少年は、当たり前のように注がれていた愛は、実は当たり前ではなかったことに気づきました。

そのことを過去への回避で思い知った少年に、愛おしく想う人が現れます。

少年からの相手を気遣う言葉は少年自身の心にも温かい何かをもたらしてくれています。

恋人との甘いひと時は、少年にとっての癒しとなっていたのです。

つららのように尖っていた少年の心の氷は少しづつ解け始めているストーリーが浮かぶセトリになっています。

想いを重ねた先に見えるモノ

第一部のエピローグはデビュー曲の「路地裏の少年」です。

少年は今までの日々を振り返り、甘かった自分と苦い現実を客観的に見つめることができるようになりました。

愛しい日々と苦い日々のどちらも自分が積み重ねてきたかけがえのない時間です。

それらを受け入れることで、少年は大人へと成長していくのでした。

第二部 臆病な大人たちへ捧ぐ

第二部セットリスト

浜田省吾【2019年版コンサート・ライブ情報】 チャリティーコンサートのセトリ紹介!あの人気曲も!?の画像

10・雨の日のささやき
11・恋に気づいて
12・悲しみ深すぎて
13・LOVE TRAIN
14・子午線
15・4年目の秋
16・ミス・ロンリー・ハート
17・いつわりの日々
18・風を感じて
19・涙あふれて
20・今夜はごきげん
21・青春のヴィジョン
22・君が人生の時・・・
23・Good Night Angel
24・行かないで
25・ラストダンス

出典: https://shogo.r-s.co.jp/disco/dvd11.html

第二部のオープニングはシティポップの名曲「雨の日のささやき」です。

痛みを伴う経験は大人をどんどん臆病にしていきます。

気持ちの赴くままに踊りたい!叫びたい!と想いが募れば募るほど、裏腹な言葉だけが口に出てしまいます。

もどかしさは少年のあの頃とあまり変わっていないようです。

ロストラブの後に残るモノ

「恋に気づいて」「悲しみ深すぎて」では失恋の切なさと虚無感が歌われます。

照れからなのかプライドなのでしょうか、少年は結局素直になれませんでした。

素直になれなかった代償で無くしたモノはあまりにも大きかったのです。

自分が招いたことなのに、どこか映画を見ているような虚ろな視界が気持ちをどんどん曇らせていきます。

次!次にいけ!と周りは簡単に言います。

しかし、次にいくためにも心のインターバルは必要で悲しい歌が栄養になることもあるのですね。

さあ!おいで!ここに来て!

悲しみが少しづつ解れてきたら次へのアクションに取り掛かりました。

しかし、一度負った心のダメージによる恐怖は、小賢しい方向へと気持ちを誘います。

拒絶されるのは怖いから、自らこっちに来てくれる人を愛せばいいという受け身の恋愛に変わっているのです。

「LOVE TRAIN」には、恋愛の変化を電車の線路に例えた歌詞があります。

自分から線路は引いたから、あとは君からこちらへおいでと恋のアクションも慎重になっていきます。

少しづつ解れた悲しみは、少しづつ保身の狡さを身につけていく糧へとなっていくのでした。

少女は自ら強さを身につけていく

強くなければ女でいられない!

ここまでは少年の成長が中心の歌が続いていましたが「4年目の秋」からは少女に焦点が当てられています。

少女は大人になっていく過程で欲しいものを手中にする術を自ら身に付けていきました。

優しさ賢さも女として強く生きていくために自らの為に身に付けたモノなのです。

それに寄りかかろうとする男たちに女は静かに背を向けて去っていきます。

それは、空虚感を残すというたくましい方法でした。