天才? 秀才? 20年にたった1人の逸材?
そんな安い言葉売っぱらって 替えのきかない目で見つめろ
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
記録的な戦績を収めてきた相手は、周囲から「天才」と呼ばれているのでしょうか。
◯年に一人の逸材、という表現は圧倒的なセンスを持ったスポーツ選手などによく使われます。
しかし、どこか違和感を覚える言葉ではないでしょうか。
二十年に一人の逸材であれば、二十年後にはまた同じような天才が出てくるということです。
二十年経てば「替え」が現れる。チヤホヤされている相手は、この言葉のからくりに気づいていないのかもしれませんね。
主人公はあえて彼に「安い言葉だと気づけ」と告げるのです。
二十年に一人の逸材よりも、この世に一人しかいない自分の力を信じろ、ということでしょう。
決して倒れない凡庸
熱血ド根性 満身創痍のロックンローラー
誰ぞにけなされたそのセンスで 常識を作り変える
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
どんなに打ちのめされても、どんなに足元がぐらついても決して倒れない根性は、言い換えれば「ロック魂」。
自分の価値観を貫き通すことはそう簡単ではなく、あちこちで傷つくこともあるでしょう。
凡庸でセンスがないという周囲の声にも傷つきはしますが、倒れません。
だったらその「凡庸さ」で、「個性こそ正義」の世界をひっくり返してやる!という意味にとらえました。
誰かに迎合する個性とは?
真っ赤な本能 汗だくの SOUL
反対だらけのジャストザウェイユーアー
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
闘争本能は燃え続けています。
「個性こそ正義」であり、「個性」と呼ばれるものが溢れている現代。
しかし、個性が画一化しているように思うのは私だけでしょうか。
「こんなファッションが個性的」「個性的な髪型はこれ」
「個性」のカタログを読んで、それを真似することが「個性」と呼ばれる世の中だと感じるのです。
「反対だらけ」という歌詞を、「個性と呼ばれる没個性」という意味に読み取りました。
貫き通そう 削ぎ落とす憎悪
顔色なんて伺っちゃバカみたい
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
彼は「個性」と「個性こそ正義」な世の中に闘いを挑んでいるだけで、「個性的な誰か」を憎んでいるのではありません。
ですから、憎しみは持たないように努めています。
個性を売り物にしている相手は、自分を貫き通そうとはせず、彼の顔色を伺う仕草を見せたようですね。
個性を持っているのなら、それを全面に押し出さなければ意味がありません。
誰かの考えを推測して、それに合わせようとすることは個性的でしょうか?
自分そのものをアピールしていると言えるでしょうか?
意地っぱりの闘争は HI-HEAT UP HI-HEAT UP
つかみあう鬼の形相
真っ赤な本能 汗だくの SOUL 膝をつくのはどっちだ?
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
相手のちょっとした仕草を逃さずツッコミを入れます。人の顔色を伺うなんて没個性だ、と。
そう言われた相手は「顔色なんて伺っていない、俺は個性の権化だ」と意地を張ります。
「つかみあう」とありますが、恐らく暴力的なものではなく、言葉や思考での応酬なのでしょう。
個性と呼ばれる没個性vsたった一人の没個性、どちらが先に膝をつくのでしょうか。
誰もが持っている光
真っ赤な本能 汗だくの SOUL
難題だらけのジャストザウェイユーアー
貫き通そう 削ぎ落とす憎悪
余裕なんてかますつもりもない
背負い込んだ感情は HI-HEAT UP HI-HEAT UP
掴み取るのだ理想像を
真っ赤な本能 汗だくの SOUL 残ったのはどっちだ?
残ったのはどっちだ?
出典: FIRE GROUND/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
この曲で闘っていたのは、個性がないと言われる主人公と、個性的だと言われる相手だったのでしょう。
更に言えば、没個性vs個性です。
ただし後者は個性「的だと言われる」だけで、本当に個性的なのかは定かではありません。
日常生活では目立つ人、目立たない人がいます。目立つ人はキラリと光る何かを持っていて、それが「個性」と呼ばれます。
では目立たない人は何も持っていないのでしょうか?
目立たないから見えないだけで、本当は「個性」を持っているのではないでしょうか。
つまらない人間だと言われたら、個性に闘いを挑むのです。
主人公の理想像は、本当の個性を持っている人。
その理想に近づこうと努力し、辿り着いたとき、リングの上に残っている勝者は主人公ただ一人なのでしょう。