闘う前から圧倒的な敗者ムードに包まれている彼。

しかし彼の根性はどこまで座っているのか、勝ち目のない相手を目の前にしても非常に落ち着いています。

一方、相手がまとっているのは勝者の風格

その様子を見た誰もが萎縮してしまうのでしょう。しかし彼は違います。

萎縮しないどころか、相手に勝つ想像まで繰り広げているのです。

たった一発を相手に食らわせるだけで形勢はひっくり返ります。

180度ということは、勝者が敗者に、敗者が勝者になるのです。

負ける未来しか見えない彼に今、向けられているのは黒星色したブーイングや嘲笑。

しかし彼が相手を一発で仕留めたときは、白星色した歓声が彼を褒め称えることでしょう。

という、ポジティブなイメージを胸に、彼は闘いに挑みます。

個性こそが正義なのか?

アイデンティティのイス取りゲームはとっくにオーバー YEAH
それでも弾かれまいと世界を 両足で握りしめる

出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

個性こそ正義。ずらりと並んだ個性の椅子に人々は群がり、埋めていきます。

彼はそれに乗り遅れ、椅子に座れませんでした。

没個性的な人は、現代では疎まれる存在といえるでしょう。

しかし彼は「その他大勢の没個性」とともに追い払われてしまわないように、足に力を入れてその場から動きません。

個性がなくても闘える。凡庸な自分でも勝てる。それを証明したいのかもしれません。

個性を憎んで人を憎まず

真っ赤な本能 汗だくの SOUL
難題だらけのジャストザウェイユーアー

出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

彼の中で闘争本能がメラメラと燃えています。

闘う前から汗が流れ出すのはきっと、闘争本能や魂の熱さのせいでしょう。

「just the way you are」を直訳すると「素顔のままで」。これはどういう意味でしょうか。

Official髭男dismが敬愛するミュージシャン「ブルーノ・マーズ」の一曲、「Just the way you are」

どこも変える必要がない、君は君のままで最高だ!といった内容の曲です。

つまり、相手の個性を褒め称えているわけです。

直訳をそのまま用いても、ブルーノ・マーズの歌詞の意味を汲んでも、考えられるのは一つ。

「君の個性は最高=just the way you are」ができない。難しい。受け入れたくない。

「その個性が気に入らない」という言葉に尽きるでしょう。

貫き通そう 削ぎ落とす憎悪
余裕なんてかますつもりもない

出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

気に食わない、という気持ちはあれど、闘っている理由は「相手が憎いから」ではないようです。

相手を倒したいと思ったときは、どうしても憎悪が生まれてしまいます。憎しみは時にパワーにもなるのです。

しかし彼はそれを良しとしません。憎しみを理由に闘いたくないですし、憎しみながら勝ちたくないのでしょう。

それは「憎悪なんてなくても勝てる」ということでもありません。

憎しみで相手を圧倒して余裕を見せるような人間にはなりたくない、という意味に受け取りました。

背負い込んだ感情は HI-HEAT UP HI-HEAT UP
掴み取るのだ理想像を
真っ赤な本能 汗だくの SOUL 残ったのはどっちだ?

出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

憎悪は捨てて、闘争本能だけで闘いたい主人公。

憎悪で欠けたパワーを補うかのように、魂は更に熱く燃えています。

これが彼のファイティングスタイルであり、その先には彼が追い求めて理想とする「強い人」がいるのでしょう。

さてこの闘い、どちらが勝つのでしょうか?今はまだ分かりませんね。

歴史のストーカーになっていませんか?

統計学をどこまで信じるか。

頼りすぎていると「歴史のストーカー」と言われかねません。

数年後に生まれる逸材のコピー

1つとして 確かなもんなんてない
「向いてない」「センスない」 歴史のストーカーが騒ぎ出す

出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

今までは彼のような人間が勝利した実績はないのでしょう。

だからこそ周囲は「ムリムリ」「負ける」と思っているのです。

しかし彼らが参照しているのは過去の闘い。

もしも数学的に勝率を計算したって、その数字通りの結果になるとは限らないのです。

「今まで」にこだわりすぎる人々を、ここでは「歴史のストーカー」と呼んでいます。

歴史上で起きたことは揺るぎようのない事実、しかし歴史に基づいて勝敗を決めるなんてナンセンスですね。