裏腹に
あなたのいない暗闇も
独り歩いてゆくと 決めたはず
出典: マボロシ/作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁
人は決意を固めたからといって、その通りにできるわけではありません。
このパートの歌詞が表すように、心と体が別々のように感じるのです。
こんな時はいくら自らに言い聞かせても、考え通りに体をコントロールできません。
いくら自問自答を繰り返しても、答えのないことなのです。
しかし、答えがないというのは、人を不安にさせます。
そしてまた更に自らに言い聞かせて、なんとか気持ちを振り切ろうとするのです。
無限ループの悪循環に持ちこたえられる心は、一体どこにあるのでしょうか。
本当の気持ち
鮮やかに今 目の前蘇る
すべてだった 憎んで愛していた
あの日のまま あなたはマボロシ?
いつだって 今度こそ
指先 震えている
忘れたくて でも本当は
なにも忘れたくない
出典: マボロシ/作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁
たとえ強がり忘れようとしても、本当の気持ちは違います。
時に美しく、時に憎らしい感情を覚えた記憶を消し去ることなどできません。
頭の中ではあらゆる記憶が、走馬灯のようにぐるぐると回り苦しみ続けるのです。
しかしこの苦しみは決して消えて欲しくないもので、このままで良いと感じています。
大切な思い出が消えるくらいなら、苦しむほうがましだからです。
顔をみせて
後ろ姿に何度も叫ぶ
振り返らない さよならも言わず
出典: マボロシ/作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁
苦しみ続ける状態は、現実と夢の境をなくします。
頭に浮かぶ記憶は必ず先へ進む姿で、豊かな表情を確認できないのです。
何度も呼びかけますが、決してその表情を向けることはありません。
せめてケジメをつけたい、こんな気持ちが歌詞から伝わります。
どうすれば…
繰り返す日々 止まってしまった刻
嘘だって それでも構わない
まだ残る 掠れた囁き
朽ちてゆく すべての花
そっと運命を受け入れる
ずるいよ あなたへの想いだけ枯れない
出典: マボロシ/作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁
あらゆる感情はあなたの中で生き続け、色あせることがありません。
忘れたくても忘れられない素敵な笑顔。
そして、お互い楽しかった日々。
こんな素敵な記憶が、色あせることがあるでしょうか。
いくら強がっても、どんなことをしても、あなたの脳裏に色濃く残り続けます。
しかし、このやりきれない状況を伝える相手は、全く手が届かない状況なのでしょう。
やりきれない状況を伝えられれば、状況は違うかもしれません。
このままで
鮮やかに今 目の前蘇る
すべてだった 憎んで愛していた
あの日のまま あなたはマボロシ?
いかないで わたしのマボロシ
出典: マボロシ/作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁
時と共に鮮明であり続けた記憶も、徐々に薄くなり始めます。
どうしても忘れることができないように思えた、あの記憶ですら。
徐々に失われていく記憶に焦りを感じ、必至に頭で思い描くのです。
しかし時の流れというのは得てして無情なもので、願いは届かず容赦なく記憶を削り続けます。
これまでの記憶は、夢であったかのようにすら感じてしまうのです。
現実を夢のように思わせる時の流れ、これに人は逆らえません。
徐々に失われていく記憶を大切に、心に刻み続けることでしょう。