは少しだけ違う世界なのです。
さらに次のステージまでぐるぐるまわり続けなければなりません。
そういう思いがループとかロジックとか抽象的に歌われています。
Joy to the world
僕らはとうに正気を失くして
どこからどこまでが?
出典: http://lyricstranslate.com/en/mondo-grosso-wakusei-tantra-惑星タントラ-lyrics.html
何が正解なのか? 何が真実なのか? そういうことを探っているようで、どこかで正気をなくして夢の中にいるような心境が伝わってきますね。
野性と管理社会
元々、人間は野生動物の一種でした。
そういった存在から知恵というものをもって秩序のある世界を築き上げてきたといえると思います。
でも高度に管理された社会では、人間を人間たらしめる野性の部分が抑圧され続けています。
この歌で描かれているように感情が失われていき、すべてロジカルに行動するようになると、自分という存在の主体が薄れていきます。
またそういった自分の野性の部分を解放するための娯楽に囲まれていても、それはもう答えがわかっているプログラムなのです。
自分が何のために生まれてきたのか? そう問いかけることもなくなってしまえば、ただ生きているという虚無の中に引きずり込まれます。
この歌はそういう虚無の一歩手前の世界が描かれているように思います。
ではどうすればいいのか?
これは凄く難しい部分です。
自分が自分であることを自分で見つけるしかないと筆者は思います。
自分の手で触ることができる喜びを手にして、自分が生きているという主体を取り戻さなければならない。
そしてそういった部分とイノベーションも関係があると思います。
すべてが決定されていると思うのではなく、自分で決定していくことができる。
そう思えることがとても大切ですね。
大沢伸一の世界
MONDOGROSSOとして活動する大沢伸一はアーティストであり、DJ、プロデューサーでもあります。
YMOなどのニューウェイブに影響を受け、クラブカルチャーの黎明期を駆け抜けてきました。
世界的な音楽家のひとりで、優れた音楽を多数生み出しています。